【麻布大学】イヌは家族のつながりを地域へ広げ、ウェルビーイングを高める

麻布大学

麻布大学獣医学部介在動物学研究室及び群馬大学の研究グループは、184名を対象とした2週間の追跡調査から、イヌやネコの飼育がウェルビーイングに及ぼす仕組みを明らかにしました。その結果、イヌの飼育は家族との関わりを地域や友人との交流へと広げることで、ウェルビーイングを高めることが示されました。また、人との交流はストレス応答性に関わるコルチゾールや腸内細菌叢とも関連していました。本研究により、イヌの飼育が社会的・生物学的な経路を通じて人の健康に寄与している可能性が示され、イヌとの共生が人の健康やウェルビーイングにもたらす効果のさらなる解明が期待されます。 本研究は、科学研究費補助金、基盤研究S「ヒトイヌ共生によるWell-beingの向上-身体・向社会性・社会ネットワークの強化との関連」(代表菊水健史、課題番号JP23H05472)の支援を受け、Frontiers in Psychologyオンライン版に2026年9月3日に掲載されました。https://doi.org/10.3389/fpsyg.2026.1810355 <研究成果の概要> ●背景と目的 近年、伴侶動物は、人の精神的健康やウェルビーイングを支える存在として、広く知られています。伴侶動物が家族や地域の人との交流を促す「社会的触媒」として働くことや、ストレスホルモンや腸内細菌叢など、生理学的な変化との関連も注目されています。 本研究では、伴侶動物との関わりが人のウェルビーイングにつながる仕組みを、日常生活における家族・地域との交流と生理学的要因の両面から包括的に明らかにすることを目的としました ●方法 184名を対象に、経験サンプリング法を用いて、2週間の日常生活における家族、友人、地域住民との関わり、イヌ・ネコとの関わりを記録しました。さらに、ウェルビーイング、自尊心、一般的信頼感などの心理学的指標を測定するとともに、尿中コルチゾール濃度および腸内細菌叢といった生理学的な因子を解析しました。これらのデータを用いて構造方程式モデリングにより、伴侶動物とウェルビーイングを結ぶ直接的・間接的な経路を解析しました。また生理学的な因子と伴侶動物の飼育や他者との関わり、心理学的指標との関連を探索的に解析しました。 ●結果 • イヌやネコの飼育そのものがウェルビーイングを直接高める効果は認められませんでした。 一方で、 • イヌの飼育は、家族との関わりや地域住民や友人との交流を増やしました。 • 特に女性では、家族との関わりが、地域や友人との交流へと広がることで、自己肯定感やウェルビーイングの向上と関連していました。 • ネコの飼育では家族や地域との関わりとの明確な関連は認められませんでした。 • また、親しい人との会話が多い人ほど尿中コルチゾール濃度が低く、イヌの飼育や人との交流は腸内細菌叢の構成とも関連していました。 ●考察・解説 本研究により、伴侶動物はウェルビーイングを直接高めるのではなく、人とのつながりを通じて間接的に寄与することが示されました。特にイヌの飼育は、家族との関わりを深めるだけでなく、そのつながりを地域住民や友人との交流へと広げることで、自己肯定感やウェルビーイングの向上と関連していました。これは、家族との関わりそのものだけでなく、そのつながりが家庭の外へ広がることの重要性を示唆しています。また、人との交流はストレス応答性に関わるコルチゾールや腸内細菌叢とも関連しており、イヌの飼育が社会的・生物学的な経路を通じて人の健康を支えている可能性も示されました。本研究は、イヌが人と人とのつながりを育み、心身の健康を支えるメカニズムの一端を明らかにしたものです。 図:本研究の概要図。イヌ飼育は、家族・地域との交流促進を介して、女性のウェルビーイング向上と有意に関連していた。さらに家庭におけるパートナーとの会話量はコルチゾール分泌と負の相関を示し、イヌ飼育および地域との交流は腸内細菌叢の構成と有意な関連を示すなど、生理的側面から心身の健康への関与も確認された。 <参考情報> ●麻布大学について 麻布大学は、2025年に学園創立135周年を迎えました。動物学分野の研究に重点を置く私立大学として、長年の教育研究実績を基盤に新たな人材育成に積極的に取り組んでおり、獣医学部(獣医学科、獣医保健看護学科、動物応用科学科)と生命・環境科学部(臨床検査技術学科、食品生命科学科、環境科学科)の2学部6学科と大学院(獣医学研究科、環境保健学研究科)の教育体制の下、ヒトと動物のよりよき関係をつなぐ専門性の高い人材育成を進めていきます。 麻布大学の概要 ▼本件に関する問い合わせ先 事務局 入試広報・渉外課 久保 住所:神奈川県相模原市中央区淵野辺1-17-71 FAX:042-754-7661 メール:koho@azabu-u.ac.jp 【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/

その他のリリース

話題のリリース

機能と特徴

お知らせ