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金沢工業大学革新複合材料研究開発センター(ICC)と産業廃棄物処理・リサイクルを手がける株式会社三栄興業(埼玉県三郷市)では、金沢工大COIの一環として、従来の炭素繊維複合材料よりも強度が高く、帯電防止特性を持つ新規の熱可塑性炭素繊維複合材料を開発しました。(特開2018-145245「炭素繊維複合材料」)
金沢工大COI(*1)では、炭素繊維に含浸させる樹脂として、成形加工性がよく、リサイクル可能な熱可塑性樹脂の利用を促進しています。そして、熱可塑性樹脂でも最も生産量が多いポリプロピレンに注目し、研究に取り組んでいます。
このたび開発された熱可塑性炭素繊維複合材料は、高比強度、高比弾性率などの機械的特性が要求される自動車や航空機関連の部材や建材などでの用途が期待されるほか、静電気などの帯電防止性能が高いレベルで求められる半導体などの精密部品の成形分野で利用価値が特に高く、今後の需要が見込まれています。
(*1)平成25年度国立研究開発法人科学技術振興機構 センター・オブ・イノベーション(COI)プログラム採択『革新材料による次世代インフラシステムの構築~安全・安心で地球と共存できる数世紀社会の実現~』(中核機関 金沢工業大学)
【本発明の社会的意義】
炭素繊維と樹脂を混ぜると軽くて強い材料となり、省エネルギーが求められる航空機や自動車分野での用途が近年進んでいます。一方、炭素繊維と樹脂は一般的には相性が良くないため、上手に混ざらないことが多く、強度の面で課題となっていました。また樹脂は電気絶縁性を有するため、半導体や電子部品などの精密部品の分野では、静電気などを帯電しない、導電性に優れた複合材料が特に求められています。
炭素繊維と樹脂を混ざりやすくする「相溶化剤」として、従来から、無水マレイン化ポリプロピレン(MAPP)が使われていますが、MAPPを用いた複合材では、炭素繊維と樹脂間は面ではなく点で接着するため、界面接着性が十分でなく(接着力が薄弱)、導電性も十分に得られないという問題がありました。また複合材の界面接着性を向上させるために、MAPPを大量に添加しなければなりませんが、MAPPの配合量を増大させると、複合材の導電性が低下してしまうという問題もありました。
ICCと三栄興業の研究チームが共同開発したiPP-PAA(アイソタクチックポリプロピレンポリアクリル酸共重合体)は炭素繊維と樹脂間が面で結合する相溶化剤で、少量でも界面接着性が向上するため、優れた機械的特性(高比強度、高比弾性率)が得られるばかりでなく、導電性(静電気の帯電防止)にも優れた複合材を可能にしました。さらに本発明により、炭素繊維の繊維長が0.1~50mmの短繊維でも剛性が保てるため、熱可塑性炭素繊維複合材料としての射出成形や押出成形などの成形性も向上し、幅広い分野での用途の拡大が期待されます。
▼本件に関する問い合わせ先
金沢工業大学 広報課
住所:石川県野々市市扇が丘7-1
TEL:076-246-4784
FAX:076-248-7318
メール:koho@kanazawa-it.ac.jp
【リリース発信元】 大学プレスセンター
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