2021年1月29日
PwC Japanグループ
PwC Japanグループ、 「1対N時代の到来に向けたわが国の
人材育成の在り方」政策提言を発表
従業員主導型での生涯キャリア形成に向けた具体的施策を取りまとめ
PwC Japanグループ(グループ代表: 木村 浩一郎)は、大企業等による従業員の雇用慣行の変化、個人の働き方の変化を踏まえ、不確実性の高い時代における能力開発のあり方についての調査を取りまとめ、その対応方策に関する政策提言「1対N時代(※)の到来に向けたわが国の人材育成の在り方」を本日発表しました。
(※)企業と労働者の関係が、現在の1人1社(1対1)の雇用関係から、1人の労働者が複数の企業と就労関係を持つ「1対N」の関係が増える時代
(PwC Japanグループが提案する、不確実性の高い時代における従業員の能力開発支援のための施策)
昨今、わが国をはじめ、世界の各国が「高齢社会の到来による職業キャリアの延伸」「第4次産業革命への対応」「多様な人材の活用」といったメガトレンドに直面しています。これまでは、企業等が労働者のキャリア形成に責任を負い、組織主導で能力開発の機会を提供してきましたが、今後は労働者が自ら「エンプロイヤビリティ(Employability:雇用される能力、労働市場における実践的な就業能力)」を高め、自身のキャリアゴールを設定した上で、その実現に向けて能力・スキルを習得し、企業等はその支援を行う、という能力開発の形へ変化していくことが考えられます。
労働者が不確実性の高い時代において、どのように労働または雇用を確保するための能力を開発していくか、またその能力開発の「場」を社会および企業はどのように提供していくかなどを探るため、PwC Japanグループの政策提言活動の「人材育成・教育改革」チームが調査を行い、「1対N時代の到来に向けたわが国の人材育成の在り方」 調査結果として2020年11月10日に発表しました。(プレスリリース:「1対N時代の到来に向けたわが国の人材育成の在り方」 調査の結果を公表 https://www.pwc.com/jp/ja/press-room/human-resource-development201110.html)
そしてその結果に基づき、新たな仕組みを考案し、政策提言の形に取りまとめ発表しました。
※政策提言書「1対N時代の到来に向けたわが国の人材育成の在り方」は以下よりダウンロードいただけます。
https://www.pwc.com/jp/ja/press-room/assets/pdf/human-resource-development210126.pdf
【政策提言の概要】
不確実性の高い「1対N時代」の到来に向けて、まだ自律自走ができていない労働者に対し、自らキャリア展望を持ち、ジョブ・クラフティングのある「自律自走型」へと促すためには、第三者がゴール設定を支援することや、社会動向に係る情報をタイムリーに収集でき、かつ自身のキャリア実現に必要なスキルや能力を習得できる「場」を提供することが必要であると考えます。
(1) 生涯キャリアコンサルタント(仮称)の設置
労働者が将来を展望し、必要な能力・スキルを習得するためには、これまで培った経験の棚卸し、これからのキャリアゴールの設定、現状とのギャップ分析と把握、ギャップ克服に向けたプランの作成と実行といったPDCAサイクルを、労働者自らが回す必要があります。しかしながら、そうしたPDCAサイクルを個人で遂行できる労働者は限定的であり、これをサポートする仕組みが、労働施策として不可欠であると考えます。
これまでも転職エージェントなどに所属する「キャリアコンサルタント」は存在していましたが、転職先の紹介までという短期的なものでした。そこで、PwC Japanグループは、労働者個人に焦点を当て、その個人の職業人生全般にわたりサポートを促す「生涯キャリアコンサルタント」の設置を提案します。「生涯キャリアコンサルタント」は、労働者のキャリアゴール実現に向けて、転職だけでなく、リカレント教育を通じた学び直し機会、副業・兼業、社会人インターンを活用した越境経験などの多様な選択肢に基づき、具体的な仕事やプロジェクトを労働者に提案し、労働者の職業キャリアを長期に亘り伴走支援します。
(「生涯キャリアコンサルタント」の支援内容)
(2)ハロープラットフォーム(仮称)の設置
キャリア展望の明確化と、その実現に資するスキル・能力開発を図るためには、社内に限定されない、幅広く能力開発する「場」が必要になると考えられます。その具体的な支援策として、PwC Japanグループは「ハロープラットフォーム」の設置を提案します。
「ハロープラットフォーム」は、個人の適性やキャリアゴールの実現に資する能力開発機会を提供する仕組みです。各企業の事業計画と、必要な人材ポートフォリオに基づき、企業側がイニシアチブを持って自社の労働者に必要な能力開発機会として「場」を提供する「企業主導型社外インターン」と、行政が主導して、労働者の求めるスキル・能力の習得に向いたプロジェクトを紹介する「行政主導型副業・兼業マッチング」から構成されます。ハローワークでは常時雇用のみを扱っていますが、このプラットフォームでは、副業・兼業を含めた様々な活躍機会を得ることが期待できます。
(「ハロープラットフォーム」の支援内容)
PwC Japanグループでは、本政策提言および政府方針に基づき、様々な官公庁・アカデミア等と連携し、副業・兼業に関わる法整備や雇用保険のあり方についての検討を進めていく予定です。また、「生涯キャリアコンサルタント」「ハロープラットフォーム」を実現すべく、従業員の越境活動(企業等の人材が、異なるセクター(NPO・官公庁・新興国等)への異動・研修を行う取り組み)の促進や、地域の中核的企業への大企業専門人材の派遣等の支援などを通じ、「1対N時代」における「自律自走型」の人材の育成・確保を促し、わが国の全ての労働者が、円滑に次代に移行する一助となることを目指し、支援して参ります。
(ご参考)
PwC’s View(PwCあらた有限責任監査法人が隔月で発行しているオピニオン誌)にも提言概要を掲載し、本日公開しましたのでご参照ください。
エンプロイヤビリティ(雇用される能力)を習得する上で必要な施策とは何か─「1対N時代の到来に向けたわが国の人材育成の在り方」にかかる提言概要
https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/pwcs-view/assets/pdf/202103-employability.pdf
以上
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