SAS、最新グローバル調査:2030年のカスタマー・エクスペリエンス

2030年にはカスタマー・エンゲージメントの67%がスマートマシンによって処理されることが明らかに

イタリア・ミラノ「SAS Analytics Experience 2019」発
アナリティクスのリーディング・カンパニーである米国SAS Institute Inc.(以下 SAS)は、Futurum Research社と共同で実施した調査「Experience 2030: The Future of Customer Experience(カスタマー・エクスペリエンスの将来)」の調査結果を発表しました。

先進テクノロジーは、ブランドと消費者との関わり方を大きく変えました。新製品、サービス、消費者、競合企業は、絶えず進化しています。消費者の行動や嗜好は変化し続けます。2030年のカスタマー・エクスペリエンス(CX)はどのようなものになるのでしょうか。 未来の消費者の期待に応えるために、ブランドはどのように進化するのでしょうか。 SASがFuturum Researchに依頼した今回の調査結果は、このような疑問に対して以下のように回答しています。

今回の調査で、テクノロジーがCX再構築の最大の要因となること、またブランドは、“Empowered Consumer” (スマートフォンなどの普及により情報入手しやすく自分自身で意思決定し購入できる消費者のこと)とともに進化するコンシューマー・テクノロジーに遅れを取ることのないよう、カスタマー・エコシステムを再考する必要があることが明らかになりました。

カスタマー・エクスペリエンスを推進する即応性と徹底的な自動化
調査の対象となったブランドは、カスタマー・エンゲージメントの自動化に向けて2030年までに大きな変化があると考えています。調査結果は、カスタマー・エンゲージメントの処理の約3分の2、およびリアルタイム・エンゲージメントによる意思決定、またマーケティングおよびプロモーション・キャンペーンに関連する意思決定を、人に代わってスマートマシンが行うようになると予測しています。

調査結果によれば、2030年にはデジタル・デバイス(オンライン、モバイルなど)を使用する消費者とブランドとのカスタマー・エンゲージメントにおいて、その67%は、人間に代わってスマートマシンが行うようになります。また、カスタマー・エンゲージメント時の判断の69%も、2030年にはスマートマシンが意思決定するようになります。

Futurum Researchのプリンシパル・アナリスト兼創設パートナーであるダニエル・ニューマン(Daniel Newman)氏は、次のように述べています。「人間とスマートマシンの関係は、今後10年で急速に発展していくことがますます明らかになっていきます。企業は、人間による様な共感性の高い体験を提供することと、消費者が期待する企業からの即答との間で、精巧なバランスを取る必要があります。テクノロジーが消費者にとってより人間的でありながら企業にとってより効率をもたらす架け橋となり、データ、アナリティクス、機械学習、AIによってスマートマシンがこのバランスを実現できるようになります。

新たなテクノロジーを受け入れる消費者
調査結果によれば、78%のブランドは、消費者が店舗においてテクノロジーを扱うことに対して不安を抱いています。しかし、不安を表明した消費者は35%に過ぎませんでした。ブランドと消費者の考え方のギャップは、気を付けないとブランドの成長を抑制する要因になりかねません。

実際に、調査結果によれば、消費者は2030年には新しいテクノロジーをさらに取り入れることを期待しています。
  1. 80%は、ドローンや自動運転車による商品の配達を受け入ると考えています。
  2. 81%は、チャットボットとのやり取りを受け入れると考えています。
  3. 78%は、拡張現実、仮想現実、または複合現実アプリを使って商品の外観、例えば、選んだ服が自分に合うかどうかや、家具が自宅でどのように見えるかを確認すると考えています。
  4. 56%は、2025年には、複合現実デバイスを利用して離れた場所を訪れたり、休暇やエンターテインメント・イベントを楽しんだりすると考えています。
  5. 10人に8人は、オンライン・ショッピングやスマート・ホームのコントロールにスマート・アシスタント(Google Home、Amazon Alexaなど)を利用すると考えています。
  6. 78%は、ウェアラブル・デバイスを使って別のデバイスをコントロールできるようになると考えています。
消費者の受容レベルの高さは、ブランドにとってはカスタマー・エンゲージメント拡大の新たな機会となります。しかし、両方の側で高まる期待に応えるには、ブランドには、コンシューマー・テクノロジーとマーケティング・テクノロジーの間に存在するギャップを埋めるための新たな機能が必要になります。

