~xEV主要部品の銅溶接において世界最高レベルの品質・深度・加工速度を実現~
● 高輝度青色レーザダイオードモジュール(LDM)を搭載した青色ダイレクトダイオードレーザ(以下、青色DDL)と近赤外(IR)ファイバレーザを組み合わせたBlue-IRハイブリッドレーザ「BRACE(TM)」を販売開始
● 電動車(以下、xEV)向け主要部品の生産性向上、製造工程の省人化に寄与
● 今後、日亜化学工業との共同開発により、青色LDMの更なる高出力化、および次世代ハイブリッドレーザの開発製品化を予定
古河電気工業株式会社(本社:東京都千代田区丸の内2丁目2番3号、代表取締役社長:小林敬一)は、青色DDLと近赤外(IR)ファイバレーザを組み合わせたBlue-IRハイブリッドレーザ「BRACE(TM)」(読み仮名:ブレイス、商標登録出願中)を2021年1月18日より販売開始します。
本製品は、本年6月5日に発表した日亜化学工業株式会社(本社:徳島県阿南市上中町岡491番地、代表取締役社長:小川裕義)との共同開発により実現した高輝度青色LDMを搭載しており、高効率なエネルギー付与が可能となることで、銅の溶接工程の生産性向上に大きく貢献します。今後も、青色LDMのより一層の高出力化を図り、次世代ハイブリッドレーザを開発・製品化し、xEV向け主要部品をはじめ多様な用途における銅溶接の生産性向上および製造工程の省人化に寄与してまいります。
また、2021年1月25日に本製品を導入した「アプリケーションラボ」を当社千葉事業所内に開設し、お客様が持ち込まれるサンプルのテスト加工が可能となります。
図1. BRACE(TM) 外観
図2. BRACE(TM) ロゴ
■背景
近年、地球環境保護を目的として、走行中にNOx、PM、CO2を排出しないxEVの開発が世界中で進められています。さらに、世界中で感染拡大が続いている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大防止の観点からも、ヒトからロボットへの代替や無人輸送技術の開発が進められており、それらの技術と親和性の高いxEVの普及は加速すると予想されます。そのような状況下において、xEVに欠かせない部品である電池、モータ、インバータ等の製造量が飛躍的に伸びるとみられ、導体となる銅の溶接工程の生産性向上(品質、加工速度の向上)、および製造工程の省人化への希求が高まります。
銅溶接において、加工速度の向上のため、超音波溶接やアーク溶接からレーザ溶接への代替が検討されているものの、従来のファイバレーザ単体では、輝度が高く、高速かつ高深度な加工が可能である一方で、銅に対する光吸収率が低いため、安定した入熱が難しく、加工欠陥(スパッタ・ブローホール)の発生が課題でした。また、短波長レーザ単体では、銅における光吸収率は高く安定した入熱が可能ですが、ビーム径が大きく、高速かつ高深度な加工が困難です。
本製品は、短波長である青色DDLと近赤外(IR)ファイバレーザをハイブリッド化し、それぞれの長所を活かし、短所を補完することで、銅加工において世界最高レベルの品質・深度・加工速度を実現しました。(下図)
図3.Blue-IRハイブリッドレーザの特徴
■内容
【装置仕様】
● 本製品は、青色DDL出力150W(コア径110μm)と近赤外(IR)ファイバレーザ出力1kW(コア径14μm)を組み合わせたハイブリッドレーザであり、それぞれ世界最高レベルの輝度を有しております。
● 青色DDLおよびファイバレーザの出力タイミングを一括制御することが可能です。
【加工例】
本製品を使用して、リチウムイオン電池の製造工程における純銅の溶接を模擬した加工例を示します。表面および内部に溶接欠陥がほぼ無い、高品質な溶接が実現可能です。
● 銅箔t8μm×50枚+集電体(銅板)t0.5mm の溶接
図4.加工サンプル表面写真
図5.加工サンプル断面写真