車のブランド乗り換え意向は、日本35%、米国51%、インド78%。日本は現保有車へのロイヤリティが他国よりも高い傾向
デロイト トーマツ グループ(東京都千代田区、グループCEO:木村研一)は、全世界26ヵ国27,000人以上の消費者を対象に自動車産業に影響を与える様々な課題に関して調査した結果を元に、日本及び米国、ドイツ、インド、中国、韓国、東南アジアの7地域の消費者意識を考察しまとめた「2024年 デロイト グローバル自動車消費者調査」を発表しました。調査は2023年9月から10月にかけて実施しており、車両の電動化、ブランド認識、コネクテッド技術の採用など、自動車業界に及ぼす様々な問題に対する消費者の関心を分析しています。
レポート本文は以下リンク先よりご覧ください。
https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/manufacturing/articles/aut/global-automotive-consumer-study.html
■主な調査結果
電気自動車、ハイブリッド車などに対する消費者の関心
- インド、中国以外の地域では、将来の購入車としてガソリン/ディーゼルといった純内燃機関車を希望する消費者が昨年度調査より増加しており、米国では7割近くにのぼっています。高金利や店頭価格が上昇する中、手頃な価格に対する消費者の関心がバイアスとなり、電気自動車(BEV/PHEV)に対する消費者の関心が弱まっている可能性があります。(図1)。日本でもガソリン/ディーゼルの純内燃機関車を検討している消費者が増加している一方で、バッテリー式電気自動車(BEV)は6%で、昨年度より5ポイント減少しています(図2)。
- バッテリー式電気自動車(BEV)に関する最大の懸念事項は、充電時間、航続距離の不安、コスト、バッテリーの安全性が依然として上位に挙げられています。中でも、充電時間はドイツを除くすべての国(日本:48%、米国:50%、韓国:48%、東南アジア*:45%、インド:43%、中国:42%)で最大の懸念となっています。*東南アジア地域は、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムで構成されています。
- レポートに掲載している主要な地域で共通して、自宅で充電することを想定している消費者が過半数を占めており、特に米国では82%と特出しています。日本でも73%の消費者が自宅での充電を想定している一方で、自宅に充電設備がないことを懸念する消費者が40%を超えています(図3)。
今後の車両購入意向
- ドイツ、米国などの先進国市場とは異なり、インドや中国など一部の市場ではブランド乗り換えの意向が極めて強い傾向にあり、特にインドでは8割近くにのぼりました。それに対して日本では、35%と他市場よりも低い傾向にあり、現保有車ブランドへのロイヤリティが他国よりも高いことがうかがえます。
コネクテッド機能
- コネクテッドサービス利用に追加料金を支払う意思は、インド(71%)、中国(60%)、東南アジア(55%)で過半数を占めている一方で、米国(25%)、日本(23%)、ドイツ(20%)などの先進国市場では低い傾向にあります。
- コネクテッド車両のデータ管理では、大多数の市場で自動車メーカーが最も信頼されている一方で、ドイツ、米国ではいずれの組織・機関も信頼できないと回答する消費者が多く、コネクテッドサービスの収益化に際してまだ課題は多いようです(図5)。
車両サブスクリプション
- 18~34歳の若年層消費者におけるサブスクリプションによる自動車の保有に関して、インドでは67%が関心を示し他市場に比べて高い傾向ですが、日本(34%)、ドイツ(29%)、米国(28%)、韓国(26%)ではインドの半数以下となっています。
- 自動車サブスクリプションサービスに対する懸念として、レポートに掲載する主要な地域で共通して、利用可能な車両の在庫状況や総保有コスト、 高額な月額料金が挙げられており、消費者の根強い懸念を払拭するためにさらなる啓蒙が必要となっています。
デロイト トーマツ グループ パートナー 後石原 大治のコメント
ここ数年、カーボンニュートラル一直線、バッテリーEV一直線であったグローバルのトレンドから少しずつ揺り戻しが起き、EVに求める消費者の期待値と実際の市場で売られているEVの差(性能・価格)が生じていることから、足元では内燃機関車の購入を検討する消費者が増えている可能性があることが今回の調査から見て取れます。日本では、充電インフラの整備状況や国内メーカーの商品投入が慎重なことからも、バッテリーEVへの移行も消極的で、加えて他メーカーへの乗り換え意向も小さいことから、既存の国内メーカーがEVを発売した後に、慎重にその性能を見極めながら移行していくことが予想されます。