福岡女学院大学 人間関係学部 心理学科では、授業「心理学フィールドワーク(キャリア)」において、学生たちが心理学の知見を活かした課題解決型のPBL学習に取り組んでいる。中でも、今年度は、包括連携先である春日市から大学側に「若者の主権者意識の醸成と投票行動の促進」という課題を提供いただき、春日市議会、春日市選挙管理委員会、春日市明るい選挙推進協議会の方々に調査報告と提案を行った。
ゲスト講義や春日市議会への訪問、九州心理学会での発表などを通し、1年間かけて学生が中心となり、調査・研究を進めた。実際に以下3つの案を最終報告会で提案した。
◆「住民票を移していない若者~不在者投票の認識と行動~」
若者が投票しない理由の一つにある「住民票を移していない」ことに着目。不在者投票制度の認知と活用による投票行動の改善を図るため、大学内に不在者投票申請サポートブースを設置することを提案した。
◆「春日市における若者の投票行動促進の提案~政治意識の観点から~」
若者世代は「政治的有効性感覚」が低いことに着目。調査の結果、家庭内で政治に関する会話や親との政治参加が多いほど、この感覚が高くなることが判明。そこで、春日市で政治と選挙について学ぶことができる「春日をみつめよう学級」を小学生と保護者向けに開催すること、親子で投票に行くとお得なクーポンがもらえる「親子割制度」の導入を提案した。
◆「投票率促進計画~若者のイデオロギーと道徳基盤より~」
投票率が高い年齢層向けの政策案が多いことから、「立候補者と若者の間にイデオロギーや道徳基盤の違いが生じているため投票に行かないのではないか」という仮説を立て、若者のイデオロギーと道徳基盤による投票行動の違いを調査した。イデオロギー、道徳基盤による投票行動の差は見られなかったが、有効性感覚の不足や知識不足が原因であることがわかり、18歳の有権者向け「バースデーレター」の作成や、「すくすく子ども会」という、子どもの意見をまちづくりに取り入れる事業の実施を提案した。
今回の取り組みを通して、学生らは、心理学の知見を地域貢献に活かすことができるとともに、主権者意識の向上にもつながる貴重な経験となった。学生たちは、この活動を通して、若い世代ももっと政治に関心を持ち、知ってもらうことが大切であると感想を話した。
以下、最終報告会までに行った主な取り組みを紹介する。
◇新成人(18才)に向けた主権者意識醸成のためのチラシ作成
若者の投票率向上のため、春日市で新成人になる18歳に向け選挙啓発チラシを配布することになり、その表面のデザインを本学学生が担当した。(実際に担当したのは、人文学部メディア・コミュニケーション学科の卒業生と人間関係学部心理学科の4年生。)完成したチラシは実際に7月に配布された。
◇春日市選挙管理委員会・春日市議会の職員によるゲスト講義
選挙や投票、議会についてと春日市の現状を知るため、春日市選挙管理委員会と春日市議会の職員の方に実際にお越しいただき、ゲスト講義をしていただいた。今後の課題解決に向け、学びにつながる大変貴重な時間となった。
◇春日市議会訪問 ~ 議員へのインタビュー ~
前述のゲスト講義により、いただいた内容を踏まえ、選挙や議員の仕事など、尋ねたいことを事前に準備し、インタビューを行った。
◇中間報告会
7月と1月にそれぞれ、春日市への課題解決策提案に向け、各グループで進めている研究内容を発表した。当日は春日市議会議員、春日市議会事務局、春日市選挙管理委員会事務局の方にも参加いただき、研究内容の掘り下げやプレゼンの見せ方など、たくさんのアドバイスを受け有意義な時間となった。これらのアドバイスがのちの最終報告会へと繋がった。
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