アストラゼネカのSGLT2阻害剤「フォシーガ」 米国食品医薬品局(FDA)より慢性腎臓病治療薬としての開発に対する ファストトラック指定を取得

本資料はアストラゼネカ英国本社が2019年8月27日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、
みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。

アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot]、
以下、アストラゼネカ)は、2019年8月27日、SGLT2阻害剤フォシーガ(米国での製品名:Farxiga、一般名:ダパグリフロジン)で進行中の、慢性腎臓病(CKD)患者さんの腎不全の進行遅延、心血管死ならびに腎死の予防を目的とした開発に対し、
米国食品医薬品局(以下、FDA) よりファストトラック指定を取得したことを発表しました。

FDAのファストトラックプログラムは、現在の治療では満たされない医療ニーズがある重篤な疾患の治療となる新薬の開発および審査の迅速化を目的としています。ファストトラック指定は、2型糖尿病合併および非合併の慢性腎臓病患者さんを対象に付与されました。

バイオ医薬品研究開発担当エグゼクティブバイスプレジデントであるMene Pangalosは次のように述べています。「慢性腎臓病は、米国では推定3,700万人に影響を及ぼし、心疾患および脳卒中のリスク増加を伴う疾患です。本ファストトラック指定によって、慢性腎臓病の満たされない医療ニーズに、より迅速に対応するための重要な一歩です。当社はFDAと緊密に連携し、慢性腎臓病患者さんの予後改善に対するフォシーガの可能性を探求します」。

現在進行中の第III相DAPA-CKD試験は、2型糖尿病合併および非合併の慢性腎臓病患者さんを対象に、慢性腎臓病の標準治療への追加治療としてフォシーガを使用した際の腎転帰および心血管死に対する効果を、プラセボとの比較で検討する試験で、日本人患者さんも含まれています。

なお、フォシーガが慢性腎臓病に対する治療薬としての適応を取得している国はありません。
以上

*****
慢性腎臓病(CKD)について
CKDは、腎機能が低下することにより起こる重篤な進行性の疾患です。腎機能の低下は、推算糸球体ろ過量(eGFR)の低下、あるいは腎臓損傷の複数のバイオマーカー反応、もしくはその両方が、最低3カ月間認められた場合と定義されます1。CKDを発症するもっとも一般的な疾患は、糖尿病と高血圧です2。全世界で推定2億人の成人がCKDに罹患しています3。CKDは治療抵抗性高血圧4、慢性的な体液過剰状態5、心不全6、心血管死や全死亡7,2のリスクを増加させます。CKDの最も重篤な状態は末期腎不全(ESRD)と呼ばれ、腎障害および腎機能低下が進行し、血液透析や腎移植を必要とする状態となります8。ESRD患者さんの多くは心血管系の原因によって死亡しています9。

フォシーガについて
フォシーガ(一般名:ダパグリフロジン)は、成人2型糖尿病患者さんの食事、運動療法の補助療法としての血糖コントロールの改善を適応とし、経口1日1回投与で単剤療法および併用療法の一環として使われる、ファーストインクラスの選択的阻害剤(SGLT2阻害剤)です。本邦では2019年3月、1型糖尿病の適応を取得しました。フォシーガの強固な臨床プログラムは、終了済みの試験を含め35,000例以上の患者さんを対象とする35件以上の第IIb/III相試験から構成されており、フォシーガはこれまでに250万患者年以上に処方されました。

