2021年度 日・米・欧の社長・CEO報酬水準比較

デロイト トーマツ グループ

コロナ回復で報酬上がる欧米、日本との人材獲得力の差は拡大

デロイト トーマツ グループ(東京都千代田区、グループCEO:木村 研一)は、日本国内で実施した2021年度役員報酬サーベイの結果および2022年5月時点における米国・英国・ドイツ・フランス企業の開示情報により、計5か国の社長・CEO報酬の実態調査を実施しました。その結果を発表します。

【日本・欧米の社長・CEO報酬水準調査結果】
日本の社長・CEOの報酬総額(対象企業は下表記載)の中央値は、1.3億円(前年比+8%)であった。これに対して、米国は17.9億円(前年比+13%)と各国の中でも突出した水準となっており、日米格差は13倍となっている。欧州では英国で、5.5億円(前年比+66%)、ドイツでは7.0億円(前年比+2%)フランスでは6.3億円(前年比+71%)となり、欧州3か国平均と日本の格差は4.7倍に及んだ。【図1】

2020度は、特に英国・フランスで新型コロナウイルスによる業績の低迷・配当減に伴う影響により、賞与・株式報酬の支給削減が目立っていたが、2021年度はその両国において報酬水準を2019年度以上に積み上げてきたのが特徴である。2019年度比で英国では9%、フランスでは40%の増加率となった。米国はかねてより欧州より高い報酬水準を設定しているが、2021年度は2019年度比で11%の増加となり、さらにその水準を高めた結果となった。日本は前年度の落込みを取り戻してはいるものの、他国と比べて報酬額は2019年度からも伸び悩んでいる状況が伺え、水準の低さからも優秀な経営人材の獲得競争に取り残されているといえる。【図2】

報酬構成を国別にみると、日本においては固定報酬が約5割に及ぶ。他方、欧州では約3割、米国では約1割にとどまり、総じて変動報酬に関するインセンティブの割合が高い。インセンティブの中でも、米国は長期インセンティブの割合が大半を占める一方、欧州は固定報酬、短期インセンティブ、長期インセンティブの割合が比較的同等程度となっており、欧米間でも違いがみられる。2021年に日本において改訂されたコーポレートガバナンス・コードでは経営者の企業価値向上を目指す姿勢が求められている。日本企業においても、今後少なくとも欧州と同程度のレベルまで変動報酬に関するインセンティブ割合を高めることが期待される。【図3】

出所
日本: 『役員報酬サーベイ(2021年度版)』よりデロイト トーマツ グループ作成
日本以外: Bloomberg抽出データ(2022年5月20日時点の各社開示データ)よりデロイト トーマツ グループ作成
※換算レートは2021年平均TTB(1ドル=108.80円、1ユーロ=128.39円、1ポンド=147.07円)を使用
本調査の対象範囲
米国: S&P500のうち、売上が1兆円以上の企業284社
英国: FTSE100のうち、売上が1兆円以上の企業43社
ドイツ: DAX40のうち、売上が1兆円以上の企業30社
フランス: CAC40のうち、売上が1兆円以上の企業34社
日本: TOPIX100銘柄かつ、売上1兆円以上の企業17 社
(『役員報酬サーベイ(2021年度版)』への参加企業に限る)


【調査結果へのコメント デロイト トーマツ グループ パートナー 村中 靖】
2020年度の社長・CEO報酬は、小売・サービス業といった特定のビジネスセクターにおいて、新型コロナウイルスの感染拡大による業績の落込みにより、2019年度と比較して大きく減額された。しかし2021年度の社長・CEO報酬では、新型コロナウイルスに対する規制撤廃が進んだことによる経済の回復傾向が反映され、2020年度と比較して大幅増加となった。
フランスや英国の報酬額は2019年度比較でも増加傾向にあり、日欧の報酬差が拡大しているといえる。米国の報酬水準はかねてより日本と比べて高額であったが、2021年度の米国水準の上昇によりさらにその差は広がった。魅力ある報酬パッケージを提供しようとする米国や欧州に対して、グローバルでの人材獲得競争の中で、日本は大きく出遅れている状態だ。とりわけ世界経済をリードするプライム上場企業においては、グローバルでの競合他社をベンチマークするなど日本の人材市場に閉じた検討を行う必要性は低くなっている。海外も含めた優れた経営陣を登用できるだけの魅力ある報酬水準・構成を検討することが喫緊の対応として求められる。
一方、世界的に広がる物価上昇によって従業員の生活が圧迫していることもあり、欧米でも、経営トップの報酬が増加することについて、手放しで受け入れられている訳ではない。投資家からも健全な役員報酬の決定に向け声が上がりつつあり、英国においては、2023年度に向けた報酬ポリシーの決定にあたり、議決権行使助言会社ISSが約30%の案件について反対の意を示した。また米国大手企業の今年の株主総会においては、「セイ・オン・ペイ」に対して過半数が不支持とする結果が話題となっている。魅力ある報酬設計においては、単純に報酬水準を高めるのではなく、インセンティブ割合を増やして業績の成果責任を明確にすること、ESGと連動した報酬制度により企業の社会的責任にコミットすることを表明するなど、ステークホルダーにも納得性・透明性のある報酬設計が求められる。

<役員報酬サーベイ(2021年/22年度版)について>
2002年より実施している『役員報酬サーベイ』は、日本企業における役員報酬の水準、役員報酬制度の導入およびコーポレートガバナンスへの対応状況の実態をまとめている日本最大規模の調査です。2021年度版は2021年6月~7月にかけて三井住友信託銀行株式会社と共同で実施し、東証一部上場企業を中心に1042社から回答を得ました。なお2022年版サーベイは、2022年6月1日(水)~7月8日(金)までを参加企業募集期間としており、10月初旬頃に報告書をご提供する予定としています。
・調査期間:
2021年6月~2021年7月
・調査目的:
日本企業における役員報酬の水準、役員報酬制度やガバナンス体制、コーポレートガバナンス・コードへの対応状況等の現状に関する調査・分析
・参加企業数:
1,042社(集計対象役員総数 19,555名)
上場企業970社(うち東証一部714社)、非上場企業72社
・参加企業属性:
製造業465社(うち医薬品・化学98社、電気機器・精密機器106社、機械77社 等)、非製造業577社(うちサービス108社、情報・通信113社、卸売92社 等)

2022年度役員報酬サーベイへの参加企業募集はこちらをご覧ください。
https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/human-capital/articles/hcm/executive-compensation-survey.html
 

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