神奈川工科大学が、世界に先駆けてクラウドやエッジを自在に連携させる8K非圧縮ライブ映像編集実験に成功



神奈川工科大学は、2021年2月の「国立研究開発法人 情報通信研究機構」が主催する[超高精細映像を用いた広域映像配信実証実験]において、ミハル通信株式会社と古河ネットワークソリューション株式会社と共同で、クラウドやエッジの高速処理性能が要求される映像処理機能を世界に先駆けて自在に連携させる技術を開発し、オンデマンドで瞬時に8K映像を切り替えて使用できるライブ映像編集実験に成功した。




 神奈川工科大学は、2014年から、編集素材として用いるため品質を落とすことができない8K超高精細映像を、非圧縮で伝送・蓄積配信するシステムの開発に取り組んできた。またコンテンツ作成者が特別な設備を持たずに8K映像編集作業を行えるネットワークサービスの実現を目指して、クラウドやエッジ(*1)部での8K映像処理機能の開発に取り組んでいる。
 2021年2月の超高精細映像を用いた広域映像配信実証実験(*2)においては、ミハル通信株式会社と古河ネットワークソリューション株式会社と共同で、8Kカメラ、国内8K映像サーバ、疑似海外8K映像サーバからの3種類のライブ映像を用いて、クラウドやエッジのover 10Gbpsの高速処理性能が要求される映像処理機能を世界に先駆けて自在に連携させる技術を開発し、編集端末の要求に従って瞬時に切り替えて無劣化で提供するライブ映像編集実験に成功した。
 従来は高速処理性能を保証するために、予めコンテンツ作成者がライブ映像編集を行うワークフローに応じた映像処理機能をローカル拠点に集約して、システムを人手で構築する必要があった.今回、新規に映像処理機能間にダイナミックに接続変更可能な相互結合網を設ける事で、広域に展開したクラウドやエッジの複数の映像処理機能を自在に組み合わせたシステム構築の自動化が可能となった。相互結合網には、複数のサービスを連携させるサービスチェイニング用のプロトコルとして着目されているSRv6 (Segment Routing IPv6)を用いた.これまで、SRv6のサービスチェイニングでは、over 10Gbpsの映像データをリアルタイム処理する例はなかった。
 本実証実験は、「国立研究開発法人 情報通信研究機構」、「大学共同利用機関法人・情報・システム研究機構 国立情報学研究所」をはじめとする複数の関係組織との共同で、札幌-東京-大阪間の100Gbps広帯域国内回線を用いて、8K(7680×4320画素・ハイビジョンの16倍)非圧縮映像の8Kデュアルグリーン(8K-DG)フォーマット(24Gbps)を対象に行った。新規開発したSRv6相互結合網は、NTT堂島(大阪)、KDDI大手町、NTT大手町の3箇所で分散構成し、SRv6ルータには、古河電気工業株式会社のFX201とミハル通信株式会社と神奈川工科大学が共同で開発したソフトウェアベースのパケットスイッチを用いている。
 SRv6相互結合網内には、(A)遅延補正用の映像処理機能と(B)映像切り替え用の映像処理機能がある。入力された映像ソースに応じて、それらの機能を自在に組み合わせて映像処理を行い、受信拠点では、端末の要求に従い複数の映像ソースを1映像フレーム(16ms)以内に無瞬断で切り替えて編集を行う。このように、クラウドやエッジの複数の映像処理機能がネットワーク内で共用可能となり、映像編集拠点毎に集約していた映像処理機能が不要となる。
 本実証実験では、上記のシステムを用いてライブ映像編集実験を行い、札幌HTB、秋葉原UDX、グランフロント大阪の実験拠点でデモンストレーション実験を行った。
 今後は、本技術を発展させる事で、手持ちのPCをネットワークに接続するだけで、誰でも8K映像編集・配信が可能となる新たなメディア製作手法の確立にむけて研究開発を進めていく。

 本実証実験の実施にあたり、独立行政法人 情報処理推進機構 産業サイバーセキュリティセンター様、サイバー関西プロジェクト様、北海道テレビ放送株式会社様、池上通信機株式会社様、アストロデザイン株式会社様、シャープ株式会社様、アリスタネットワークスジャパン合同会社様、ピュアロジック株式会社様、サン・エレナ株式会社様をはじめ関連組織の皆様のご協力をいただいた。本研究の一部はJSPS科研費19H04102の助成を受けて進めた。

*1 エッジ部:端末とクラウドの間に配置したコンピューティングリソースを示す。端末に近いためリアルタイムな処理を得意とし、処理後の大容量なデータをクラウドに格納するような機能分散を行う。
*2 超高精細映像を用いた広域映像配信実証実験 ~ウィズコロナ時代の遠隔運用・高精細映像リモートプロダクション実験に成功~
 https://testbed.nict.go.jp/event/yukimatsuri2021-press.html


▼本件に関する問い合わせ先
神奈川工科大学 工学教育研究推進機構
担当: 井藤 晴久
住所:〒243-0292 神奈川県厚木市下荻野1030
TEL:046-291-3299
メール:ito.haruhisa@cco.kanagawa-it.ac.jp 


【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/

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組織名
神奈川工科大学
ホームページ
https://www.kait.jp/
代表者
小宮 一三
上場
非上場
所在地
〒243-0292 神奈川県厚木市下荻野1030

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