流通科学大学(神戸市西区/学長:藤井啓吾)人間社会学部人間社会学科・森藤ちひろ教授のゼミ生らは、奈良県吉野郡吉野町のプロジェクト「吉野まちじゅう図書館(※)」のガイドブックと運営マニュアル(動画・電子ブック)を制作した。コロナ禍にあっても同町を支援できる活動として取り組んだもので、3月25日に「オンライン引き渡し式」により納品を行った。
森藤ゼミでは2016年度から吉野町と連携し、地域活性化を目指したイベントなどを行ってきたが、2020年度は新型コロナウイルスの影響により、当初想定していたプランの実施が困難となった。コロナ禍でも可能な取り組みを模索するなかで「吉野まちじゅう図書館」のことを知り、そのサポート活動を開始した。
学生らは活動の輪を広げ、より発展させていくために、住民と協力しながら、ガイドブックと図書館の開き方・使い方のマニュアル(動画・電子ブック)を制作した。3月25日には中井章太町長、町職員、図書館運営者、同町の住人およびゼミ生らがオンラインで参加し、引き渡し式を開催。これまでの取り組みを振り返るとともに、納品を行った。
※『吉野まちじゅう図書館』事業について
【URL】
https://www.town.yoshino.nara.jp/oshirase/sogoseisaku/post-151.html
総務省のモデル事業「シェアリングエコノミー活用推進事業」を活用した地域課題解決に取り組んできた吉野町が、その発展事業として開始。図書館を建設するのではなく、住民が所有するものも含め、まちじゅうの本を共有するという取り組み。誰もが図書館と同じように書籍の貸し出し管理を行える「リブライズ」というWEBサービスを利用して実施する。本の共有をきっかけに人の交流や新たな発見が生まれる町を目指す。
■学生らの具体的な活動内容
学生らのミッションは、図書館への参入障壁を下げ、裾野を広げること。そこで、住民の認知度・関心を高め、利用を促進するため、マニュアルとガイドブックの制作を提案。現地での取材ができない状況のなか、文書や電話等でのやり取りや公開情報を参考に、17軒の図書館を紹介するガイドブックを制作した。
また、交流人口増加策としての有効性を検証するため、住民との「コラボレーション図書館」を試験的に開設することになり、その立ち上げの支援にも積極的に取り組んだ。
昨年11月3日には、プロジェクトスタート以降初めて6人の学生が現地を訪問。複数の図書館を訪れインタビューを行うとともに、地域イベント「空き家活用リアル・セミナー」に参加し、地域課題への取り組みについて理解を深めた。さらに、コラボレーション図書館について、住民代表者と今後の進め方についての打ち合わせも行った。
12月9日には学生4名が再度訪問し、登録のための手続きや、貸し出しのために必要な「書籍コード」を貼る作業を実施。直接会って一緒にひとつのことに取り組むことで、一体感を感じる機会となった。
取り組みを行っていくなかでは、学生間において意見がまとまらず、作業が思うように進まないこともあったが、各班の学生リーダーが話し合いを重ね、形にすることができた。
今回の取り組みは、コロナ禍の影響により、2度の訪問以外は電話やメール、オンラインでのやり取りが中心となった。それによる困難も大きかったが、学生らは吉野町の歴史や文化、産業、地域イベントなどについて貴重な話を聞くことができ、多くのことを学んだ。
また、プロジェクトを通して、改めてコミュニケーションの大切さを痛感するとともに、協力し合ってひとつのものを作り上げるという、なにものにも代え難い経験をした。
■参加した学生のコメント
吉野町の人たちはご近所付き合いが密。私たちがこのプロジェクトに関わることになったときも、直接顔を合わせて、お互いの顔を覚えて、信頼関係を作って、一緒に何かしようと。でも、コロナで直接会うことができず、どんな学生なのかわかっていただけない状況が続き、活動が思うように進展していかなかった。
そんなジレンマを抱え、試行錯誤を重ねながら、必死に取り組んだ今回のプロジェクト。私たちの活動は1、2年で終わってしまう場合が多いけど、それを後輩につなぐ、プロジェクトとして残す、ということも大事。この1回で終わらない、次へつながるような取り組みになってほしい。
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https://www.umds.ac.jp/210402-6/
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