「手話通訳者等の意思疎通支援者」の普及啓発ポスターを作成
厚生労働省は、「手話通訳等の意思疎通支援者」の普及啓発を図るため、9月20日から全国公開となる映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』とタイアップします。
「手話通訳等の意思疎通支援者」とは、障害や難病のため意思疎通を図ることに支障がある方に、さまざまな方法でコミュニケーション支援をする人のことです。支援される方の障害の種類や程度、置かれている環境などを踏まえて、ニーズに即した支援を行います。誰もが暮らしやすい共生社会の実現のためには、情報を受け取り、伝え、相互に理解するためのコミュニケーションが欠かせないものであるため、手話通訳をはじめとする意思疎通の支援が重要です。
今回タイアップする映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』は、聴覚障害のある両親から生まれた子ども(コーダ※)である主人公の成長に伴う葛藤と親子の絆を描く物語です。幼少期、手話を使い当たり前のように母の通訳をしていた主人公は、成長するに従い、周囲から向けられる目に戸惑いと疎ましさを感じるようになり、逃げるように東京へ出て行きます。
「きこえる世界」と「きこえない世界」、「故郷の小さな町」と「生い立ちから自由になれる東京」、それぞれのふたつの世界を行き来しながら、さまざまな人々との出会いなどを通じて、母への気持ちに変化が生じ、親の尊さに気づいていく映画です。
作品を通して、「きこえない人」と「きこえる人」が共に生きていくこと、そして、それを手助けするのに欠かせない存在である「意思疎通支援者」について知る機会となることを願い、このたび普及啓発ポスターを作成しました。ポスターは、8月30日から3か月間、全国の聴覚障害者情報提供施設などに掲出されます。
厚生労働省は、今回の取り組みを通して、より多くの方が「手話通訳等の意思疎通支援」の活動について関心を持ち、知るきっかけとなることを期待しています。
※コーダとは
CODA:Children of Deaf Adults / きこえない、またはきこえにくい親を持つ、聞こえる子どものこと
【作品紹介】
宮城県の小さな港町で生まれた五十嵐大。両親の陽介と明子が聴覚障害者であることから、大は二人の「通訳」をすることが当たり前と考えていたが、成長するに従って周囲から向けられる目に戸惑いといら立ちを覚える。気丈な母親に対しても疎ましさを感じ、冷たい態度を取るようになった大は、20歳になると逃げるように東京へ出ていく。数年後、帰郷した大は、母への気持ちの変化に気づく。
監督 呉美保
主演 吉沢亮
脚本 港岳彦
キャスト 忍足亜希子、今井彰人、ユースケ・サンタマリア、鳥丸せつこ、でんでん ほか
原作 五十嵐大『ぼくが生きてる、ふたつの世界』(幻冬舎)
企画・プロデュース 山国秀幸
【特設サイト】
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou_kouhou/kouhou_shuppan/tieup/FutatsunoSekai.html
【今回の取り組みに関する参考情報】
■意思疎通支援者とは
聴覚、言語機能、音声機能、視覚、盲ろう、失語、知的、発達、高次脳機能、重度の身体などの障害や難病のため、意思疎通に支障がある障害者等とその他の者の意思疎通を支援する者。
■主な意思疎通支援者
手話通訳士、手話通訳者、手話奉仕員
要約筆記者、要約奉仕員
盲ろう者向け通訳・介助員
失語症者向け意思疎通支援者
点訳・音声訳奉仕員 など
■主な活躍の場
手話通訳者等は、主に自治体から派遣されて、コミュニケーションの支援が必要な方のところへ赴き、その生活を支える重要な役割を担っています。このほかにも、自治体などで障害者施策の立案に参画したり、民間企業で障害のある人にサービスを提供するための接客業務を行ったり、障害者向けの商品開発に携わるなど、さまざまな関わり方があります。
また、文化芸術やエンターテインメントを障害の有無に関わらず誰もが一緒に楽しむことができるように、舞台手話通訳や字幕・音声ガイドの作成、情報へのアクセスの見直しなどに取り組む企業もあり、基本的な生活の場面に限らず、活躍の可能性が広がっています。
※さまざまな場で活躍する意思疎通支援者のインタビューや仕事内容を紹介しています。
・人と人とのコミュニケーションを支える 誰もが隔たりなくつながりあえる社会へ (withnews)
https://withnews.jp/extra/ishisotsushien/index.html
【意思疎通支援従事者の確保事業 実施主体:朝日新聞】