アメリカ大使館農産物貿易事務所が運営する、アメリカの農産物・食材と食文化の情報サイト「myfood.jp」では、毎月テーマを選んでアメリカ文化や食材の特集記事を掲載しています。
今回のテーマは、独立記念日。1776年7月4日、それまでイギリスに統治されていた北アメリカ大陸の13植民地が独立を宣言し、アメリカ合衆国が誕生しました。それから200年以上が経った現在、国民たちはこの記念日をどのように過ごすのでしょう。
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独立記念日の味はこだわりのバーベキュー!
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独立記念日の週には、多くの小売業界で特売セールが開催されます。旅行業界も積極的に営業するので、国内旅行も盛んになります。しかし多くのアメリカ国民は、午前中にパレードを見物し、午後はバーベキュー(BBQ)、そして夜は花火見物という過ごし方を毎年楽しんでいるようです。
独立記念日のパレードは全米各地で開催されますが、ロードアイランド州ブリストルが現存する最古といわれています。全米一小さな州であるロードアイランドの大きさは日本の滋賀県ほど。しかしこの小さな州は、そもそも独立にとても積極的でした。なんと7月4日の2ヶ月前には単独で独立を宣言してしまったほどです。そしてパリ講和条約締結後の1785年からブリストルでパレードをするようになりました。現在のパレードは1回約2時間。内容はといえば、ブラスバンドや陸海空軍のパフォーマンスにセクシーなチアリーダーなど多様性に富んでいます。前日から場所取りされるほど、今も大人気な独立記念日イベントなのです。
パレード見物が終わると、多くの家庭ではBBQパーティが始まります。アメリカのお父さんたちがBBQに込める熱意は半端じゃありません。彼らにとって夏とはBBQに始まりBBQに終わると言っても過言ではないほど、それぞれにこだわりを持っています。そして独立記念日はまさにそのピークとも言える日なのです。おそらくは全米において、もっとも多くのBBQパーティが開かれる日といってもいいのではないでしょうか。
日本でBBQといえば網や鉄板で肉を直火焼きすることが多いですね。アメリカではそれをグリルと呼んで、BBQの一つでしかありません。直火焼きでは手軽にBBQを楽しめますが、より本格を求めるお父さんは間接焼きにこだわります。
これは火と食材を離し、低温で長時間焼くというもの。数時間から、ときには1日以上も焼き続けることで、堅い肉の塊が驚くほど柔らかくなります。すぐに骨から離れて口の中に柔らかく広がるスペアリブなども、こだわりのBBQが作り出す逸品といえるでしょう。この間接焼きに桜やリンゴなど堅い木のチップを追加しておくと、風味豊かなスモーク(燻製)の出来上がり。間接焼きは蓋をするので、焼き台と蓋がセットになった器具はBBQピットと呼ばれ、ここにもお父さんたちのこだわりが凝縮します。
日本のホームセンターで見かけるUFOのような円形タイプもありますが、ドラム缶を縦に切って自家製ピットを作るお父さんも珍しくありません。中には車で牽引しないと運べないほど巨大なピットを自作したり、自宅の庭に専用の焼き窯をレンガで作ってしまうお父さんもいます。グリルと間接焼き以外にもロースト(あぶり焼き)や遠火焼きなど様々なBBQがあって、独立記念日には各パーティごとに自慢の味が振舞われるのです。
独立記念日は夜の花火で盛大にフィナーレを迎えます。この花火も全米各地から打ち上がるので、小高い丘から見ると10ヶ所以上の花火をパノラマで同時に楽しめるケースもあるほど。独立記念日の花火でとくに有名なのはニューヨークのメイシーズ花火大会でしょう。昼間は恒例のホットドッグ早食い大会で盛り上がるニューヨーク。夜ともなればハドソン川に4万発の花火が上がります。30分足らずで一気に駆け抜けるため、毎分1500発の花火が打ち上がるのです。隅田川の花火大会が2万発なので、この4万発30分がいかに大迫力か想像してみてください。
星条旗に描かれている星は、州の数を表しています。13植民地が独立したとき、フィラデルフィアのベッツィ・ロスという女性が裁縫したといわれています。このとき13の星は円を描いていました。いま星は50に増えて、整然と並んでいます。そして最初に独立した13州は、現在の国旗の横線の数になっています。増えていった星の地でも、盛大にお祝いされる独立記念日。この日をしっかり楽しむことで、人権と平等を謳い、戦った歴史と精神が大切に受け継がれているのかもしれませんね。
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