(公社)腐食防食学会「材料と環境討論会」にて2件の技術講演を実施
「材料と環境討論会」は、金属の腐食、金属による構造・設備・電子部品などの腐食・防食を専門に扱う日本唯一の学術研究会です。今回の講演会においても、全国の大学、公共研究機関、電力、電機、電子、重工業、化学分野など幅広い産業分野から腐食防食に関する最新の研究成果等が発表されました。
関西ペイントグループは、重点課題(マテリアリティ)の一つに、「資源と経済循環両立の高度化」を掲げています。今回、持続可能な社会の実現に向けて、社会や生活を支えるインフラの有効活用に貢献する重防食塗料の研究成果の一環として、塗装による穴あき腐食の抑制技術(製品名「ルビゴール」に関連)に関する2件の発表を行いました。 これらは長年、重要とされながらも具体的な解決策が示されてこなかった課題に一つの解決案を示すものです。関西ペイントは、持続可能な社会の実現に貢献すべく、今後も本技術の普及に努めてまいります。
■弊社講演タイトルと骨子
講演① 「局部腐食(孔食)を抑制する塗膜特性に関する研究-(1)」
深さ方向に進む腐食は、強度的な面で鋼構造物の寿命を左右する。そこで深さ方向の腐食を抑制するための塗膜特性を明らかとするための研究を行った。一般的に塗膜の防食性は、遮断性、付着性、インヒビター能*の3つのバランスで決まる。このうち、腐食の広がりに対する防食特性には付着力が、深さ方向の防食特性にはインヒビター能力が強く依存することを明らかにした。
*塗膜から溶出して鋼面に直接作用する能力(防錆顔料の性能)
講演② 「局部腐食(孔食)を抑制する塗膜特性に関する研究-(2)」
電気化学解析法を応用し、深さ方向に進む腐食が進行するときに見られるマクロセル*についての検証を進めた。インヒビター能力の高い塗膜は、マクロセルの形成そのものを強く抑制することで、本質的に深さ方向の腐食を抑制することを明らかにした。
*電子のやり取りが行われる比較的大きな回路
発表メンバー:
関西ペイント株式会社 日本事業部門 汎用塗料事業本部 建設第1技術部
壁谷康平(講演①主発表者)、太田伶美(講演②主発表者)、三谷誠
関西ペイント株式会社 研究開発部門 技術開発本部 松田英樹
■「第70回 材料と環境討論会」について
開催日:2023年10月30日(月)~11月1日(水)
主催 :公益社団法人 腐食防食学会 https://www.jcorr.or.jp/
主題 :1. 国土強靭化に資する腐食防食の研究と開発
2. 放射性廃棄物地層処分環境での腐食と防食技術
開催場所:アクリエ姫路(兵庫県姫路市)
産・学・官、約130の講演があり、期間中、延べ500名以上の来訪者数がありました。
■水性下塗塗料「ルビゴール」について
サビの上から塗装できる、「錆びる」現象の本質をついた腐食電流抑制型の水性下塗塗料です。
製品特設サイト:https://www.kansai.co.jp/rubigoal/
受賞履歴 :2020年7月 大阪工研協会 技術賞、2022年7月 腐食防食学会 2022年技術賞
国土交通省 建新技術情報提供システムNETISに登録
登録年:2022年/NETIS登録番号:KK-220040-A/技術名称:ルビゴールシステム