DapaCare臨床プログラムについて                       
アストラゼネカは、循環器 (CV)、代謝および腎疾患の有病率、これら疾患に関連する死亡率や臓器障害について明らかにすることにより、患者さん中心の包括的なアプローチによる疾患管理を目指しています。これらの疾患は相互に関連していることを受け、アストラゼネカでは、DapaCare臨床プログラムという、ダパグリフロジンの心血管および腎に対する薬効プロファイルを、患者さんの2型糖尿病合併の有無に関係なく検証するプログラムを開始しました。本プログラムには、約3万人近い患者さんが無作為化臨床試験に登録され、複数国で実施したリアルワールドエビデンス試験によって裏付けられています。DapaCare臨床プログラムは、2型糖尿病合併の有無にかかわらず、心血管疾患の既往がある患者さん、心血管リスク因子を有する患者さん、さまざまなステージの腎疾患を有する患者さんなど幅広い患者データを構築し、患者アウトカムの改善に必要なエビデンスを医療関係者に提供します。
フォシーガでは、DAPA-CKD試験に加えて、心不全患者さんを対象とするDAPA-HF 試験(HFrEF [左室駆出率が低下した心不全]対象)、DELIVER試験(HFpEF[左室駆出率が保持された心不全] 対象)および DETERMINE試験(HFrEFおよびHFpEF対象)が進行中です。DapaCare臨床プログラムは、心血管 、腎疾患、代謝疾患に伴う複数のリスク因子に対応する、包括的な患者さんへのアプローチを実現し、サイエンスの限界に挑むという当社の理念を象徴するプログラムです。

アストラゼネカの循環器・腎・代謝疾患(CVRM について
循環器・腎・代謝領域は、アストラゼネカの3つの主要治療領域のひとつであり、重要な成長ドライバーです。心臓、腎臓、膵臓などの臓器の基本的な関連性をより明確に解明するサイエンスを追求し、疾患進行の抑制やリスク減少、合併症の抑制による臓器保護と予後の改善をもたらす医薬品のポートフォリオに投資をしています。当社は、循環器・腎・代謝疾患をもつ世界中の何百万人もの患者さんの健康と、治療法の進歩に貢献する革新的なサイエンスを継続的に提供し、疾患の治療・進展抑制、さらには臓器およびその機能の再生の実現を目指しています。

References
  1. Mallappallil, M., Friedman, E. A., Delano, B. G., McFarlane, S. I., & Salifu, M. O. (2014). Chronic kidney disease in the elderly: evaluation and management. Clinical practice (London, England), 11(5), 525–535. doi:10.2217/cpr.14.46.
  2. Webster AC, Nagler EV, Morton RL, Masson P. Chronic Kidney Disease. Lancet. 2017;389(10075):1238-5
  3. Ojo A. Addressing the global burden of chronic kidney disease through clinical and translational research. Trans Am Clin Climatol Assoc. 2014;125:229-43; discussion 243-6.
  4. Tanner RM, Calhoun DA, Bell EK, Bowling CB, Gutierrez OM, Irvin MR, et al. Prevalence of apparent treatment-resistant hypertension among individuals with CKD. Clin J Am Soc Nephrol. 2013;8(9):1583-90.
  5. Agarwal R. Resistant hypertension and the neglected antihypertensive: sodium restriction. Nephrol Dial Transplant. 2012;27(11):4041-
  6. Dhingra R, Gaziano JM, Djousse L. Chronic kidney disease and the risk of heart failure in men. Circ Heart Fail. 2011;4(2):138-44.
  7. Muntner P, He J, Hamm L, Loria C, Whelton PK. Renal Insufficiency and Subsequent Death Resulting from Cardiovascular Disease in the United States. Journal of the American Society of Nephrology. 2002;13(3):745.
  8. Centers for Disease Control and Prevention. Chronic Kidney Disease in the United States, 2019; [cited 2019 Aug 24]. Available from URL: https://www.cdc.gov/kidneydisease/publications-resources/2019-national-facts.html.
  9. Thompson S, James M, Wiebe N, Hemmelgarn B, Manns B, Klarenbach S and Tonelli M. Cause of Death in Patients with Reduced Kidney Function. Journal of the American Society of Nephrology. 2015, 26 (10) 2504-2511; DOI: https://doi.org/10.1681/ASN.2014070714.

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝疾患、および呼吸器の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。当社は、100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttp://www.astrazeneca.com または、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。

本件に関するお問合わせ先
アストラゼネカ株式会社
東京都千代田区丸の内1-8-3 丸の内トラストタワー本館
コーポレートアフェアーズ統括部 池井
JPN.Ex.Comm@astrazeneca.com
Tel: 03-6268-2800 / 070-1369-2228

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組織名
アストラゼネカ株式会社
ホームページ
https://www.astrazeneca.co.jp/
代表者
ステファン・ ヴォックスストラム
上場
海外市場
所在地
〒530-0011 大阪府大阪市北区大深町3番1号グランフロント大阪タワーB

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