急増するカスタマーハラスメント。半数以上が「最近3年で増えている」 マニュアルを作成しているのはわずか3割。8割以上が「業務に影響あり」 半数以上が「休職・退職リスク」につながると回答

株式会社エス・ピー・ネットワーク

【カスタマーハラスメント実態調査(2019年)】

 企業の危機管理を総合的に支援する株式会社エス・ピー・ネットワーク(本社:東京都 代表取締役社長:熊谷信孝)は、昨今急増する「カスタマーハラスメント」についての実態調査をインターネット上で行いました。
顧客や取引先による悪質なクレームや不当要求を、販売員や従業員に突きつける「カスハラ」は、近年増え続けています。国による対策も動き始め、厚生労働省では2020年春を目途に、カスハラに類する「悪質なクレーム」について、企業がとるべき対策を指針で明示する予定です。今回の調査により、カスタマーハラスメント(カスハラ)の現状と対策について、実態が明らかになりました。


【主な調査結果・ポイント】
1.直近3年間で半数以上が、「カスタマーハラスメントが増えている」と回答。
 
2.クレーム処理を行っている上で、「カスタマーハラスメントに困っている」と回答した人は約6割。
3.約7割が「不当な要求」の経験あり。

 
4.従業員を守る顧客対応マニュアルを作成している会社はわずか3割。半数以上は「作成予定もなし」。
 
5.対応マニュアルの課題は「対応者のスキルアップ」「対応できる人材の育成」「対応方針の明確化」。
 
6.カスタマーハラスメント顧客対応に困ったときに「どこに相談していいかわからない」が3割。
 
7.対応によるストレス増加は約9割、約8割が業務に影響がある「仕事意欲への低下」を感じ、約7割は体調不良リスクがあると回答。さらに約半数以上に休職・退職の危険性も。

 
【調査概要】
調査期間  :2019年5月15日~16日
調査対象  :全国の20代から60代の男女
調査対象職種:営業・販売、一般事務、専門職、総務・人事、カスタマーサポート、
顧客管理・品質管理、技術・設計、情報処理システム、生産・製造等
対象条件  :企業でクレーム対応を行った経験のある会社員1,030人
調査方法  :インターネット
調査委託会社:マクロミル

■「カスタマーハラスメント」とは
消費者や顧客などが、クレーム・苦情を企業に行う際に、担当者に対し
(1)通常の顧客対応(CS)以上のことを言わせる 
(2)クレーム・苦情には関係のない暴言を吐くなどの行為により、担当者に過度なストレスを与えること。
例)高額な賠償請求・無償での別商品への変更・執拗なクレーム・従業員の解雇要請・土下座の強要・社長など上位職者からの対応を求める 等

【調査結果】
1.直近3年間で半数以上が、「カスタマーハラスメントが増えている」と回答。
「あなたは直近3年間でカスタマーハラスメントが増えていると感じますか?」の質問には、「とても増えている」が14.7%、「増えている」が41.1%で、回答者の55.8%が「増えている」と感じています。カスハラ対応の増加を日々の仕事の中で実感している人が多いことがわかりました。

Q1、あなたは直近3年間でカスタマーハラスメントが増えていると感じますか?(n=1030)【単一回答】
 
2.クレーム処理を行っているうえで、「カスタマーハラスメントに困っている」と回答した人は約6割。
「あなたはカスタマーハラスメントにどの程度困っていますか?」との質問には、「とても困っている」が19.3%、「困っている」が38.8%。合計で58.1%が現在も「困っている」と回答しています。カスタマーハラスメントの対応現場で、判断に困るケースが多いことが明らかになりました。

Q2、あなたはカスタマーハラスメントにどの程度困っていますか?(n=1030)【単一回答】
 
3.約7割が「不当な要求」の経験あり。
カスタマーハラスメント対応の特徴として約7割が「不当な要求」を挙げています。
「不当な要求」とは、お客様からの通常からかけ離れた過剰・法外な要求により、時間的・金銭的・精神的「ロス」を生み、徐々にエスカレートすることで、対応に苦慮する現状が浮かび上がっています。
 
Q3、カスタマーハラスメントを受けたことがある方の中で、あなたが以前対応したカスタマーハラスメント顧客の特徴は、どんなものがありましたか?(n=451)【複数回答】


 
4.従業員を守る顧客対応マニュアルを作成している会社はわずか3割。半数以上は「作成予定もなし」。
回答者の勤める企業で顧客対応マニュアルを作成している会社は31.4%、そのうち、カスハラに対応していないマニュアルが約4割あることがわかりました。また全体の半数以上は「作成予定もない」と回答しています。対応に苦慮している人が多いにもかかわらず、対策がされていない実態が明らかになりました。

