平成30年の社会変化が与えた影響 「フリーター」という言葉を流行らせた『フロム・エー』 地域密着求人誌の草分け『タウンワーク』

株式会社リクルートジョブズ

株式会社リクルートジョブズ(本社:東京都中央区、代表取締役社長:葛原孝司)の調査機関であるジョブズリサーチセンター センター長の宇佐川邦子は、『フロム・エー』の成長期を支え、1998年『タウンワーク』創刊にも関わってきました。両媒体の創刊の背景にあった社会情勢、またそれによってアルバイトの働き方がどう変わってきたのかをご紹介します。

社会の変化は、アルバイトの働き方にどんな影響を与えたのか

「平成時代の30年間は特に、社会の動きとともに、求職者側のキャリア観も多様化してきた時代と言えます。平成が始まってすぐの1980年代は、“フリーター”と呼ばれる若者が登場し、「好き」を仕事にする働き方が現れました。バブル崩壊後の90年代後半には就職難になり、働き方を見直す求職者が現れます。例えば、長い通勤時間に耐えるのではなく、「家の近くで働きたい」「地域に貢献したい」といった、賃金だけではない、新たな価値観を大切にする求職者が増えてきました。
 2006年前後から労働人口が減少し始め、リーマンショック後の2010年代前半からは人材不足が顕在化するようになったことで、それまで働きたくとも制約の多かった主婦やシニア、外国人といった多様な属性の方々も労働市場へ参画し始めました。企業側も多様化する個に寄り添うような形で、多くの求職者の制約の1つである「時間」に着目し、業務分解などを進めながら短時間勤務など多様な働き方を作り出してきました。求人情報は企業と求職者それぞれの「不」を解消するために発信され、結果、現在の多種多様な働き方を生み出してきたのです」(宇佐川コメント)

<1980年代>アルバイトのイメージは「苦学生がするもの」
“フリーター” という言葉を流行らせた 『フロム・エー』

◆当時の社会状況
創刊から4年後の1986年からいわゆる「バブル時代」を迎え、世の中は好景気に沸きます。そうしたなか、アルバイトは苦学生が行うものというネガティブなイメージを持たれていました。
◆創刊時のテーマ
『好きなことを仕事にしたい』と考える若者に向け、「フリーター」という新しいライフスタイルを提案する求人誌として誕生。当時の求人誌が立地や条件といった機能別に編集されていたのに対し、フロム・エーは、自分の趣味や都合に合わせる「興味別編集」によって、楽しく仕事を選べる仕立てに。若者を象徴する「フリーター」という言葉は、1987年の流行語大賞に選ばれるなど世の中に影響を与えました。
その2年後、日本は平成時代に突入します。

<1990年代> 地域や家族とのつながりを重視する求職者の台頭
職住近接をコンセプトにした 「タウンワーク」

◆当時の社会状況
バブルが崩壊し、金融危機に直面した90年代後半は、年平均の失業率が4.1%まで上昇。就職難の傾向が強まり、仕事探しの難易度が高まった時代。従来と異なるキャリア観を持つ求職者も増えつつありました。
◆創刊時のテーマ
創刊当初のコンセプトは〝職住近接“。「家の近くのお店で働きたい」など地域で働きたいと思う人と企業のマッチングを目指して1998年に創刊。「地域密着」
「幅広い求職者のニーズに応える」「求職者の生活導線に合わせたリーチ」という”カスタマーファースト”をテーマに、利用機会を創出。
日本全国へと発行地域を増やし続け、現在は全国104版を展開、求人件数は毎週約90万件に及んでいます。(※2018年10月時点)



