PwCアドバイザリー合同会社
2022年9月26日
PwCアドバイザリー合同会社(以下、「PwCアドバイザリー」)は、この度PwC米国が取りまとめた「世界のM&A 業界別動向 2022年上半期アップデート」の日本語訳版を公開しました。本レポートは半期に一度、Refinitiv社より提供されたデータを基に世界のM&A動向についてデータを分析し、今後予想されるシナリオについてPwCの見解をまとめています。
2021年は世界のM&A件数及び金額は過去最高を記録するなど、市場は非常に活発で、2022年初頭もこの流れが継続するものと予測されていました。
しかし、2022年上半期のディールの金額は前年同期比で20%減少し、経済的影響が世界市場にも波及する中でさらなる減少が見込まれています。ディール件数はパンデミック以前の高水準に回復しているものの、経営陣が慎重な姿勢を強めたり、規制当局の監視も強化されたりした市場があったことで、2021年下半期から2022年上半期にかけてメガディール(金額が50億米ドルを超えるディール)の件数はおよそ40%減少しています。急速に進むインフレと金利上昇、株価の下落、ウクライナ情勢の影響を受けてのエネルギー危機の深刻化など、市場では逆風が強まっています。
この困難な状況に対応するにはスピードと俊敏性が求められます。企業が将来の成功に向けて変革し、成長を遂げ、新しい基盤を構築する上でM&Aは引き続き有効な手段となり得ることから、新たな事業環境に適応し、将来的な成長の実現に向けて、M&Aの優先順位とアプローチについて戦略的な再考が不可欠になると考えています。
各業界の2022年上半期アップデートと今後の見通しの概要は以下のとおりです。
- 金融サービス:M&A活動は、現在の状況下でより価値のある機会が創出され、高水準で推移する可能性が高いと予測
- ヘルスケア:ヘルスケア業界のM&A活動は引き続き高い水準で推移すると予測
- テクノロジー・メディア・情報通信:テクノロジーとイノベーションの領域の成長が急速に進む中、投資家の関心の高さは今後も継続すると予想
- エネルギー・ユーティリティ・資源:資金調達力、エネルギートランジション、サプライチェーンのセキュリティ、価値創造機会が、短期および中期的に堅調なM&A活動を支えると予測
- 産業機械・自動車:デジタル化の重要性が高まり、新興技術の活用競争が活発化することで、2022年の後半もM&Aの機会は創出され続けると予測