大阪工業大学(大阪市旭区)工学部応用化学科の藤井秀司教授、平井智康准教授らのグループが、太陽電池やトランジスタなどの材料として広く使われている導電性高分子であるポリ3-ヘキシルオフェン(P3HT)が光を熱に変換する新たな能力を持つことを発見した。P3HTが有機溶剤に溶けることから塗料としての利用が可能であり、さまざまな形状の基材に塗布が可能で、宇宙空間(宇宙ステーションやスペースシャトル内など)での熱利用や熱によってがん細胞を死滅させる温熱療法(ハイパーサーミア)など、真空空間や微細空間での局所加熱への応用が期待できる。
同グループは、P3HTに塩素イオンをドープ(物性を変化させるために化学物質を少量添加すること)すると、P3HTが800ナノメートル付近の波長の光を吸収し熱に変換することを発見した。また、太陽光を熱に変換することも判明。従来、光を熱に変える材料として、カーボンブラックや金ナノ粒子などが知られているが、さまざまな基材に塗布できて自由に成型することができるものは存在しなかった。
本研究が評価され、このほどアメリカ化学会(ACS)が発行する高分子分野で最高ランクの学術雑誌に論文が掲載された。(Macromolecules 2019, 52, 2,708-717)
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