「アドベイト」をもとに創製された長時間作用型の遺伝子組換え型 第VIII因子「BAX 855」
この資料は、米バクスターインターナショナルインクが2012年1月5日に発表しましたプレスリリースを日本語に翻訳再編集し、皆様のご参考に供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先します。
2012年1月5日、米国イリノイ州ディアフィールド発
バクスターインターナショナルインク(NYSE:BAX)は、ポリエチレングリコール(PEG)を結合させた、長時間作用型の遺伝子組換え型全長第VIII因子の先行治験薬「BAX 855」の第I相臨床試験において、治験薬の投与を開始したことを本日発表しました。「BAX 855」は、バクスターの血友病A治療用の遺伝子組換え型全長第VIII因子製剤「アドベイト」をもとに創製され、「アドベイト」と同じプラズマ/アルブミンフリー製法により製造されています。
第I相試験は、前向きオープンラベル試験として実施し、治療歴のある12歳以上の重症血友病A患者を対象に「BAX 855」の安全性、忍容性および薬物動態を評価します。既存の定期補充療法では、出血回数を減少させるために「アドベイト」を通常2~3日ごとに投与する必要があります。この第I相試験は、長時間作用型の「BAX 855」により、投与頻度を低減できるかについて評価する最初のステップとなります。
「この治験は、長時間作用型の第VIII因子『BAX 855』について新たな知見を獲得し、最終的に血友病Aの治療向上に寄与することを目指しています。第I相試験の結果は、今後臨床開発を進めるうえでの基礎となり、『BAX 855』が『アドベイト』より投与頻度を低減できるかの判断基準となるでしょう」と、バクスターのバイオサイエンス事業部グローバル研究開発担当バイスプレジデントであるハルトムート・J・エーリック(Hartmut J. Ehrlich, M.D.)は述べています。
バクスター独自のプラズマ/アルブミンフリー製法の技術基盤を活用して製造される「BAX 855」は、ヒトまたは動物由来成分をまったく添加しない遺伝子組換え型の全長たん白製剤です。「BAX 855」は、Nektar Therapeutics社(NASDAQ: NKTR)が有する、たん白および大型分子の作用時間を延長させるポリエチレングリコール化の技術を採用しています。バクスターは、ポリエチレングリコール化による長時間作用型の新規の血友病治療薬を開発するため、Nektar Therapeutics社と提携しています。
米国では、血友病A患者における出血症状の予防または抑制を目的とした「アドベイト」による定期補充療法の適応が先般承認されました。「アドベイト」は、現在米国において唯一、小児および成人ともに定期補充療法が認められている血液凝固因子製剤です。バクスターが実施した「アドベイト」の定期補充療法に関する第IV相試験では、血友病A患者における年間出血率(ABR)の中央値が定期補充療法により有意に低下したことが確認されました。同試験では、オンデマンド療法(出血時投与)中の出血が患者1人あたり年間44回だったのに対し、定期補充療法中の出血は患者1人あたり年間1回であり、いずれの定期補充療法でも年間出血率が98%低下したことが確認されました(p<0.0001)。また、1年間の定期補充療法中に出血がまったくなかった患者は42%でした。同試験では、処方された定期補充療法による治療アドヒアランスを90%以上遵守した患者を評価対象としました。
■「アドベイト」について
「アドベイト」は、成人および小児の血友病A患者における出血傾向の抑制を適応として、2003年に米国医薬食品局(FDA)により承認されました。
「アドベイト」(完全な第VIII因子遺伝子由来)は、血液由来成分を含まない遺伝子組換え型の第VIII因子製剤です。製造工程において血液由来成分をまったく添加しないため、血液由来の病原体伝播のリスクを避けることができます。遺伝子組換え型第VIII因子製剤の使用によるHIV、HBVまたはHCVの感染は確認されていません。
「アドベイト」は現在、日本、米国、カナダ、EU 27カ国、アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、チリ、コロンビア、クロアチア、香港、アイスランド、イラク、マカオ、マレーシア、ニュージーランド、ノルウェー、パナマ、プエルトリコ、セルビア、シンガポール、韓国、スリナム、スイス、台湾、ウルグアイ、ベネズエラの世界53ヵ国において承認されています。「アドベイト」の全世界における販売実績は100億単位を超え、世界で最も多く使用されている遺伝子組換え型第VIII因子製剤となっています。
■血友病について
血友病は、主として男性に発症する遺伝性の血液凝固異常症であり、血液が凝固するために必要な凝固たん白を十分に産生することができない、または凝固たん白が欠乏している疾患です(1)。血液凝固第VIII因子が欠乏しているのが血友病A、第IX因子が欠乏しているのが血友病Bです(2)。血液中の血液凝固因子が不足すると、止血に時間がかかり、内出血などにより激しい痛みや関節症をともなう可能性があります(2)。また、適切な治療が施されなければ、生命の危険にさらされる恐れもあります(2)。血友病は遺伝性の疾患ですが、患者の約30%は家族歴がなく、遺伝子の突然変異に起因します(3)。世界血友病連合によると、全世界に40万人以上の血友病患者がいるとされ、人種や経済圏に関係なく発症します(1)。日本には、4,394人の血友病A患者および952人の血友病B患者がいると報告されています(4)。
■バクスターについて
バクスターインターナショナルインクは、その子会社を通して、血友病や免疫不全症、がん、感染症、腎疾患、外傷などに対する医薬品・医療機器を開発および製造販売し、患者さんの救命や生命維持に貢献しています。多様性に富んだグローバルヘルスケア企業として、医薬品、医療機器、およびバイオテクノロジーの専門技術を活用し、世界の医療の向上に寄与する製品を創出します。
■バクスター株式会社について
バクスター株式会社は、腎不全、血友病、輸液、麻酔、疼痛管理の領域に特化した世界的なヘルスケアカンパニー、米バクスターインターナショナルインクの日本法人です。医薬品、医療機器、バイオサイエンステクノロジーを中心とした医療サービスを患者さんや医療現場に提供し、医療に新たな価値を創造します。
This release includes forward-looking statements concerning a Phase I trial of the Company's investigational compound BAX 855, including with respect to expectations related to clinical outcomes. The statements are based on assumptions about many important factors, including the following, which could cause actual results to differ materially from those in the forward-looking statements: timely submission and approval of anticipated regulatory filings; clinical results validating the use of BAX 855 to treat patients with severe hemophilia A; satisfaction of regulatory and other requirements; actions of regulatory bodies and other governmental authorities; and other risks identified in Baxter's most recent filing on Form 10-K and other SEC filings, all of which are available on the company's website. Baxter does not undertake to update its forward-looking statements.
1. What is Hemophilia? World Federation of Hemophilia. Accessed on: 29 June 2011. Available at:
http://www.wfh.org/2/1/1_1_1_What_Is_Hemophilia.htm
2. Frequently Asked Questions About Hemophilia. World Federation of Hemophilia. Accessed on: 24 August 2011. Available at:
http://www.wfh.org/index.asp?lang=EN
3. Hemophilia A. National Hemophilia Foundation. Accessed on: 29 June 2011. Available at
http://www.hemophilia.org/NHFWeb/MainPgs/MainNHF.aspx?menuid=180&contentid=45&rptname=bleeding
4. 2010年度厚生労働省委託事業「血液凝固異常症全国調査」