医療者と患者が情報を共有し、最善の治療法を選択する「シェアード・ディシジョン・メイキング」
治療法を選択し決定するにあたって、「シェアード・ディシジョン・メイキング」という考え方があるのをご存じですか?腎臓病のような慢性病の治療法の選択に有効であると考えられています。
慢性腎臓病・腎不全では「患者にとって最善の治療法」がひとつではなく、はっきりしていないことがあります。患者さんの価値観、好み、治療の影響を最も良く知っているのは患者さんご自身です。患者さんが積極的に参加し、治療法を選択して、治療にも取り組むことで、患者さんが納得して治療を受けられるだけでなく、医療スタッフの満足度向上にもつながります。
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■まず、治療法を決める3つの方法を知りましょう
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一般的に治療法を選択する際には3つの方法があるといわれています。
意思を決定する場面の状況に応じて様々な考え方がでてきました。
【1】パターナリズム(最善の治療法を医療者が決定)
「医師あるいは医療者が信念を持って患者のために治療法を決定する」というものです。迅速な意思決定が求められる緊急の医療現場での、一刻を争う緊急手術などで実践されています。
【2】インフォームド・コンセント(医療者が説明し、患者が同意・納得して患者が決定)
『自分の治療は自分で決めたい』という患者さんの気持ちを尊重して発展したのがインフォームド・コンセントで、「患者は治療についてきちんと説明を受け正確な情報を持ったうえで、同意・承諾し、治療を受ける」というものです。
【3】シェアード・ディシジョン・メイキング(医療者と患者が情報を共有して一緒に決定)
「医療者は医療情報を患者に伝え、患者は積極的に自分の価値観や考え方を医療者に伝えることで、医療者と患者が情報を共有し、最善の治療法を選択する」というのが、シェアード・ディシジョン・メイキングです。
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■透析治療におけるシェアード・ディシジョン・メイキング
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透析導入時に、与えられた情報をもとに自分自身で治療法を決められる患者さんの場合には、インフォームド・コンセントがうまく働きますが、患者さんによっては自分の望むことがはっきりしないこともよくあります。また透析は何年もつづく治療でライフスタイルに影響してきますが、患者さんにとって大切な価値観とか、好み、家族の状況などは、患者さんが教えてくれないと分かりません。さらに血液透析だったら通院しなければならない、腹膜透析だったら家族の支援が必要など、透析治療は多くの人が関与しておこなわれます。このような場合に、関係者全員がどう考えているのか、どうしてそう思うのかを話し合い、何がベストかを一緒に探していくのがシェアード・ディシジョン・メイキングです。
「シェアード・ディシジョン・メイキング」について、さらに詳しくはこちらの記事にてご覧いただけます。
▼『そらまめ通信 Vol.68「腎臓教室」』
http://www.kidneydirections.ne.jp/support/soramame/school/no68.html
NPO法人腎臓サポート協会では、会報誌「そらまめ通信」の送付やホームページ『腎臓病なんでもサイト』などを通じて、腎臓疾患とその検査・治療法など様々な情報を提供しております。
透析導入が必要となった患者さんが、今の自分の生活を振り返り、自分にとっての大切なことや心配ごとなどを整理するための支援ツールもご用意しています。ぜひご活用ください。
▼「そろそろ透析が必要です」と言われたら、、、
http://www.kidneydirections.ne.jp/sheet/index.html
【本件に関するお問い合わせ先】
NPO法人 腎臓サポート協会
info@jin-support.org