「東京藝術大学国際交流拠点(仮称)整備事業」にて採用のNLTが納入へ

カナダウッドジャパン

前田建設工業は国内初のチャレンジで「コスト・工程面でのメリットを検証できた」と手応え

カナダ林産品の普及活動を行う非営利業界団体カナダウッドの日本事務所、カナダウッドジャパン(所在地:東京都港区、代表:ショーン・ローラー)より、「東京藝術大学国際交流拠点(仮称)整備事業」にて採用されたNLTが納入を完了するまでの過程に関する情報をお送りします。

前田建設工業株式会社(本店所在地:東京都千代田区、代表取締役社長:前田 操治、以下:前田建設工業)が実施設計・施工を手掛ける鉄骨造と木造の混構造5階建ての「東京藝術大学国際交流拠点(仮称)整備事業」にて、主にツーバイフォー工法で用いられている枠組壁工法構造用製材で製作する構造部材NLT(Nail-Laminated Timber)が採用となり、床版の一部に使用されます。
今回、大断面集成材・CLTの製造販売、建設工事の設計施工を行う総合プロデュース企業である株式会社中東(本社所在地:石川県能美市、代表取締役社長:小坂 勇治、以下:中東)では、集成材とCLT製造で培ってきた長年の技術と豊富な実績を活かし、NLTの製作に初めて取り組むこととなりました。

 
 
中東の本社工場(石川県能美市)におけるNLT製作の様子

 
中東の木質構造事業本部加工工場長の浅井氏は、実際の製作を終えての所感として、「小口を揃え、番号を間違えなければより正確な材料を作ることができ、パネリードを打つことで強度を保つことができます。また、図面と材料を確認してから留めることでより正確に製作できる材料です」と話します。

 
完成したNLT

完成したNLTは中東の本社工場から現場に搬入され、3月中旬から納入・敷設作業が始まりました。前田建設工業の建築事業本部設計戦略部の渡邉氏は、今回の非住宅建築におけるNLT採用という、自社としてまた国内としても初となる挑戦の中で向き合った問題と解決策について、「そもそも、NLTは日本ではまだ一般的に使用されていないため、設計方法から悩むことはありました。ただ、実際に取り組んでみるとそこまで難しくなく、一般的なツーバイフォー材の規格に合わせて設計すれば良いことが分かったので、最終的にはそれほど苦労せずに設計できました」とし、「当初は温度や湿度の影響で木材が狂ってくるのではないかという懸念もありましたが、環境実験を2回実施してNLTの性能を理解した上で、どのような使い方が適切かを確かめることができました」と言います。

 
 
NLTが現場に納入・敷設される様子

 
また、今後の日本におけるマスティンバー市場の発展に関しては、「やはり、日本でマスティンバーを使用する際の課題として、大きくはコスト面が挙げられると思います」と指摘しつつ、今回は近年普及が進むCLTとコスト面を比較してNLTを選択するに至った経緯を語りました。
渡邉氏は、「実際にNLT床を採用したことで、コスト面だけでなく、コンクリート床のように配筋の手間や打設後の乾燥・養生に時間を要しないため、工数削減にもつながるという工程面でのメリットの検証もできました。今後、物件によってはNLTを使用する機会が増えるのではないかと思います」と、今後のNLT普及拡大に期待を寄せました。


 
カナダウッドジャパンのショーン・ローラーは、「現実的にカナダのSPF材で製作したNLTを大型木造建築に導入することとなり、大変うれしく思います。今回のプロジェクトは日本のマスティンバー市場を開拓する一つのきっかけとなるはずなので、今後の日本の大型木造建築の可能性に期待したいです」とコメントしました。
(写真左から:前田建設工業 渡邉氏、カナダウッドジャパン ショーン・ローラー、前田建設工業 西川氏、前田建設工業 近藤氏)

カナダウッドジャパンでは、今後も日本国内におけるNLTをはじめとした木造建築関連技術の普及および情報発信に引き続き取り組み、木材の利用機会拡大・促進に努めていきます。



 
本件に関するお問合せ先: カナダウッドジャパン TEL 03-5401-0536

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