PwCコンサルティング合同会社の戦略コンサルティングを担うStrategy&はこのほど、グローバルで取りまとめた調査レポート「持続可能な食の革命-世界の食料供給の未来を守る―」の日本語翻訳版を公開しました。
本レポートは、世界が緊急的かつ長期的な食料危機に直面する中で、食品業界には自らの持続可能性を高めることが求められていることを指摘。食料生産が環境に与える負荷をデータで示しているほか、将来的に持続可能な形で食料を生産・供給するための3つの方策を提示しています。実際にこれらの方策に取り組むことで新たなビジネスチャンスをつかんだ食品関連企業の事例も紹介しています。
本レポートがまとめた3つの方策は次のとおりです。
①消費レベルでの食品の代替
肉の生産は農用地利用全体の約80%を占めているものの、カロリー量全体に占める割合では11%に過ぎない。それにもかかわらず、1kgあたりの生産で排出する二酸化炭素(CO2)の量は、ジャガイモやナッツ、果物が2kg未満であるのに対し、牛肉は10~36kgに達する。つまり、肉の生産は効率が悪く、持続可能ではないということを示唆している。こうした食品を植物由来ミルクや代替肉などに置き換えていくことで、環境負荷の低減が可能になる。
②サプライチェーンにおける食品ロスの回避
食料生産量全体の約3分の1(13億t相当)が収穫・流通・小売の遅延や非効率性によって廃棄されている。こうした食品ロスをなくすだけで、2050年までに予想されている世界人口の増加を上回る20億人以上に食料を供給することが可能になる。食品ロスの低減にはテクノロジーを活用した精密農業の普及やサプライチェーンの改善が求められている。
③よりクリーンで環境に優しい食料生産方法
農業においてビッグデータといった技術が普及すれば、水や肥料、農薬などの投入がよりピンポイントで正確に行われるようになり、生産性向上と環境負荷の低減につながる。また、敷地面積の小さい高層施設での「垂直農業」は、最終消費者の多い都市部や気候条件の厳しい地域における大規模な農業も可能になることから、結果としてサプライチェーンが短くなり、環境への影響も改善することが期待される。
食料生産・供給における上記の改革は、気候変動やサプライチェーンの崩壊などのリスク低減だけではなく、新たに登場する生産モデルや成長可能な新市場への準備にもなります。
レポートの詳細につきましては、以下のURLよりご覧ください。
URL:
https://www.strategyand.pwc.com/jp/ja/publications/report/future-of-food.html