Q4、あなたがお勤めの会社では顧客対応全般に関するマニュアルは作成されていますか?(n=1030)【単一回答】

Q5、「マニュアルを作成している」と回答している方にお聞きします。そのマニュアルはカスタマーハラスメントにも対応していますか?(n=323)【単一回答】
5.カスタマーハラスメント顧客対策を行う上での課題は、「対応者個人のスキルアップ」(42.5%)「対応できる人材の育成」(40.7%)「対応方針(断る方針)の明確化」(37.4%)がベスト3に挙げられ、対応が個人のスキルに頼っている実態と、対応の指針が明確になっていない現状が浮き彫りとなりました。

Q6、カスタマーハラスメント対応を行ううえでの課題は何でしょうか?すべてお選びください。(n=1030)【複数回答】
 
6.カスタマーハラスメント顧客対応に困ったときに「どこに相談していいかわからない」が約3割。
相談したいが、相談先がわからない人が3割と、弁護士以外の問い合わせ先がわからない現状が明らかになっています。

Q7、あなたがお勤めの会社では、カスタマーハラスメント顧客の対応に困ったときにどこに相談していますか?会社の相談先として当てはまるものをすべてお選びください。(n=1030)【複数回答】
 

7.対応によるストレス増加は約9割、約8割が業務に影響がある「仕事意欲への低下」を感じ、約7割は体調不良リスクがあると回答。さらに約5割が休職、約6割に退職の危険性も。
「ストレスが増加する人」は93.1%、業務に影響がある「仕事の意欲が低下する人」は82.1%、また約7割の人が体調不良リスクを抱え、約5割が休職リスク、約6割が退職リスクに影響があると回答しており、カスハラ対応の個人負担の大きさが明らかになっています。企業の対応の遅れが人材の損失につながる可能性の大きさを示しています。

Q8、カスタマーハラスメント顧客の対応によって会社内の以下の項目にどれくらい影響がありますか?あてはまるものをそれぞれお選びください。(n=1030)【単一回答】

【自由記述から】
「高額な賠償請求」や「返品期間を大幅に過ぎた後の返品要求」、「社員の解雇・土下座」、「女性社員へのセクハラ」など、多くの回答者がカスタマーハラスメントを体験したことがある実態が浮き彫りに。

Q9、(自由記述)あなたはカスタマーハラスメント顧客からどんな不当な要求を受けたことがありますか。※不当要求とは…消費者・顧客による自己中心的で理不尽な要求 ※お答えできる範囲で構いませんので、できるだけ具体的にお答えください

◆購入済みの商品を明らかに使用済なのに、返品返金を要求。店内の商品が気に入らなったため投げつける。担当者の日常生活や仕事に影響があるようにするぞと脅迫。(奈良県・29歳・女性・会社員/事務系)

◆高額な賠償請求。無償で別商品への変更。反社会的組織(暴力団・右翼・同和)が後ろにいることを匂わせる。役員等の直接の謝罪や金品の要求。従業員の解雇要求、謝罪広告の新聞掲載を求めるなど。(大阪府・49歳・男性・会社員/事務系)

◆相手のミスで希望のものとは違うものを用意していたのにも関わらず、こちら側のミスを認めないと店舗内で大きな声で叫ばれ、「謝りもしないのか!誠意を見せろ」と言われた。最終的には土下座やこれから先ずっと割引をしろなどと要求された。(千葉県・21歳・男性・会社員/事務系)

◆力に訴えでる発言。購入商品における不当な返品要求。上司や役職者との関係があるとの執拗なアピール。細かい言葉尻に対しての執拗な追求。女性スタッフに対してのセクハラ発言。(千葉県・41歳・男性・会社員/事務系)

◆特定の従業員に対する人格攻撃。特定の従業員に対して社長あてに罵詈雑言を書いた無記名の手紙を送る。「誠意を見せろ」などの具体的ではない要求をしてくる。特定の従業員の解雇要求。土下座強要。上長からの対応を執拗に求める。意味不明なことを言ってきて、それに対し個人の見解を尋ね、その対応のあげ足を取る。購入・使用開始から半年以上たった商品に対して難癖をつけ交換を要求。(岩手県・41歳・男性・会社員/事務系)

【株式会社エス・ピー・ネットワークについて】
株式会社エス・ピー・ネットワークは、1996年に創業した企業危機管理の専門会社です。反社会的勢力排除を始め、法務・広報からITに関する企業危機管理コンサルティングのほか、危機管理の実践対応や身辺警備など、企業に多彩な危機管理ソリューションを提供しています。
https://www.sp-network.co.jp/










 

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