SASのカスタマー・インテリジェンス担当グローバル・ディレクターであるウィルソン・ラジ(Wilson Raj)は、次のように述べています。「顧客の行動を追跡するには、彼らの終わりのない様々なカスタマー・ジャーニーを通じて、あらゆるデータを手掛かりに顧客を理解することが必要となります。無数のチャネル、タッチポイント、コンテキストを横断する際に、顧客を記憶し理解する必要があります。ブランドは、素早く対応できるように運用モデルを再考する必要があります。大規模なパーソナライズに対応した総合的なデータ戦略と、リアルタイムに適応できるジャーニー・アナリティクス機能が求められ、カスタマイズされたエクスペリエンスの自己完結サイクルを実現する必要があります。」

ブランドの次の10年の成功を支える新しいテクノロジー
将来のCXの大部分は、進化するテクノロジーによって形作られます。調査ではブランドに対し、2030年にカスタマー・エクスペリエンスを主導し、顧客満足度を向上させるために、現在投資している「未来の」テクノロジーについて質問しました。
ウィルソン・ラジは次のように述べています。「賢明な購買者は、新しいテクノロジーを活用し、マーケティング組織のテクノロジー・ニーズに大きなプレッシャーを与えます。CMO(最高マーケティング責任者)にとって、この力は『動く標的問題」となります。絶えず進み続けるものに対して優位性を獲得することは困難です。顧客は『常時接続』のアクセスとサービスを期待し、ブランドとのやり取りを自分の条件で行うことを期待しているため、これは問題になります。」

調査結果によれば、62%のブランドが、カスタマー・エンゲージメント戦略を向上させるカスタマー・サポート資産として音声ベースのAIアシスタントに投資しています。また、58%が、内部マーケティングおよびセールス資産として音声ベースのAIに投資しています。

拡張現実と仮想現実(AR/VR)については、商品やサービスの外観や使用法を、顧客がリモートに視覚化する手段として、54%のブランドがこれに投資しています。また、53%のブランドが、商品の使用法と顧客自身の学習を向上させる手段としてのAR/VRツールを注目しています。

調査では、83%のブランドが、店舗内広告、インタラクティブ・ゲーム、パブリック・イベントのためのホログラフィック・テクノロジーにすでに投資している、または投資を検討していることも明らかになりました。

これらの新しくかつより複雑なカスタマー・エンゲージメント・テクノロジーは、ブランドがデータ管理能力、アナリティクス最適化プロセス、自動意思決定機能を再考する必要があることを意味しています。ブランドは、これらの新規テクノロジーを使って目に見えるビジネス成果を上げる必要があります。これらの新しいアプリケーションは、将来にわたって結果が出るマルチモーメント・マーケティングの提供方法を取込み、段取りし、分析し、設計し、決定することができることになります。

2030年の顧客ロイヤリティ向上要因
現在は、顧客ロイヤリティの向上を図れる可能性が最も高い要因として、58%のブランドが高品質を挙げていますが、ほとんどの消費者は、低コストまたは割引が大きな推進要因であると回答しています。しかし2030年には、消費者はロイヤリティを向上させる上位3つのテクノロジーとして、モバイル・アプリ、高速アクセス、スマート・ホーム・システムからの発注を挙げています。

