新たながん医療創成のために 「昭和大学先端がん治療研究所」を開所 -- 米国 MD Anderson がんセンターとの協働の下 --

昭和大学

昭和大学は、がん克服に向けた新規予防・治療・診断技術の開発を目的に2018年8月1日、「昭和大学先端がん治療研究所」を開設しました。米国 MD Anderson がんセンター上野直人教授をディレクターとして招聘し、日本発のがん医療を創成します。  先端がん治療研究所は、2018 年8 月、「世界を結ぶ橋渡し研究」を目標に、ディレクターとして米国テキサス州立大学MD Anderson がんセンター乳腺腫瘍内科部門 上野直人教授を迎え、所長に鶴谷純司教授が就任し、発足しました。  10月31日には、グランドプリンス新高輪ホテルにて、学内関係者および学外招待者、120名を越える方々が参加し、「開所記念講演会および開所式」が開催されました。  「開所記念講演会」では、上野直人教授をはじめ、5名の方が「今後のがん治療に対する昭和大学の指針と課題」について講演を行いました。 革新的がん医療創成のために  ― MD Anderson がんセンターとの協働 ―  日本にはがん治療薬の開発を阻む「Death Valley(死の谷)」があると言われています。「基礎と臨床」「アカデミアと企業」「日本と世界」の間の死の谷です。この谷に橋を架けるため、医系総合大学である我々に何ができるのか、それを自問しました。その解として誕生したのが「先端がん治療研究所Advanced Cancer Translational research institute: ACT」です。  ACTは「先進性」「多様性」「国際性」をキーコンセプトとします。それを実現することでDeath Valleyを乗り越えられると考えます。そのために我々は、米国におけるがん研究の中心MD Anderson がんセンター 上野直人教授との協働を決断しました。  上野直人ディレクターは、米国において30年間にわたり、がん医療の最先端を走り続けています。著名な腫瘍内科医であり、分子腫瘍学者であり、がんサバイバーでもあります。それは、医師・研究者・患者全てを知ることを意味します。上野ディレクターはACTを統括し、その類い希な人的ネットワークを生かし、世界のトップ研究者やメガファーマとの橋渡しを担います。 ACTが目指すもの  診断・治療・予防技術の新規提案・開発を目標に、基礎・臨床・産学連携トランスレーショナルリサーチ(橋渡し研究)を推進し、社会に貢献する先進的研究を進めます。狭義の橋渡し研究にとどまらず、人・組織・国の間を隔てる垣根を取り払い、多様な人々と協働し、広範な橋渡し事業を行います。  がん薬物療法の治療効果や副作用は、遺伝子多型・異常の違いによって個人差が生じます。がん患者一人ひとりに有効な治療法の選択や薬物有害反応を回避する事が極めて重要です。ACTでは企業・医師主導治験を元に、Precision Medicine(精密医療)の実現を目指します。  これらの研究を通して、がん患者の苦痛を取り除くことを最終目標に、ARO(※1)に有能な人材を配置し、日本国内はもとより世界的にも上位の研究所を目指して参ります。 ACTを支援する3人のエキスパート   昭和大学腫瘍内科、ブレストセンター、臨床薬理研究所がACTを側面から支えます。 腫瘍内科教授 角田卓也:免疫療法の先駆けであり、オンコセラピー・サイエンス社長、メルクセローノ メディカルアフェアーズオンコロジーヘッドを歴任した経営者でもあります。基礎・臨床研究から企業経営まで豊富な経験を生かし、トランスレーショナルリサーチの推進をバックアップします。 ブレストセンター所長 中村清吾:乳がんチーム医療を日本に確立したパイオニアであり、乳腺外科の第一人者です。手術件数・症例数は常にトップクラスであり、そのスケールメリットを生かした臨床サイドからの支援を行います。 臨床薬理研究所長 小林真一:臨床薬理学の権威であり、学術団体のみならず厚生労働省委員会で臨床研究における提言・アドバイスを行っています。本研究所の臨床研究を強力にサポートします。  更に、昭和大学附属8病院、臨床試験支援センター、University Research Administratorが連携し、ACTを支援します。 ■研究  前身である腫瘍分子生物学研究所時代の研究シーズを基に、新規がん分子治療標的と治療薬の同定・開発、薬物耐性機構の解明と克服法の提案、新規がん治療薬の薬効・毒性評価を中心に、がんゲノム医療や免疫療法もテーマに加え、多角的に研究を遂行していきます。また、昭和大学附属8病院から、臨床検体の提供を受け、DNA(※2)、mRNA(※3)、ctDNA(※4)、腫瘍オルガノイド(※5)のバイオバンク(※6)を構築します。  基礎医学データを臨床サンプルで証明し、臨床現場の疑問を基礎医学技術で解明する、そのプロセスを繰り返し、積み重ねることで、がんの撲滅を目指します。医師・基礎・臨床研究のエキスパートを配置し、個を生かすとともに、絶え間ない議論を基に、多様な人材が多角的に相互補完することで、研究を重層化していきます。 ■教育研修  基礎から臨床医学研究まで、専任教職員、経験豊富な技術員が、専門領域の知識・経験を生かした指導を行い、次世代を担う医療人と研究者を育成します。医系総合大学である昭和大学のネットワークをフルに活用し、医・歯・薬・保健医療学・附置研究所との相互連携・交流を基に、多様で多層な教育を行います。 ■国際交流 国際共同研究の推進: MD Anderson Cancer Centerを始めとして、世界の大学・研究機関との国際共同研究を立案し、Web会議を通じて、がん医療のトップリーダー、先駆的研究者達と日常的なディスカッションを交わし、研究を進めます。 海外研究者交流事業:海外から研究者を招聘し、学術セミナーを行います。同時に、昭和大学から大学院生・若手研究者を国外に派遣し、双方向の国際交流を推進します。 ■語句説明 ※1 ARO(Academic Research Organization):研究機関や医療機関等を有する大学等がその機能を活用して、医薬品開発等を含め、臨床研究・非臨床研究を支援する組織のこと ※2 DNA:deoxyribonucleic acid。生物の遺伝情報の本体。DNA異常の蓄積が、がんの主因である。 ※3 mRNA:ribonucleic acid。DNAから遺伝情報を写し取った、タンパク質合成に必須の物質。 ※4 ctDNA(circulating tumor DNA):がん細胞から血液中に放出された微量DNA。がんの発生・再発の早期診断に役立つことが期待されている。 ※5 オルガノイド:試験管内で、細胞から3次元的に再構成された臓器のこと ※6 バイオバンク:同意の下で提供された生体試料(血液・組織)と医療情報を併せて保存し、病気の原因解明、新たな検査法、治療法、創薬などの医学研究・開発に活用する仕組み ■参考  昭和大学先端がん治療研究所HP  http://www.showa-u.ac.jp/rsch_acad/act/index.html ▼本件に関する問い合わせ先(本件リリース元)  学校法人 昭和大学 総務課(広報担当)  TEL: 03-3784-8059 【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/

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