【ニュースレター】新たな挑戦! サーキットから「テストコース」へ

ヤマハ発動機株式会社

「156cmという小さい身体も私の個性。開発ライダーとしての強みにしたい」と中山さん

全日本ロードレースで女性初の表彰台
 「わかる人には、わかる。それは本当に素晴らしいことだと思います。でも、私はその価値の上に“わからない人にも感じられる違い”や、“またがった瞬間に感じる期待”を付け加えていきたい。それを目指して頑張っていきます」
 入社3年目の中山愛理さん(PF車両開発統括部車両実験部)が配属された日、職場が少しザワついたそうです。それもそのはず、中山さんは入社の直前まで全日本ロードレース選手権で活躍する実力派のレーシングライダーでした。女性ライダーとして史上初となるポールポジションの獲得、初の表彰台など、数々の記録が当時大きな話題となったものです。「その中山選手が、なぜここに?」。社員たちがザワついたのも不思議ではありません。
 「インターンでこの会社に来た時、運良くテストコースで行われた走行実験に同行させていただきました。そこでフィーリングやオートバイの挙動を見事に言語化する開発ライダーのスキルを目の当たりにして、私もこの会社で力を試してみたいと思いました」と中山さん。入社を機にきっぱりとレースの世界に別れを告げたものの、「後悔はまったくありません。競争の世界はやりきった、という思いです」と話します。

全日本ロードレース選手権J-GP3で、女性ライダー初の2位表彰台(2019年)

自分ならではの強みを発揮していきたい
 入社後は希望する実験部門に配属され、工学部出身の彼女がまず担当したのは評価解析のシステム開発。「私の目標は、車両の物理的な運動と乗車感の評価を結びつけられるような人材になること。システム開発では、そのための知識を身につけられた」と話し、これから向き合う乗車業務では、「レーススキルだけでなく、市販車の評価能力を身に着けて今後の開発業務に反映させていきたい」と希望を膨らませています。
 小学校入学前からポケバイレースで注目を浴び、小学生、中学生、高校生、そして大学生と、その生活の大半をレース活動に費やしてきた中山さん。「一番大変だったのは中学時代。生徒会や部活動と並行して毎日のようにコースに通ってクタクタでした。部活のバスケも練習のみ。試合のある週末、私だけはサーキットでした。生徒会長でもありましたので、学校生活はいっぱいいっぱい(笑)」。また、大学時代には自らチームを発足してスポンサー獲得等に走り回った経験も持ち、「社会人としての基礎をあの時期に身に着けられた」と振り返ります。
 「この会社の走行実験には、先人たちの積み重ねによる伝統的な厳しさがあります。それをリスペクトしながら、でも私は私ならではの強みもどんどん発揮していきたい」。テストコースに飛び出す日が待ちきれない! そんな様子の中山さんでした。

鈴鹿4時間耐久レースには、弟の耀介選手とペアを組んで出場

■広報担当者より
開発ライダーとしての強みを尋ねると、少し考えてから「この小さい身体かもしれません」と中山さん。その真意を測りかねていると、「小さい身体でレースをやってきて苦労した部分もある。だからそれを車両に反映させることもできるし、お客様に最適な乗り方をお伝えできるかもしれない」とのこと。車両開発と乗り方開発を同時にこなす、新しいスタイルの開発ライダーが誕生するかもしれません。

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