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【シュローダー】2025年3月 グローバル債券チームによる経済見通し 

シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社

ジュリアン・ホゥダン
グローバル・アンコンストレインド債券チーム・ヘッド

 
グローバル債券やグローバル・クレジットを運用するグローバル・アンコンストレインド債券チームによる、マクロ経済環境見通しとポートフォリオへの示唆をご紹介します。


グローバル・アンコンストレインド債券チーム(以下、運用チーム)は、世界のさまざまな状況を分析し、現在のマクロ経済環境とその方向性を評価しています。

ソフト・ランディング・シナリオを引き続きベースケースとしながら、ノー・ランディング・シナリオ、つまり、米連邦準備制度理事会(FRB)が今サイクルで追加利下げを実施しないと予想するシナリオは大きなテールリスクだとみています。今回各シナリオの実現可能性に変更はありませんが、その裏付けとする経済指標や状況については様々な変化がありました。


米雇用統計と消費者物価指数(CPI)からタカ派的な警告

2月に発表された経済指標については、米国の労働関連統計が引き続き好調で、新規失業保険申請件数も引き続き低水準と、米労働市場の緩みが止まり、再び引き締まりつつある可能性が示唆されました。足元の失業率はFRBによる2025年末の予想を下回っています。そして、1月のインフレ率は加速し、FRBの目標を上回る状況が続きました。このように、FRBの2つの目標双方でタカ派的なサプライズが見られました。

 


そうであれば、ノーランディング・シナリオのリスクが高まっているのではないか?

いえ、運用チームではそうは考えていません。もちろん、これらの動きをそれぞれ単独で見た場合、FRBが再び利下げを行えない、あるいは行わないという可能性は高くなります。しかし、単独での判断では不十分であり、他の重要な要因(主にエネルギー、貿易、消費)と組み合わせて考える必要があります。

まず、1月のインフレ率が強かったのは事実ですが、自動車保険が非常に好調となる等特異な要因があったほか、残存する季節性といったテクニカル要因も強さに寄与した可能性があり、翌月には反転する可能性があると考えます。中小企業のNFIB物価調査等インフレの先行指標は依然として穏やかな水準にあります。また、エネルギー価格はインフレの重要な構成要素であり、その下落は将来のインフレ圧力緩和につながるシグナルであると考えます。

次に、トランプ米大統領が世界貿易の枠組みを変更する計画に着手しています。このプロセスの終着点は不明ではありますが、トランプ大統領が取引に徹することは明確と言えます。一部の国は関税の影響を回避若しくは抑制できる可能性はあるでしょう。とはいえ、大統領就任早々から世界貿易に混乱が生じ始めたことは、現在の経済データが好調を維持していたとしても、将来の経済成長にとって緩やかなマイナス要因として市場に受け止められるだろうと考えます。また、「政府効率化省」設置等政府支出を削減し効率化を図る取り組みは、今後数ヵ月間の需要と雇用の双方に小幅なマイナス影響を与えるとみています。

さらに、昨年10-12月期の消費の力強さは、ノーランディング・シナリオの実現可能性上昇の要因となりました。しかし、この力強さの一部は、今後の関税および価格上昇を警戒した消費者の、2017年末と同様の購入の前倒しであったことを示すデータがあります。このようなデータが正しい場合、2025年1-3月期の消費データでその反転が見られると予想されます。つまり、消費は好調という見方に変わりはないものの、10-12月期は「熱すぎる」状態であったものが、1-3月期には「ほどよい」状態に戻ると思われます。

このような様々な要因を合わせて考えた結果、ノーランディング・シナリオのリスクは変化がないという結論に至っています。


債券市場への影響は?

運用チームが考える各シナリオの実現可能性は今回変化なしとの結論に至りましたが、債券市場ではノーランディング・シナリオの織り込みを進めている兆候がみられます。FRBが年内利下げを見送る確率がより現実的な水準まで上昇しました。よって、ここから更なるタカ派的な価格付けが行われる可能性が低下したと考えられます。言い換えると、「2025年の利下げなし」の方向に市場の見方が修正されたことから、今後景気拡大やインフレ率上昇を示唆するデータによるサプライズの可能性は低下してきたと言えます。
さらに、規制緩和の動きにより、現物債市場がスワップ市場対比で堅調に推移しています。昨年はスワップ市場が優位な展開が続いたことから、この反転の動きも現物債券市場にとってテクニカルな支援材料になると考えます。

これらを理由に米国長期債に対して建設的な見方としますが、ハードランディング・シナリオの実現可能性が高まる明確な兆候が見られない限り、大幅な利回り低下となるとは見ていません。

欧州と英国の金利リスクについては中立の見方に転じています。欧州経済は依然低迷しているものの、下振れの勢いは一服しており、深刻な景気後退リスクは低下したと考えます。また、ECBに対する市場の見方もハト派的な方向へと動きました。なお、国防費の増加が財政政策に与える影響を注視しており、欧州のイールドカーブのスティープ化につながる可能性があります。英国では、1月初めの「財政リスク・プレミアム」を背景とした利回り急上昇の巻き戻しの動きがみられています。現在の利回り水準では魅力に欠けると考えます。


ポートフォリオにおける投資機会

金利戦略では、上述の通り、米国に対して機動的に強気の見方としています。ただし、米イールドカーブのスティープ化については市場のコンセンサスとなったため、見方は中立に引き下げています。

資産配分については、前回から概ね見方を維持しています。米国MBSに対しては金利のボラティリティが低下するなか、魅力的だと考えます。一方、カバードボンドについては、バリュエーションの魅力が低下したと考えます。その他、準ソブリン債や国際機関債に投資機会があるとみています。社債では、満期が短めの欧州投資適格社債の選好を継続いたします。ハイ・イールド債券は全体としてはバリュエーションの観点から慎重な姿勢といたします。


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