第69回世界保健総会(WHA)においてDNDiは研究開発の資金調達および調整について声明を発表 特定非営利活動法人DNDi Japan 2016年07月14日 17:44 継続してヘルスリサーチ分野の監視・調整・資金調達について協議していくことを要請 <2016年5月27日DNDiがウェブ上で発表した声明の参考和訳です。> [ジュネーブ・スイス、2016年5月27日]DNDiは、第69回「世界保健総会(World Health Assembly-WHA)」において加盟各国の自由討論(the Open-Ended Meeting)の結果を踏まえ、今後とも継続してヘルスリサーチ分野の監視・調整・資金調達について協議していくことを要請しました。 DNDi(Drugs for Neglected Diseases initiative顧みられない病気の新薬開発イニシアティブ)のPolicy Advocacy(政策提言)の責任者であるミシェル・チャイルズ(Michelle Childs) はDNDiとして以下の声明を発表しました。 「医療革新の取り組みや資金調達の組織体制は残念ながら十分に機能しておらず、ほぼ失敗に終わっています。顧みられない熱帯病(NTDs)、新たな感染症、薬剤耐性の研究開発は立ち行かず、肝炎治療へのアクセス(治療の機会)も限られています。 そのためDNDiは、顧みられない熱帯病(NTDs) (リーシュマニア症のデモプロジェクトを含む)の枠を超えてポートフォリオを拡充してきました。 『イノベーションとアクセス(革新と治療の機会)』は今まで以上に政治的な課題となっていますが、組織体制の失敗への対応は不十分です。加盟各国の会議ではいくつかの協議事項において、研究開発の枠組みが提案されました。 しかしながら異なる疾病に対する枠組みは下記5つの重要課題に対応していません。 1. 研究開発のニーズを明らかにするグローバルな組織がない。 2. グローバルな合意に基づく優先順位がない。 3. 研究開発の重複を避ける調整が行われていない。 4. 持続的な資金調達が行われていない。 5. (顧みられない患者にとって)入手可能となる医薬品の研究開発を導くグローバルな指針がない。 そこで共通のコアな枠組みと個々の要素を考えなければなりません。 DNDiのモデルは、オープンイノベーション(open innovation)、デリンケージ(de-linkage医薬品の最終価格を研究開発コストから切り離す)、ならびに入手可能な医薬品へのアクセス(affordable access)を基盤にしています。私たちは自らの経験に基づき、より持続可能で効率的なイノベーションシステムを実現するために、加盟各国に下記4つのアクションの検討を提案します。 1. 世界保健機関(WHO)に、公衆衛生の全重点領域を対象とした優先順位の確立を要請する。 2. WHOグローバル・オブザーバトリー(Global Observatory)への持続的な資金調達が保障されることで公衆衛生の全重点領域への取り組みを可能にする。 3. プールされた資金がニーズのあるすべての領域をカバーし、合意された優先順位により、CEWG(Consultative Expert Working Group on Research and Development: Financing and Coordination)のイノベーションの原則にのっとったデリンケージを含むアクセスを可能にする。 4. 多様な枠組をつなぎ合わせ、研究開発に関わるすべての人々や公衆衛生の全重点領域に関わる枠組みを積極的に作り上げる。これにはCEWGの原則を施行するために、WHOが他の政策フォーラムに関わることも含まれる。 加盟各国はWHOに対して、研究開発の政策に一貫性をもたらす政府間協議を行い、研究開発のグローバルな枠組みの構築を提言するべきです。」 以上 【Drugs for Neglected Diseases initiative, DNDi :顧みられない病気の新薬開発イニシアティブ】 1990年代後半、発展途上国の現場で医療活動に従事していた国境なき医師団のチームは、顧みられない病気に苦しむ患者を治療できないことに苛立ちを募らせていました。患者の治療に使用する医薬品の効果がなかったり、強い副作用があったり、あるいは製造中止になって使用ができないなどの問題があったためです。そこで、国境なき医師団は、1999年に受賞したノーベル平和賞の賞金の一部を、患者のニーズを重視して、顧みられない病気に対する治療薬の研究開発(R&D)に取り組むための革新的な組織の設立に充てることに決定し、スイス・ジュネーブに本部を置く非営利財団として2003年7月に正式に発足しました。DNDiはヨーロッパを中心とした多くの政府機関および私設財団から資金援助を受けて活動しています。2013年度からは日本政府も参画する公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)による資金援助も受けています。また、WHOの熱帯病医学特別研究訓練プログラム(WHO-TDR)が常任オブザーバーとして参加しています。www.dndi.org/ 【DNDi Japan】 DNDi Japanは、2003年に日本の活動を開始し、2009年に特定非営利活動法人として東京都の認証を受けました。顧みられない熱帯病(NTDs)に苦しむ途上国の人々を援助するために日本の窓口として、DNDi本部のプロジェクトを支援し日本国内外の協力先と協働して、NTDsの治療薬開発、それに関連する能力開発、ならびに啓発活動など、発展途上国の人々の保健医療、福利厚生に貢献することを目的とした活動を行っています。www.dndijapan.org/ お問合せ:広報担当 松本眞理(mmatsumoto@dndi.org/ TEL03-4550-1195)
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