世界の医療団 日本 、ロヒンギャ難民への緊急医療支援を開始

世界の医療団

MdM日本はアウトリーチ活動を通じて、保健医療へのアクセスが制限される人々、特に子ども、妊産婦を中心とする女性、高齢者を中心に一次医療につなげる役割を担います。
信仰や慣習を尊重しながらも、支援対象者がこれ以上の身体的・精神的な傷や疲労を負うことがないよう保健医療のアクセスを改善していきます。


 
世界の医療団 日本は、ミャンマーからバングラデシュへの大量避難が続くロヒンギャ*1避難民 (以後ロヒンギャ)に向けた緊急医療支援活動を開始します。2017年8月25日に発生したロヒンギャ族武装組織とミャンマー治安部隊の武力衝突から3ヶ月、ミャンマーからバングラデシュへと避難する人々の数は623,000人*2 に達しました。バングラデシュ南東部コックスバザールにある複数の難民キャンプには、約84万人*2  (11/24現在)のロヒンギャ難民が避難しています。
 

ロヒンギャの人々は国籍を剥奪され、住む場所を奪われ、歴史的にも迫害を受け続けてきました。8月の衝突を機に暴力が激化し、60万人を超える人々が土地を追われ、国境へと逃れてきました。MdMのクリニックを訪れる大勢の人々が、銃殺や暴行、焼き討ちなどの暴力を証言しています。圧倒的な避難民数の多さから現地では事態の収拾がつかない状況が続いており、水も食料も医薬品も不足、人々は栄養不良状態にあるほか劣悪な衛生状況での感染症の拡大が懸念されています。子どもたちは教育を受けることすらできず、今はそれぞれが生きることだけを考えなくてはならない日々が続いています。
 
世界の医療団 日本(MdM日本)は11月上旬、現地に調査チームを派遣、医療・栄養・衛生状況における支援ニーズについての調査ミッションを実施しました。調査の結果、一次保健医療の量と質の向上が喫緊の課題であることが判明、避難民がもっとも密集するKutupalong(クゥトウパロン)難民キャンプにて支援活動を行うことを決定しました。同キャンプでは、2017年89月より世界の医療団フランスと現地パートナー団体Gonoshasthaya Kendra(GK)が一次保健医療を中心とした医療支援を実施、現在も1日に200名以上の診察を行っています。高い医療ニーズに対応が追いつかないことから、より規模の大きいクリニックを開設する予定です。

世界の医療団日本の支援 アウトリーチ活動 -必要な医療へつなぐ
MdM日本はクリニック周辺のアウトリーチ活動を通じて、クリニックから離れた場所に住むなど保健医療サービスへのアクセスが制限される人々、特に子ども、妊産婦を中心とする女性、高齢者を中心に一次医療につなげる役割を担います。ロヒンギャの人々は、栄養や健康状態の悪化を隠す傾向があるとも言われます。日本から常駐のメディカル・コーディネーターとジェネラル・コーディネーターを派遣、また女性を中心としたコミュニティ・ヘルス・ワーカー(CHW)でチームを組成し、最も保健医療サービスから遠いとされる人々に接触し、サービスを受ける必要性を説き、クリニックに通うにあたっての心理的・物理的障壁の最小化に努め、クリニックを訪れるように促します。経過観察が必要な対象者には、CHWによる継続的なモニタリングを実施します。また、裨益者自らが健康に対する決定権を有することの理解が深まるようCHWによる継続的なモニタリング啓発活動を実施します。
 
「同じアジアで起きている人道危機に、MdM日本として、これまでの事業経験を活かすことができる支援方法を模索していました。信仰や慣習を十分に尊重しながらも、支援対象となる人々がこれ以上の身体的・精神的な傷や疲労を負うことがないよう保健医療のアクセスを改善していきます。難民となった人々が人道的対応がなされた環境に住むこと、国際社会がまず率先して取り組むべき課題だと考えています。」MdM日本 理事長ガエル・オスタンは話しています。

*1 ミャンマー北西部ラカイン州に住むイスラム系少数民族
*2 IOM Bangladesh -Rohingya Refugee Crisis Response
 

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