大阪工業大学(学長:井上 晋)応用化学科高分子材料化学領域の藤井秀司教授のグループが、泡の乾燥というシンプルな操作による多孔質粒子材料創製法を開発しました。
【本件のポイント】
●粒子の内部の空間も使え、比表面積が大きい多孔質粒子は注目の機能性材料
●泡の入った水滴を乾燥するだけの多孔質粒子の新合成法を開発
●従来の化学薬品が必要で煩雑な合成法より環境に優しくコストも大幅に削減
「多孔質材料」は、表面と内部でつながった小さな空孔を持つ材料で、その大きな比表面積を生かして、さまざまな物質を吸着できる性質を持ちます。その中でも粒子形状の多孔質材料は、さらに比表面積が大きく表面機能の増幅が可能であるため機能性材料として注目を集め、日常生活においては、乾燥剤や脱臭剤として、また工業的には物質を分離する材料として幅広い分野で利用されています。これまでの多孔質粒子の合成法は、多数のステップが必要であるため作業が煩雑である場合がほとんどで、作業者の健康、環境への負荷が高い有機溶剤を必要とすることが多いため、問題を含んでいました。
本研究では、微粒子で安定化された泡の水分散体を、乾燥した微粒子の粉で覆った液滴(リキッドマーブル)を作製し、これを大気中で乾燥させることで多孔質粒子の合成に成功しました。本手法により、簡便かつ健康、環境への負荷が高い有機溶剤が不要な多孔質粒子の創出を実現し、有機溶剤の使用による課題が残る、バイオマテリアル分野、食品分野、化粧品分野での応用が期待されます。
この成果は、文部科学省 科学研究費 新学術領域「生物多様性を規範とする革新的材料技術」の支援を受けて得られたもので、このほど米国化学会の学術雑誌Langmuirに論文がweb掲載(2022年6月6日付)され注目を集めています。
URL:
https://pubs.acs.org/doi/full/10.1021/acs.langmuir.2c00869
(DOI:10.1021/acs.langmuir.2c00869)
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【リリース発信元】 大学プレスセンター
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