新日鉄住金 第65回大河内賞にて「大河内記念生産賞」を受賞
大河内賞は、故大河内正敏博士の功績を記念して、大河内記念会が我が国の生産工学・高度生産方式の実施等に関する顕著な業績を表彰する伝統と権威のある賞です。贈賞式は本年3月26日に日本工業倶楽部会館で実施されます。
受賞した技術の概要は以下のとおりです。
1.開発の背景
橋梁用ワイヤの分野においては、安全性の確保、建設費の削減、社会インフラ整備の促進のため、その高強度化が必要不可欠な課題でした。高強度なワイヤは、線材にLP処理(溶融鉛を使った熱処理)と伸線加工技術を組み合わせることで製造されておりましたが、当該製造法では処理能力が低いことに加え、鉛を使用することから、国によっては環境規制の対象とされてきました。こうした中で、低環境負荷かつ大量生産可能な高強度線材の製造が求められました。
2.開発の特徴と成果
鋼成分へのボロン添加により1960Mpa級ワイヤの高延性化を可能とする組織制御と、生産性が高く環境負荷の低い圧延工程インライン型の溶融塩浴熱処理(DLP)の組み合わせにより、世界で初めて鉛フリー熱処理による高強度ワイヤ用線材の量産に成功しました。
(線材・ワイヤの製造工程)
3.今後の展開
本技術により製造された1770~1960MPa級高強度ワイヤ用線材は2008年から出荷され、センタースパンの長い多くの吊橋・斜張橋に採用されております。
本技術を活用することで従来の強度を超えるワイヤ製造が世界各地で可能となることから、数多く計画される世界の長大橋のみならず、構造物ロープや架空送電線などの交通・エネルギー分野への高強度ワイヤの素材供給を通じて、世界各国のインフラ整備に貢献して参ります。
(お問い合わせ先)総務部広報センター TEL:03-6867-2146
以 上