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3月8日より開催中の「ミュシャ展」には、世界的に名高い画家アルフォンス・ムハ(ミュシャ)の集大成「スラブ叙事詩」をはじめとした貴重な作品を鑑賞しに、既に多くの日本人が訪れています。彼の精神やその作風に影響を与えた、美食文化と多様な魅力にあふれた南モラヴィア地方をご案内いたします。
アール・ヌーヴォーを代表する画家アルフォンス・ムハ(ミュシャ)は、1860年、南モラヴィア地方の中心都市ブルノの近郊で生まれ、その幼少期と青年期をこの地方で過ごしました。100km2に7つのユネスコ世界遺産を有し、ワインの名産地として知られるこの地域で過ごした年月は、彼の作風形成に影響を与えました。ムハが歩き、味わい、そして影響を受けた場所はどんなところなのでしょうか?
ムハはチェコ共和国第2の都市ブルノの中学校に通い、聖ペトロフ教会の聖歌隊員となりました。教会の塔に登れば、ムハも眺めたブルノの壮大な景色が目の前に広がります。16年前に発見されたチェコの隠れた至宝、聖ヤコブ教会の納骨堂には、50,000人以上の骨が埋葬されており、世界第2の規模を誇ります。ムハがブルノにいる間に納骨堂が発見されていたら、彼の創作意欲もより掻き立てられたことでしょう。青果市場下のラビリンスでは、彼が楽しんだ19世紀末の雰囲気を感じられます。ムハが「スラブ叙事詩」を完成させたすぐ後には、ユネスコ世界遺産に登録されているトゥーゲントハット邸が完成しました。
ムハが23歳の時、最初のパトロンに出会ったのがミクロフでした。この出会いがなければ、彼がこんなにも有名になることもなかったかもしれません。ミクロフはチェコの中でも良質なワインの生産地として知られており、世界で最も古い木製のワイン樽も残されています。ミクロフに滞在していた期間、ムハもその壮大な景色や城を眺めながら人々を描いたことでしょう。もしもミクロフで特別なものを味わいたい場合は、ブドウの収穫時期にしか味わえない若いワイン「ブルチャーク」をお忘れなく。一度飲んだらなかなかやめられないことから、「チェコで最も危険な飲み物」と呼ばれることもあります。
1292年、「スラブ叙事詩」でも描かれているボヘミア王プシェミスル・オタカル2世は南モラヴィアのレドニツェ=ヴァルチツェ地区をリヒテンシュタイン家に与えました。レドニツェ城とヴァルチツェ城を囲む約300km2に渡るこの一帯は、リヒテンシュタイン家によって何世紀にもわたり作り上げられ、現在はその美しい一帯全てが一般に公開されています。広大な庭園をゆっくり散歩したり、馬車やボートでの散策を楽しむことができます。
ワイン畑や大草原が広がる南モラヴィア地方は、色濃く残る伝統文化や発達した食文化が有名な、1年を通して楽しめる場所です。Wi-Fi完備の快適な直行電車を使用すれば、プラハから2時間半、ウィーンからも2時間未満で簡単にアクセスが可能です。
日本最大規模のミュシャ展を楽しんだ後は、チェコ音楽に耳を傾け、チェコ共和国での休暇をイメージしてみてはいかがでしょうか?
『国立新美術館開館10周年 チェコ文化年事業 ミュシャ展』
会期:2017年 3月8日(水)~2017年6月5日(月)
会場:国立新美術館 企画展示室2E
休館日:毎週火曜日、ただし、5月2日(火)は開館
開館時間:10:00-18:00 金曜日は20:00まで
4月29日(土)-5月7日(日)は20:00まで
※入場は閉館の30分前まで