さらにブリリンタは冠動脈形成術の施行歴がある患者さんを対象とした
事前設定されたサブ解析において、臨床的により有意義な結果を示す
本資料はアストラゼネカ英国本社が2019年9月1 日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。
アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot]、以下、アストラゼネカ)は、2019年9月1日、ブリリンタ®錠(一般名:チカグレロル、以下、ブリリンタ)の第III相THEMES試験において、ブリリンタとアスピリンの併用療法が、アスピリン単剤療法との比較で、心血管死、心筋梗塞または脳梗塞からなる複合イベントのリスクを相対的に10%低下させ、統計学的に有意な低減を示したという良好な詳細結果を発表しました。
THEMIS試験は、2型糖尿病(T2D)と診断された、心筋梗塞および脳卒中の既往歴がない冠動脈疾患(CAD)患者さんを対象として実施されました。
さらに、THEMIS試験では、臨床的に意義があり事前に規定された対象集団である、冠動脈の閉塞あるいは狭窄した部分を広げる経皮的冠動脈形成術(PCI)の施行歴がある患者さんを対象としたサブ解析が実施され、ブリリンタとアスピリンの併用療法は、アスピリン単剤療法との比較で、心血管死、心筋梗塞または脳梗塞からなる複合イベントのリスクを相対的に15%低下させたことが認められました。
ブリリンタの安全性プロファイルは、THEMIS試験およびTHEMIS試験PCIサブ解析の両方に認められた出血イベントのリスク増加を含め、既知のプロファイルと一貫していました。
バイオ医薬品研究開発部門担当エグゼクティブバイスプレジデントであるMene Pangalosは次のように述べています。「本試験で得られた良好な結果によって、ブリリンタが2型糖尿病を合併した冠動脈疾患患者さんの心血管イベントリスクを低下させることが示されました。このような患者さんでは心筋梗塞または脳梗塞のリスクが、心血管疾患の既往歴がない糖尿病患者さんに比べて約2倍ありますので、ブリリンタがこれらの患者さんの治療に貢献できると期待しています。また、試験対象患者さんの中でも、ブリリンタによる治療の恩恵が期待できるサブグループが、臨床的に容易に特定可能なPCI の施行歴がある2型糖尿病患者さんであることも今回初めて示されたことになります」。
THEMIS試験の共同治験責任医師である、ブリガム・アンド・ウイメンズ病院International Cardiovascular Programのエグゼクティブディレクターおよび米国ボストン ハーバード大学医学部教授のDeepak L. Bhatt氏(MD、MPH)は次のように述べています。「これまで、2型糖尿病を合併した冠動脈疾患患者さんに対する治療選択肢は限られていました。THEMIS試験の結果によって心血管リスク低下に関する理解が深まるとともに、心血管疾患領域全体の患者さんにおける抗血小板剤2剤併用療法の役割に関する理解が向上しました」。
THEMIS 試験の共同治験責任医師である、パリ大学教授のGabriel Steg氏(MD)は次のように述べています。「PCIの施行歴がある2型糖尿病患者さんは、心筋梗塞の既往歴を持つ患者さんと同様の心血管イベントのリスクに晒されています。PCIの施行歴がある患者さんは一定数存在し、今回の試験においてより良い臨床的な有益性が確認されたため、将来的にブリリンタとアスピリンの長期併用療法による治療が検討されることを期待します」。
アストラゼネカはこれらの結果に基づいて、ブリリンタの添付文書改訂に関して規制当局との協議を進めていきます。
THEMIS試験およびTHEMIS試験PCIサブ解析の結果は、2019年9月1日、フランス・パリで開催の欧州心臓病学会(ESC)において発表されました。THEMIS試験の全結果は同時に
New England Journal of Medicine に掲載され、THEMIS試験PCIサブ解析の結果は
The Lancet に掲載されました1,2。
なお、本邦においてブリリンタに心筋梗塞および脳梗塞の既往歴のない2型糖尿病を合併した冠動脈疾患に対する治療薬としての適応はありません。
以上
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THEMIS試験について
