城西大学(埼玉県坂戸市/学長:坂本武史)薬学部薬科学科・栄養生理学研究室の矢島克彦准教授は、食品に含まれる脂肪酸の種類が私たちの体の「糖と脂質を使い分ける能力」に影響を与えることを明らかにした。矢島准教授の研究グループは、代謝機能や脂肪燃焼能力が上昇する機能性食品の研究・開発を進めている。このたび、脂肪酸の種類が異なるマフィンを摂取した若年男性を対象とした実験を行い、不飽和脂肪酸を豊富に含むマフィンは一般的なマフィンと比較して「食後の糖質利用」から「睡眠時の脂質利用」へエネルギー基質を使い分ける速度が加速することを確認。この研究成果は、栄養学分野の国際学術誌『The Journal of Nutrition』(8月17日付)に掲載された。
■状況に応じて「糖と脂質を使い分ける能力」が健康の鍵
私たちの体は、活動状況や食事内容に応じて、糖質や脂質をエネルギー源として使い分けている。このような、糖と脂質をエネルギー源として柔軟に使い分ける能力は「代謝柔軟性」と呼ばれ、健康維持に重要な役割を果たす。しかし、この能力は加齢や運動不足、肥満などにより低下することが知られており、糖尿病や生活習慣病のリスクとも関連すると考えられている。
■一般的なマフィンとの違いは、含まれる「脂肪酸の種類」
研究グループは健康な若年男性を対象として、脂質量は同じで脂肪酸の種類だけが異なる3種類のマフィンを摂取してもらった。その結果、オレイン酸やα-リノレン酸などの不飽和脂肪酸を豊富に含むマフィンを摂取した場合、一般的なマフィンに多く含まれるパルミチン酸中心のマフィンよりも、「食後の糖質利用」から「睡眠時の脂質利用」へエネルギー基質を切り替える速度が加速することが確認された。
つまり、今回開発した不飽和脂肪酸比率を高めたマフィンは、「糖と脂質を使い分ける能力(代謝柔軟性能力)」を高める可能性が示されたこととなる。
■将来的には高齢者の健康維持にも期待
今回の研究は若年男性を対象としたものだが、代謝柔軟性は加齢により低下することが知られている。そのため、不飽和脂肪酸を豊富に含む食品を日常的に摂取することで、加齢に伴う代謝機能の低下を予防・改善できる可能性がある。
今後は高齢者や生活習慣病リスクの高い人を対象とした研究を進めるとともに、今回用いたマフィンだけでなく、パンや菓子類、加工食品などさまざまな食品への応用を目指す。
また、同研究グループでは「寝ている間に脂肪を燃やす」食品の研究・開発も進めており、一連の研究は人々の健康の維持、増進に貢献する研究成果となることが期待される。
【研究代表者コメント】
私たちの体は、状況に応じて糖質と脂質を使い分けています。この「代謝柔軟性」の能力が高いほど健康的な代謝状態を維持できると考えられています。今回の研究では、不飽和脂肪酸比率を高める工夫をした食品がその能力を高める可能性を示すことができました。今後は、より多くの人に日常的に利用していただける食品開発にもつなげていきたいと考えています。
●研究者情報 矢島克彦 准教授
https://researcher.josai.ac.jp/html/100000707_ja.html
(関連記事)
・寝ている間に”脂肪を燃やす”マフィンを開発(2024.04.24)
https://www.u-presscenter.jp/article/18983
▼本件に関する問い合わせ先
城西大学広報課
住所:埼玉県坂戸市けやき台1-1
TEL:049-271-7543
メール:koho@stf.josai.ac.jp
【リリース発信元】 大学プレスセンター
https://www.u-presscenter.jp/