障害者の就労支援を中心にソーシャルビジネスを展開する株式会社ゼネラルパートナーズ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:進藤均)は、障害者を対象にD&Iに関するアンケート調査を実施しました。
D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)とは、多様な人材を受け入れ、その個性や能力を尊重し、活かすことを目指す考え方です。昨今、D&Iに関する意識調査や統計データは、いくつかの機関や企業が行っており、これらの調査やデータから、D&Iは日本社会においても重要なテーマであり、多くの人や企業がD&Iの推進に前向きに取り組んでいることが分かります。
[2]日本のD&Iの普及度はどの程度だと感じますか?
日本のD&Iの普及度について質問したところ、普及していると答えた方は約13%、普及していないと答えた方は約87%という結果になりました。
[3]あなたは自分への差別や偏見を感じたことがありますか?
「自分への差別や偏見を感じたことがありますか?」という質問に対して、約76%の方が
「ある」という結果になりました。
[4]社会的マイノリティに対して差別や偏見を感じたことはあるか?
「社会的マイノリティに対して差別や偏見を感じたことはあるか?」という質問に対して、「ある」と答えた方は約72%という結果になりました。
[5]D&Iを実現するために、個人ができることは?(複数回答可)
「D&Iを実現するために、個人ができることは?」との質問に対して、回答割合が多い順に、
・社会的マイノリティの人と一緒の職場で働く
・社会的マイノリティの人たちとイベントなどで交流する
・社会的マイノリティの人たちについて本やセミナーなどで学ぶ
・社会的マイノリティの人たちと一緒に生活する
・社会的マイノリティの人たちを支援するボランティアなどに参加する
といった順になりました。
[6]D&Iに関するあなたの経験やエピソードを教えてください。
自由回答形式で全体の28%にあたる36名の方より回答をいただきました。その中から一部をご紹介いたします。
「職場に弱視がいるので印刷物の大きさなど気にするようになった」(30代 男性 注意欠陥/多動性障害(ADHD))
「現在、婚活をしていますが、「精神障害」をカミングアウトすると、そこでお別れとなり、つらい思いをしています。」(50代 男性 躁うつ(双極性))
「親会社がダイバーシティ&インクルージョンに積極的に取り組んでおり、私自身も仕事で健常者の親会社の方々と電話やメール、WEB会議、対面式で一緒に共通の作業をしたり、業務の依頼を受けたりしている。」(40代 男性 その他の精神障害)
「私は聴覚障害とセクシャルマイノリティと2つのマイノリティの属性を持っています。聴覚障害に関しては、「耳が聞こえませんので音声認識使っていいですか?」とレジでお願いしても、無視される、めんどくさそうな態度をされることもあります。職場の会議時ではマスクを取ってくれても、会議が始まる前と終わった後の雑談や談笑は、マスクを装着しみんなとの会話に入れない疎外感を与えるといったことがあります。
セクシャルマイノリティについては、女性のパートナーがいるとカミングアウトしているのにもかかわらず、勝手に彼氏に置き換えて聞いてくる。ある会社の採用面接の時に人事本部長にカミングアウトしたら「同棲?早く結婚しなさい」と言われたので、「いえ、女性、同性という意味です」と訂正したら沈黙の後、話を強制的に切り替えられたこともありました。」(40代 女性 聴覚)
[7]D&Iに関するあなたの意見や提案を教えてください。
自由回答形式で全体の18%にあたる23名の方より回答をいただきました。その中から一部をご紹介いたします。
「一人一人が自分事として、考え行動し、街作りや、バリアフリー施設等の設計段階から、当事者目線で考えまた、みんなお互い様意識をもって行動したり、発言すればSNSをにぎわすことなく、それが当たり前の世界になるのかと思います。(何も特別な配慮や施しが欲しいのじゃ無くどうしたらみんなで出来るかだけなので。お互いの歩みよりですね。)」(50代 男性 下肢)
「一人ひとりが思いやりを持てれば世界は本当に温かく穏やかに過ごせるのにと思います。偏見や人種などどんな事に関してもまず人を理解しなくてははじまらず間違ったイメージだけで振り回されている人も大勢いらっしゃるので対話も大切かなと思います。」(50代 女性 上下肢)
