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実践女子大学生活科学部食生活科学科(現:食科学部食科学科)の学生3人が、江戸時代に日本全国を測量した伊能忠敬が食したとされる「献立書」もとに、抹茶に合う茶菓子のレシピを開発しました。献立書が伝わる長野県下諏訪町の下諏訪宿本陣岩波家(※)の28代当主・岩波太左衛門尚宏氏との社会連携活動の一環。昨年度の「下諏訪宿本陣EDO BENTO」の開発に続き、後輩たちが観光客をもてなすため茶菓子に領域を広げ、地域の食材を活用して江戸の食文化を現代につなげる取り組みです。9月26日(土)、27日(日)には、日本庭園を望む本陣で行われる観光客向けの秋の特別企画「観て・聴いて・味わって」が開かれ、学生考案の茶菓子を提供します。将来は、本陣や諏訪地域の観光施設でEDO BENTOと共に販売も視野に入れています。
約220年前の「御菓子」をヒントに。地域の食材を生かした「梅わらび餅」「野沢菜クッキー」「花梨ゼリー&桜ゼリー」の3品
岩波家には、1809年9月24~27日(新暦11月1~4日)の4日間の献立が和紙に記された献立書(縦34㌢×横382㌢)が遺され、研究の結果、伊能忠敬らの測量隊が下諏訪本陣に宿泊した際に用意されたものとわかりました。本陣に伝わる献立書には、本膳料理が記されています。本膳料理とは室町時代に完成され、その内容は酒と肴・菓子・茶が組み込まれたもので、菓子に関しては「御菓子組重入」や「御菓子重詰」と記載されたところに「鰻蒲焼」「牛房太煮」「青葉(野沢菜)」「金糸(卵)」などが明記され、お酒やお菓子、お茶がもてなされたとみられます。
昨年度は、この献立書をもとに佐藤幸子教授の調理学第2研究室のゼミ生2人が江戸時代の料理書を調べ、当時の食材や調理法を推察しながら「下諏訪宿本陣 EDO BENTO」を開発しました。今回は、観光客の新たなおもてなしとして、岩波氏が、庭園を眺めながら琴を聴き、岩波氏自ら抹茶を点てて茶菓子を味わってもらう、実践女子大学とのコラボ企画を提案。4月から、調理学第2研究室に所属する4年生3人が抹茶と共に提供する茶菓子のレシピ開発を進めてきました。
食材は、わらび、梅肉、青菜、寒天と花梨。試作を重ねて
今回のレシピ開発では、献立書の本膳や御菓子に記されたわらび、梅肉、青菜を食材として選びました。さらに、献立書には記載されていないものの、当時すでに存在し、現在も下諏訪地域と関わりの深い寒天と花梨を取り入れ、「梅わらび餅」「野沢菜クッキー」「花梨ゼリー&桜ゼリー」の3種類の茶菓子が完成しました。
「梅わらび餅」は、梅肉と山菜のわらびの根を粉末にしたわらび粉を使用。さらに、下諏訪産の凍み餅の粉を加え、一口で食べられる大きさに仕上げました。梅の酸味を生かした爽やかな味わいが特徴です。
「野沢菜クッキー」は、献立書に記された青菜を、現在の長野県で親しまれている野沢菜漬けとして取り入れました。江戸時代の料理には「煮る」「蒸す」「和える」の調理法に、南蛮貿易でカステラなどの焼き菓子が伝わり、「焼く」という調理法も加わったことから、野沢菜を焼き菓子として取り入れ、当時の料理の多彩さを現代の菓子に生かしました。
「花梨ゼリー&桜ゼリー」は、幕末にはすでに青物問屋で取引されていた下諏訪特産の寒天を使った2種類のゼリーです。花梨ゼリーは下諏訪の名産である花梨の爽やかな風味を生かし、桜ゼリーは和食の季節感を表現した桜の香りに。白餡を加えてまろやかな甘さを出し、本陣の日本庭園にも似合う、のど越しがよく、口当たりの良い食感に仕上げました。
