運用者の視点:中国と『ラグビーW杯』

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

三井住友DSアセットマネジメント株式会社(代表取締役社長 兼 CEO:松下隆史)は、経済イベントや市場動向に関するマーケットレポートを日々発行しております。このたび、マーケットレポート「運用者の視点:中国と『ラグビーW杯』」を2019年10月10日に発行いたしましたので、お知らせいたします。
 
<今日のキーワード>
「マーケット・キーワード」では、弊社のアジア株式運用者が運用業務を通して気付いたり、感じたことを“運用者の視点”として定期的にお届けしています。急速かつダイナミックに変革が進む、中国・アジア地域の経済やマーケットの“今”を、独自の視点でお伝えできれば幸いです。今回のテーマは、日本で大変な盛り上がりを見せている『ラグビーワールドカップ(W杯)』に絡めた、中国のラグビーに向けた視点です。
 
【ポイント1】日本で熱を帯びる『ラグビーW杯』

■日本で開催中の『ラグビーW杯』が11月2日の決勝に向けて盛り上がりを増しています。予選プールで日本代表は強豪のアイルランドに勝利するなど快進撃を続けており、開催国として国全体にラグビー熱が拡がっている印象です。初のアジア開催となった日本大会には、全20チームが参加しています。しかし、アジアから出場しているのは日本だけです。ここにはオリンピックなどスポーツのビッグイベントで常に大きな存在感を示す中国の名前はありません。
 
【ポイント2】中国のラグビーに対する熱量は低い


■昨年ロシアで開催されたサッカーワールドカップでも、出場チームの中に中国の名前はありませんでした。それでも、スポンサーには複数の中国企業が名を連ね、試合会場は中国人と中国企業の広告で溢れるなど、プレー以外の部分で中国の存在感は際立っていました。ところが『ラグビーW杯』では、どこを見ても中国の姿は全くと言っていいほどありません。
■官民あげて強化に取り組んでいるサッカーに比べると、ラグビーに対する中国人の熱量はかなり低いのが現状です。ラグビーの世界ランキングをみるとラグビー界での中国の位置がよくわかります。中国は10月10日現在、世界80位で、香港(24位)や台湾(66位)よりもかなり下の順位となっています
 
【今後の展開】中国でラグビーがメジャースポーツとなる可能性は低い

■中国にもラグビー協会はありますが、競技人口が極めて少なく、サッカーの中国スーパーリーグのような巨大ビジネスにつながる道筋は簡単には描けません。加えて、ラグビーは同じチームスポーツのサッカーよりも一段と大きな自己犠牲が求められることから、比較的個人主義の色合いの強い中国人の気質には馴染まないとの見方もあります。こうした点を踏まえると、中国でラグビーがメジャースポーツに駆け上がる可能性は低いと感じます。
 
■近年、経済やスポーツなど様々な分野で中国に追いつかれ、あるいは差を広げられている日本ですが、少なくともラグビーではアジアの盟主の座が脅かされる心配は当面無用かもしれませんね 



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