THEMIS(Effect of Ticagrelor on Health Outcomes in DiabEtes Mellitus Patients Intervention Study:糖尿病患者さんの健康アウトカムに対するチカグレロルの効果に関する介入試験) は、心筋梗塞および脳卒中の既往歴のない2型糖尿病を合併した冠動脈疾患患者さんを対象とする、アストラゼネカ主導の国際無作為化二重盲検試験です。THEMIS試験は、心筋梗塞および脳卒中の既往歴のない2型糖尿病を合併した冠動脈疾患患者さんにおいて、ブリリンタとアスピリンの併用療法が、アスピリン単剤療法と比較して、心血管死、心筋梗塞または脳卒中の複合からなる主要心血管イベント(MACE)を低減するという仮説を検証する目的で実施されました。冠動脈疾患の定義は、経皮的冠動脈形成術(PCI)、冠動脈バイパス術の施行歴あるいは50%以上の冠動脈狭窄とされました。
THEMIS試験PCIサブ解析 は、臨床的に有意義であり事前に設定されたPCIの施行歴がある患者さんを対象としたサブ解析です。
ブリリンタ(一般名:チカグレロル)について
ブリリンタは、血小板活性を阻害することで効果を発揮する、経口P2Y12受容体阻害剤です。P2Y12受容体に直接かつ可逆的に結合します。ブリリンタはアスピリンとの併用で、急性冠症候群(ACS)患者さん、もしくは心筋梗塞(MI)の既往歴を有する患者さんの、主要心血管イベント(心血管死、心筋梗塞または脳梗塞)のリスクを有意に低下することが示されています。
ブリリンタは、アスピリンとの併用で、急性冠症候群の患者さん、もしくはアテローム血栓性心血管イベント発症リスクの高い心筋梗塞の既往歴のある患者さんにおける、アテローム血栓性イベント再発抑制を適応症としています。
日本におけるブリリンタの適応は、以下のとおりです。
・ブリリンタ
®錠90mg:経皮的冠動脈形成術(PCI)が適用される急性冠症候群(不安定狭心症、非ST上昇心筋梗塞、ST上昇心筋梗塞)(ただし、アスピリンを含む抗血小板剤2剤併用療法が適切である場合で、かつ、アスピリンと併用する他の抗血小板剤の投与が困難な場合に限る)
・ブリリンタ
®錠60mg:以下のリスク因子を1つ以上有する陳旧性心筋梗塞のうち、アテローム血栓症の発現リスクが特に高い場合
65歳以上、薬物療法を必要とする糖尿病、2回以上の心筋梗塞の既往、血管造影で確認された多枝病変を有する冠動脈疾患、又は末期でない慢性の腎機能障害
アストラゼネカの循環器・腎・代謝疾患(CVRM) について
循環器・腎・代謝領域は、アストラゼネカの3つの主要治療領域のひとつであり、重要な成長ドライバーです。心臓、腎臓、膵臓などの臓器の基本的な関連性をより明確に解明するサイエンスを追求し、疾患進行の抑制やリスク減少、合併症の抑制による臓器保護と予後の改善をもたらす医薬品のポートフォリオに投資をしています。当社は、循環器・腎・代謝疾患をもつ世界中の何百万人もの患者さんの健康と、治療法の進歩に貢献する革新的なサイエンスを継続的に提供し、疾患の治療・進展抑制、さらには臓器およびその機能の再生の実現を目指しています。
References
1. Steg P.G et al. Ticagrelor in Patients with Stable Coronary Disease and Diabetes. New England Journal of Medicine.
2. Bhatt D.L et al. Ticagrelor in patients with diabetes and stable coronary artery disease with a history of previous percutaneous coronary intervention (THEMIS-PCI): a phase 3, placebo-controlled, randomised trial. The Lancet.
アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝疾患、および呼吸器の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。当社は、100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttp://www.astrazeneca.com または、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。
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