献立書には食材が記されている一方、料理の分量や詳しい作り方までは残されていません。そのため学生たちは、江戸時代の料理書などを調べ、食材の特徴や当時の調理方法を手がかりに試作を重ねました。佐藤教授は、こうした「料理者の創意工夫」が献立書の特徴の一つであり、現代の食材や料理法に応用して、地域に受け継がれた食文化を現代、そして次の世代につなげる可能性を示唆しています。
花梨ゼリー
・「梅わらび餅」を考案した阿久津華奈さん(生活科学部食生活科学科食物科学専攻4年)
「梅をしっかり感じられるように、梅とわらび餅をどのように組み合わせるか悩みました。試作を重ねることで少しずつ理想の形に近づけ、下諏訪産の凍み餅の粉も取り入れました。一口でパクッと食べられる大きさにもこだわり、梅の酸味を生かした、夏にぴったりの爽やかなお菓子に仕上げました」
・「野沢菜クッキー」を考案した河野涼菜さん(生活科学部食生活科学科健康栄養専攻4年)
「特にこだわったのは、クッキーのサクサクとした食感です。生地の温度や混ぜ方、休ませ方を調整し、野沢菜も切る大きさや量など、さまざまな組み合わせを試しました。野沢菜の風味や食感を生かしながら、クッキーの甘さやサクサク感も楽しめるように配合を考えました。試作を重ねる中で、食材の特性を理解してレシピを組み立てることの大切さを学びました」
・「花梨ゼリー&桜ゼリー」を考案した木島綾音さん(生活科学部食生活科学科食物科学専攻4年)
「最初は羊羹の開発に取り組みましたが、思うように仕上がらず、試行錯誤を重ねて桜ゼリーに変更しました。寒天を入れすぎると固くなってしまうため、プルプルとした食感になるよう配合を何度も調整しました。アイデアを出すだけでなく、材料や作り方まで考えて、実際に商品として形にすることの大切さを学びました」
桜ゼリー
佐藤幸子教授(食科学部食科学科)
「下諏訪宿本陣岩波家に遺されていた貴重な江戸時代の『献立書』の翻刻から、当時の食材、料理を江戸時代の料理書など検証し、『本陣EDO BENTO』や『本陣 御茶菓子』のレシピ開発に取り組んできました。こうした研究活動は、学生たちの主体的な文理横断的な思考力や創造力を生みだし、自己成長が実感できたのではと感じました。また、『献立書』をもとに展開してきたサスティナブルな江戸食のレシピ開発は、地元の方や観光に訪れる人々に地域固有の食として広く認知され、地域活性化が少なからず実現できたと実感し、社会貢献を担うものであったと感じました」
※下諏訪宿は中山道と甲州街道が交わる交通の要衝。岩波家は下諏訪宿本陣問屋役を命じられ、1688年から明治維新まで、大名などが宿泊や小休みをする特別な施設である本陣での職務を務めました。現在も主屋を中心とした建造物や泉水庭園が残され、長野県宝に指定されています。
秋の特別企画「観て・聴いて・味わって」概要
日時:2026年9月26日(土)・27日(日)11:00~13:00
会場:下諏訪宿本陣岩波家(長野県下諏訪町)
内容:
・本陣の日本庭園の鑑賞
・琴の演奏
・岩波太左衛門尚宏氏による抹茶の提供
・学生が開発した茶菓子の提供
「梅わらび餅」
「野沢菜クッキー」
「花梨ゼリー&桜ゼリー」
・26日限定として希望者には「下諏訪宿本陣EDO BENTO」を提供
協力:実践女子大学食科学部食科学科 調理学第2研究室
主催:下諏訪宿本陣岩波家
https://iwanamike-honjin.com/
▼本件に関する問い合わせ先
実践女子学園
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メール:koho-ml@jissen.ac.jp
【リリース発信元】 大学プレスセンター
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