CPO用ブラインドメイト型外部光源に適したTOSAを開発、OFC2023にて発表
~ケース温度55℃、非冷却、100mW光出力で業界最小の消費電力4.0Wを達成~
● Co-Packaged Optics(CPO)用ブラインドメイト型外部光源に適した8チャンネルTOSAを開発● 偏波保持ファイバ長を最短50mmまで短尺化し、高精度でMTコネクタを取付ける技術を確立
● ハイパースケールデータセンタやエッジデータセンタにおける次世代ネットワークスイッチ装置の実現に貢献
古河電気工業株式会社(本社:東京都千代田区大手町2丁目6番4号、代表取締役社長:小林敬一)は、CPO用ブラインドメイト型外部光源に適した、MTコネクタ付き短尺ピグテイルファイバを有する8チャンネルTOSA(Transmitter Optical Sub-Assembly)を開発しました。
■背景
クラウドサービスや5Gなどの新しい情報通信サービスの普及にともない、通信トラフィックは増大し続けています。さらなるビッグデータを処理するハイパースケールデータセンタおよびBeyond 5Gに必要とされる低遅延を実現するエッジデータセンタにおいては、使用されるネットワークスイッチ装置の大容量化と消費電力の削減が課題となっており、次世代のネットワークスイッチ装置内の電気配線の一部を光に置き換える新しい実装形態であるCPOの導入が期待されています。CPOでは、一枚の基板の上でスイッチASIC(Application Specific Integrated Circuit、特定用途向け集積回路)の周りに高密度にシリコンフォトニクス光トランシーバが実装されますが、光トランシーバ内部にレーザ光源があるとスイッチASICの発熱により100℃に近い高温環境でレーザが駆動することになり、化合物半導体レーザに求められる特性や信頼性を保証することが難しくなります。そのため、環境温度が低い筐体のフロントパネルに外部光源を配置して、多芯偏波保持ファイバケーブルを介して光トランシーバに光を供給します(図1)。外部光源には、高い光出力が求められる一方で、低い消費電力が求められています。また、高光出力、多チャンネルであることから、アイセイフティの担保も求められており、光接続を電気接続と同一方向に配置し、筐体の外に光が出力されないブラインドメイト光コネクタを内蔵した外部光源(図2)が提案されています。この構造では、ハウジング内に制御回路、TOSA、MTコネクタすべてを収納することが必要となります。
図1 CPOを用いたスイッチ装置の上面概略図 図2 ブラインドメイト型外部光源(イメージ)
■内容
当社はブラインドメイト光コネクタを内蔵したCPO外部光源向けに、MTコネクタ付き短尺ピグテイルファイバを有する8チャンネルTOSA(図3)を開発しました。
高い光出力特性を得るために、高出力DFB(Distributed Feedback)LD(Laser Diode)を開発し、TOSAに内蔵しています。また、非冷却状態で高い光出力を得るために、TOSAの放熱構造を最適化し、高い光結合効率を有する光学系を実現しました。ケース温度55℃、非冷却、チャンネル当たりの光出力100mWの駆動条件において、LD駆動電流を350mA以下に抑制することができ、消費電力は業界最小(当社調べ)となる4.0Wを達成しました。
TOSAサイズは、22.5 x 13.0 x 4mmと小さいため、様々なSFF (Small Form Factor)に組み込むことができます。ブラインドメイト型外部光源では、光接続と電気接続は同一方向に配置されるため、TOSAのファイバピグテイルをハウジング内で折り返して配線する必要があり、ピグテイルファイバの短尺化が求められます。当社は、ピグテイルに用いられる偏波保持ファイバに、最短50mmの長さで標準MTコネクタや小型SN(R)-MTコネクタ(注)を取付ける技術を確立しました。偏波保持ファイバのSlow軸を2度以下の角度精度でコネクタに取付けることができます。また、光トランシーバで一般的に用いられているQSFP-DDハウジングに制御回路、TOSA、MTコネクタすべてを収納する際、光ファイバ曲げ損失および偏波消光比の劣化なく収納することができます(図4)。
本TOSAおよびQSFP外部光源のサンプル出荷を開始しており、2024年から量産開始を予定しています。
なお、2023年3月7日~9日に米国サンディエゴで開催される「OFC 2023」で本製品の展示(OFS Fitel, LLCブース内・ブース番号3229)および口頭発表を行います。
OFC 2023: https://www.ofcconference.org/en-us/home/
当社は、CPOの導入に必要な外部光源の提供を通して、引き続き、大容量情報通信と高効率エネルギー社会の実現に貢献してまいります。
図3 8チャンネルCWDM TOSA 図4 QSFP-DDハウジング内部収納(イメージ)
(注)SN(R)-MTコネクタ:Senko Advance Component
https://www.senko.com/ja/product-category/interconnect/sn-mt-connector-series/
「SN」は、SENKO Advanced Components, Inc.の登録商標です。
■主な製品仕様
■関連ニュースリリース
センコーアドバンスのSN(R)-MTコネクタ用に小型MTフェルールを開発
https://www.furukawa.co.jp/release/2022/comm_20220303.html
世界初Co-Packaged Optics向け外部光源を開発
https://www.furukawa.co.jp/release/2022/comm_20220307.html
CPO用ELSがICSJ2022にてBest Paper Awardを受賞
https://www.furukawa.co.jp/release/2022/comm_20221031.html
■古河電工グループのSDGsへの取り組み
当社グループは、国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」を念頭に置き、2030年をターゲットとした「古河電工グループ ビジョン2030」を策定して、「地球環境を守り、安全・安心・快適な生活を実現するため、情報/エネルギー/モビリティが融合した社会基盤を創る。」に向けた取り組みを進めています。ビジョン2030の達成に向けて、中長期的な企業価値向上を目指すESG経営をOpen,Agile,Innovativeに推進し、SDGsの達成に貢献します。
古河電工グループのSDGsへの取り組み
https://furukawaelectric.disclosure.site/ja/themes/182