「障がい者関連はインクルージョンというワードで取り扱われることが多くなった気がするが具体性に欠ける。そうしたメッセージの発信に積極的な民間大手では内部障がい者の雇用率が著しく減少していると感じている。(中略)内部障がい者との向き合い方は障がいと言うよりは病気で個別事情が強すぎ、ダイバーシティやインクルージョンの標語では対応し切れず掛かりつけの主治医とよく話し合って下さいで終わってしまっている。このシャットアウトを是正すべきだと思う。」(50代 男性 心臓)
「言葉だけが独り歩きしている感がある。障害者雇用にしても、企業が欲しいのは健常者と同様に働ける障害者手帳を持った人。それ以外であれば定年以降に生活できないような給与の職ばかり。|提案はという設問に答えていないが、正直なところ一部の人しか救われず、社会的な実現は無理なのではないかと思っている。」(40代 男性 うつ)
[8]ダイバーシティが行き届いた企業とは?(複数回答可)
「ダイバーシティが行き届いた企業とは?」との質問に対して、回答割合が多い順に、
・さまざまなバックグラウンド(性別、年齢、国籍、人種、宗教、障害の有無、職歴など)を持つ人材が働いている企業
・社員一人ひとりが、尊重され、公平に扱われている企業
・社員一人ひとりが、自分の個性や能力を活かして働くことができる企業
・社員一人ひとりが、仕事を通じて成長し、自己実現できる企業
・社員一人ひとりが、仕事を通じて社会に貢献できる企業
となりました。
[9]あなたは、どのような企業で働きたいですか?
「あなたは、どのような企業で働きたいですか?」との質問に対して、回答割合が多い順に、
・障害者雇用に積極的な企業
・多様な価値観を尊重する企業
・ワークライフバランスが取れた企業
・福利厚生が充実している企業
・やりがいのある仕事ができる企業
になりました。
[10]企業で働く際、配慮事項として求めることは?
「企業で働く際、配慮事項として求めることは?」との質問に対して、回答割合が多い順に、
・同僚や上司からの理解と協力
・仕事量の調整
・キャリアアップの機会
・ハラスメントの防止
・福利厚生の充実
となりました。
[11]就職する際の企業選びの判断基準・決め手は何か
「就職する際の企業選びの判断基準・決め手は何か」という質問に対して、回答割合が多い順に、
・給与
・勤務地
・障害への理解・配慮
・仕事内容
・休日休暇
となりました。
【調査概要】
対象者: 20~70代の障害者
実施方法:インターネット調査
アンケート期間:2023/6/15~2023/6/23(有効回答者数:129名)
■障がい者総合研究所・戸田重央所長の見解
このアンケートの結果から、以下のように見解をまとめてみました。
①障害者は、D&Iという言葉に馴染みがあるようです。一方で日本社会におけるD&Iの現状には不満や不安を感じています。日本のD&Iの普及度は低く、障害者に対する差別や偏見は根強く存在しているということがうかがえます。
②障害者は、自分の障害に関する情報や経験を積極的に共有したり、他の社会的マイノリティとの交流を求めたりしています。また、自分の個性や能力を認められ、社会に貢献したいという強い願いを持っているようです。
③障害者は、障害への理解と配慮を重視する企業で働きたいと希望しています。そして、給与や勤務地といった雇用条件を重視しているようです。また、仕事を通じて自分の成長や自己実現を目指しており、キャリアアップの機会やハラスメントの防止なども求めています。
こうした見解を基に、企業がD&Iを推進するためには、以下のような取り組みが必要であると考えられます。
・障害者の採用やキャリアアップの機会を増やすこと
・障害者の仕事量や勤務時間などの調整や支援を行うこと
・障害者に対するハラスメントや差別を防止すること
・障害者の福利厚生や休日休暇などの待遇を改善すること
・障害者と健常者とのコミュニケーションや交流を促進すること
これらの取り組みは、障害者だけでなく、他の社会的マイノリティや多様な人材にも有効であると思われます。
D&Iは企業だけでなく、社会全体の課題です。
私たち一人ひとりがD&Iに関する意識や知識を高めていくことでより良い社会を作っていくことができるのではないでしょうか。
詳しいアンケート結果はこちら
障害者雇用代行ビジネスに関するアンケート|ゼネラルパートナーズ (note.com)
https://note.com/gp__info/n/nce6de681d0e0?magazine_key=ma10bdc0e3f80