<2000年代>労働力人口の減少が始まる。アルバイトの働き方は多種多様へ
◆当時の社会状況
2000年代に入ってから、宿泊業、飲食サービス業、生活関連サービス業、娯楽業、教育、学習支援業、医療、福祉などの女性就業者数の伸び率が高まりはじめました。2003年には、完全失業率は5%超、2006年前後から労働力人口は減り続け、特に若者の労働力人口は減少の一歩を辿りはじめるなど、多種多様な属性の方の活用が必要とされはじめました。
2007年には、大学の進学率が上昇した影響で、在学しながら就業している人口が150万人を突破。生活費の足しのために、バイトを行う大学生が増加、2010年以降はインターネットの普及により求職者におけるモバイル端末の利便性向上が高まりました。
2009年金融危機「リーマンショック」は世界の景況に影響を与え、日本でも有効求人倍率が0.47倍と前年の0.88倍を大幅に下回るなど、日本の労働市場にも大きな影響を与えます。第三次産業への移行、高齢化による医療や介護といったサービス業の需要の高まりなど、産業構造も大きく変化してきます。
2012年前後には、人材不足が本格化。今まで働きたくても働けなかった、主婦やシニア、外国人等といった方々が労働市場へ参画し始めました。2013年には、有効求人倍率が初めて1.0を超え、人材不足が顕在化しはじめます。
2013年以降、リクルートジョブズでは、時代の兆候を捉え、翌年の働き方や採用方法、マネジメントのトレンドを発信してきました。

2013~
働きたいのに働けない子育て中の女性は約170万人にものぼり、育児や介護と両立しながら働きたいと考える人が増加。業績が上向き傾向の企業はママ採用に積極的で、テキパキと家事や育児などをこなすママとしてのスキルを評価する企業が出現。
『ありのママ採用』
:家事や育児で培われたありのままの、ママのチカラを
企業のチカラにする採用


2014~
企業の人手不足が顕在化し始め、「出店計画の見直し」や「店舗の閉鎖」、「営業時間の短縮」が増加。働き手が減る中、潜在的な労働力であるシニア層と主婦層の
労働参画を促すために、求職者の「時間の制約」に着目した働き方が見られるようになりました。
『プチ勤務』
:シフトや業務の細分化を行い新たな仕事を生み出す
「超短時間勤務」


2015~
訪日外国人が2013年に1,000万人超し、2015年には訪日外国人消費マーケットは年間3兆超の規模見込みとなり、訪日外国人の顧客対応ができる人を求める求人が増加。これまではマニュアル定型業務や接客応対の業務を任せていた外国人求職者に、外国人ニーズを理解した接客や商品の企画・仕入れなどのマーケティング業務を任せる企業が現れはじめ、国籍に関わらず職場を盛り上げる働き方が台頭。
『多国籍スクラムバイト』
:多国籍のスタッフが一人ひとりの強みを活かし、シナジーを生む職場作り


2016~
従業員数は増加傾向にあるが、総労働時間が概ね横ばいとなり、求職者の短時間勤務へのニーズが高まってきた2016年。企業は育成することを前提に"時間"知識"スキル"など必要な要素が揃った「何でもできそうな人」をターゲットとする採用がよく見受けられて
いましたが、この頃では、「何でもできそうな人」ではなくても、一人ひとりのチカラをパズルのように組み合わせる求人が増加。
『パズワク』
:個人のチカラをパズルのように組み合わせ活かしあう職場作り


2017~
経営に支障が出るほど人材確保が難しいと言われはじめた昨今。少子高齢化は進む中、労働意欲の高い60歳以上の就業希望者を戦略的に活用する企業が現れる。近年IT技術の活用や健康管理のフォローを筆頭とした企業サポートにより、従来ネックとされていた体力や新しい技術対応への懸念を解消し、シニアの人生経験である、年の功が活かせる働き方へ。
『年功助力』
:戦略的なシニア雇用で企業の成長を促進させる採用


2018~
人手不足は深刻化。賃金を上げる以外に、採用や定着に向けたさまざまな工夫を行いはじめた企業。求職者は「賃金+α」で就業先を選び始め、就業中に学び、社会で通用
するスキルを身に付けたいとの希望が増加傾向。正社員向けだけではなく、アルバイト・パートスタッフ向けにも、学習環境を提供し、従業員の定着率アップや採用力の強化、業績向上につながり始めた企業も出現。
『学び場イト』
:学びながら働いて自分のスキルを身に着けられる学び場



※上記タウンワーク創刊からの20周年の歩みについての詳細または画像はこちら
http://rjb.rjc.rlt.raftel/press/pr20181127_1055.html



本件に関するお問い合わせ先
株式会社リクルートジョブズ 経営統括室 経営企画部 コーポレートコミュニケーショングループ 
TEL: 03-6835-9596  E-mail: press_rjb@r.recruit.co.jp








 

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