ブランドは、AI、機械学習、予測的アナリティクスも大きな役割を果たすことになると考えています。ブランドは、テクノロジーを活用して、円滑なエンゲージメントとそれを支えるインテリジェンスを提供し、より深くそして有意義な顧客関係の提供と顧客ロイヤリティの向上が活かせる機会として2030年を捉えています。
ダニエル・ニューマン氏は次のように述べています。「顧客ロイヤリティの構築は、ブランドの成長にとって重要要素です。これからの10年間は、顧客ロイヤリティ計画の中心に長く置かれてきた価格、品質、サービスのマトリックスを超えたニュアンスや複雑さが増加することになるでしょう。将来は、企業によるテクノロジーの利用方法、市場(および消費者)への到達の迅速化、社会的な影響力の広がりとその測定は、いずれも顧客ロイヤリティに大きな役割を果たすようになります。これは現在すでに始まっていますが、2030年には、その重要性が増加します。」

より重要性を増すブランドへの”信頼”
今日のブランドにとっての最大の課題はおそらく、ブランドと消費者の間に存在するギャップを克服することです。消費者は、自分たちの個人データをブランドが取り扱う方法を気にかけ、それを変更できないと感じています。データの機密保持についてブランドを信頼している消費者は54%に過ぎません。実際に、73%の消費者は、自分たちの個人データの利用が「制御不能」であると考えています。収集する豊富なユーザー・データの結果として提供できるCXと消費者の懸念に対してバランスをとることは、ブランドにとって課題となります。

ただし調査結果は、直面するリスクについてブランドが理解していることを示しています。59%のブランドは、CXを確保する上で、顧客情報の保護は最も重要な要因であると回答しています。しかし、ブランドはそれに対応しているのでしょうか? 調査結果は、いくつかの課題を示唆しています。84%のブランドは、プライバシーに関する政府規制の変更と、それに適合するための自社の準備を懸念しています。
ウィルソン・ラジは次のように述べています。「自分の生活を他者にオープンにするテクノロジーを利用し続ける中で、消費者は、自分を個人として理解し、プライバシーも保護するように、企業に二重の期待をしています。この二重の期待こそが、カスタマー・エクスペリエンスにおける、プライバシーと個人データ活用のバランスを打ち立てる好機となります。」

調査方法
Futurum Researchは、36か国の多様な消費者、業界、政府セクターにまたがる4,000人以上を対象に、2019年5月に調査を開始しました。
詳細については、sas.com/experience2030をご覧ください。

今回の発表は、イタリアのミラノで開催されたAnalytics Experienceカンファレンスで行われました。SASが主催したこのビジネス・テクノロジー・カンファレンスには、オンサイトとオンラインで数千人が参加し、重要なビジネス課題について意見を交換しました。

*2019年10月22日に米国SAS Institute Inc.より発表されたプレスリリースの抄訳です。
本原稿はSAS本社プレスリリースの原稿を抄訳したものです。本記事の正式言語は英語であり、その内容および解釈については英語を優先します。
https://www.sas.com/en_us/news/press-releases/2019/october/customer-experience-2030-ax19.html

SASについて
SASは、アナリティクスのリーディング・カンパニーです。SASは、革新的なソフトウェアとサービスを通じて、世界中の顧客に対し、データをインテリジェンスに変換するためのパワーとインスピレーションを届けています。SASは「The Power to Know®(知る力)」をお届けします。

*SASとその他すべてのSAS Institute Inc.製品またはサービス名は、米国とその他の国におけるSAS Institute Inc.の登録商標または商標です。®は米国での登録を示します。その他のブランド名ならびに製品名は、各社の登録商標です。Copyright © 2019 SAS Institute Inc. All rights reserved.

この企業の関連リリース

この企業の情報

組織名
SAS Institute Japan株式会社
ホームページ
http://www.sas.com/jp
代表者
手島 主税
資本金
10,000 万円
上場
非上場
所在地
〒106-6111 東京都港区六本木6-10-1六本木ヒルズ森タワー 11F
連絡先
03-6434-3000

検索

人気の記事

カテゴリ

アクセスランキング

  • 週間
  • 月間
  • 機能と特徴
  • Twitter
  • Facebook
  • デジタルPR研究所