キリンホールディングス株式会社(本社:東京都中野区、代表取締役社長 磯崎功典、以下キリン)と三井不動産株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長 菰田正信、以下三井不動産)は、「柏の葉スマートシティ」(千葉県柏市)の住民や通勤者を対象に、キリンの独自素材「熟成ホップエキス」を含むノンアルコール・ビールテイスト飲料を用いた「脳の健康」に関する実証研究を2020年7月に開始しました。
キリンおよび三井不動産は、本実証研究を通じて、「柏の葉スマートシティ」の住民や通勤者の健康増進に向けた取り組みに貢献するとともに、「熟成ホップエキス」摂取後の気分状態や主観的認知機能への効果に関する実証研究の成果を生かし、キリン独自の「熟成ホップエキス」を活用し、食を通じて幅広い年代における「脳の健康」に貢献することを目指します。
【キリンの独自素材「熟成ホップエキス」の有用性】
近年、高齢者の認知症予防や認知機能改善に加え、幅広い年代で記憶力や集中力、メンタルヘルスなどの維持・向上が求められるようになり、「脳の健康」への関心が高まっています。キリンは長年にわたり、食と「脳の健康」に関する様々な研究を行ってきました。2017年には、東京大学との共同研究で、ビール苦味成分であるホップ苦味酸のアルツハイマー病予防効果を世界で初めて解明しました
※1。また、多様な食品に展開可能な苦味を抑えた独自素材の「熟成ホップエキス」を開発し、その中の成分である「熟成ホップ由来苦味酸」が脳腸相関の活性化により認知機能改善および抑うつ改善効果を示すことを解明しました。さらに、2020年6月には、順天堂大学医学部との共同研究で、物忘れの自覚症状がある中高齢者対象の臨床試験を行い、「熟成ホップ由来苦味酸」が認知機能および気分状態を改善することを確認
※2しました。
【実証研究の概要】
「柏の葉スマートシティ」の住民、通勤者を対象に、「熟成ホップエキス」を含むノンアルコール・ビールテイスト飲料を継続摂取する実証研究を行います。本研究では対象者を中高齢者に限定せず、幅広い年代を対象として、摂取後の気分状態や主観的認知機能を調査し、「熟成ホップエキス」の脳の健康への効果を検証します。
(1)実施期間:2020年7月~12月
(2)対象者:「柏の葉スマートシティ」の住民または通勤者の男女100名(20歳以上)
(3)実施内容:「熟成ホップエキス」を含むノンアルコール・ビールテイスト飲料を3週間摂取(350 ml缶1日1本)
(4)検査内容:気分状態検査、主観的認知機能検査、生活習慣等のアンケート
【キリングループのヘルスサイエンスの取り組み】
キリングループは長期経営構想「キリングループ・ビジョン2027(以下KV2027)」を策定し、「食から医にわたる領域で価値を創造し、世界のCSV
※3先進企業になる」ことを目指しています。また、KV2027の実現に向けて既存事業の「食領域」(酒類・飲料事業)と「医領域」(医薬事業)に加え、「ヘルスサイエンス領域」を事業として立ち上げ育成しています。
【三井不動産の「柏の葉スマートシティ」プロジェクトについて】
三井不動産が2005年に始めた、「柏の葉キャンパス駅」を中心とするスマート・コンパクトシティとして進化し続けることを目指したユニークな街づくりのプロジェクトです。「環境共生」「新産業創造」「健康長寿」を主なテーマに掲げ、「公・民・学」がコラボレーションし、世界最先端のノウハウを集結させ、多くの都市が抱える課題を先進的に解決する「課題解決のモデル都市」の実現に向けて実証実験を行うなど様々な取り組みを行っています。今回の実証実験は、街づくりのテーマの1つである「健康長寿」に関連して、大きな社会課題となっている脳の健康への効果について期待し、実施するものです。
■キリングループの「CSVパーパス」について
「CSVパーパス」とは、社会と価値を共創し持続的に成長するための指針のことです。この「酒類メーカーとしての責任」を前提に「健康」「地域社会・コミュニティ」「環境」についての指針の実現に向けて、各事業で「CSVコミットメント」に取り組んでいます。今後も継続して「酒類メーカーとしての責任」を前提に、「健康」「地域社会・コミュニティ」「環境」という社会課題に取り組むことで、こころ豊かな社会を実現し、お客様の幸せな未来に貢献します。
■三井不動産グループのSDGsへの貢献について
https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/esg_csr/
三井不動産グループは、「共生・共存」「多様な価値観の連繋」「持続可能な社会の実現」の理念のもと、人と地球がともに豊かになる社会を目指し、環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)を意識した事業推進、すなわちESG経営を推進しております。当社グループのESG経営をさらに加速させていくことで、日本政府が提唱する「Society 5.0」の実現や、「SDGs」の達成に大きく貢献できるものと考えています。
*なお、本リリースの取り組みは、SDGs(持続可能な開発目標)における2つの目標に貢献しています。
目標3 すべての人に健康と福祉を
目標17 パートナーシップで目標を達成しよう
※1 タイトル:Iso-α-acids, Bitter Components of Beer, Prevent Inflammation and Cognitive Decline Induced in a Mouse
Model of Alzheimer's Disease.
著者:阿野泰久、堂畑厚志、谷口慈将、星朱香、内田和幸、高島明彦、中山裕之
雑誌名:Journal of Biological Chemistry
DOI番号:10.1074/jbc.M116.763813.
※2 タイトル:Supplementation with matured hop bitter acids improves cognitive performance and mood state in healthy
older adults with subjective cognitive decline
著者:福田隆文、大沼徹、小原有晶、近藤澄夫、新井平伊、阿野泰久
DOI番号:10.3233/JAD-200229
※3 Creating Shared Valueの略。お客様や社会と共有できる価値の創造。