腎臓病と「ロコモ」 適度な運動で良好な体調を

皆さんは「ロコモ」についてご存知でしょうか。
運動能力が減退して要介護になったり、その危険が高くなっている「ロコモーティブシンドローム」のことです。

腎臓病の患者さんにも関係のある「ロコモ」について専門の先生からお話を聞きます。

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両国東口クリニック 院長/つばさクリニック 透析センター長 
大山 恵子 先生
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■運動のすすめ~適度な運動で、良好な体調を
慢性腎臓病(CKD)の方は、主治医から「過労に注意」「激しい運動はダメ」、と指導されることがあると思います。確かに過労や激しい運動は腎臓の負担になり腎機能を悪化させてしまう恐れがありますが、長期的な臨床報告で「適度な運動で腎機能を改善した」という報告もあります。運動をしないで安静にしていることが良いとは限りません。

■運動不足の弊害―肥満 ―
運動不足による一番の弊害は、いうまでもなく肥満です。肥満があると血糖値を下げるホルモンであるインスリンがあまり効かなくなるため、インスリンがたくさん分泌されるようになります。インスリン過剰は、腎臓でのナトリウムや尿酸の取り込みを増加させるため高血圧症や高尿酸血症を引き起こしてしまうことがあり、これらは慢性腎臓病を悪化させる原因の一つと考えられています。

■運動不足の弊害 -筋肉量の減少- 
運動不足によるもう一つの弊害は、筋肉量の減少です。CKDの方は、蛋白制限などの食事療法や、運動不足、尿毒症、慢性炎症により筋肉量が減少傾向です。皆さんは、「ロコモーティブシンドローム(通称ロコモ)」や「サルコペニア」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

ロコモとは、筋肉・骨・関節などの運動器の機能が低下したために、生活の自立度が下がる状態をいいます。何も対処をしないと、将来介護が必要になったり、寝たきりになる恐れがあります。高齢者だけでなく早い人では40歳頃から始まるといわれています。

サルコペニアとは、全身の筋肉量が低下していくことで、ロコモと同様に慢性腎臓病の患者さんに多く見られます。筋肉量が少ないと筋肉に蓄えられるカルニチンが減少してしまいます。カルニチンは腎性貧血を改善したり、心臓の収縮力を改善する働きがありますが、筋肉が少ないとカルニチンが蓄えられず、貧血が増悪したり、心臓が弱ってきてしまいます。したがって、運動で筋肉を増加することが大事なのです。


■運動を始めてみましょう!
ロコモの恐れのある方はもちろん、現在は大丈夫でも年齢とともに筋力は低下しますので、今日からでも運動を始めてみましょう。自宅で手軽に始められる運動をご紹介します。椅子が一脚と横になれるスペースがあれば十分です。全ての運動で重要なことは、背筋がしっかり伸びていること、肋骨から腹部を締める意識で腹圧を逃がさないことです。この2つを意識することで体幹部が安定し股関節をしっかりと動かすことができ、運動の質を高めることができます。

普段、運動をしていない方は、まずはできる範囲でやってみましょう。少しずつ回数を増やしていければよいでしょう。肩・腰・膝などに痛みを感じた場合は、痛みが出ない範囲でおこなうか、運動を中止してください。また病状によっては運動を控えたほうがよい場合もありますから、不安がある方は主治医に相談しましょう。


http://www.kidneydirections.ne.jp/support/soramame/school/no74.html
※この記事は、会報誌『そらまめ通信 Vol.74』からの抜粋です。

▼会報誌「そらまめ通信」のご紹介
http://www.kidneydirections.ne.jp/support/soramame/index.html

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【本件に関するお問い合わせ先】
NPO法人 腎臓サポート協会
info@jin-support.org

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組織名
特定非営利活動法人 腎臓サポート協会
ホームページ
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