アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:ステファン・ヴォックスストラム、以下、アストラゼネカ)は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療配合剤「ビレーズトリTMエアロスフィア®56吸入」、「同120吸入」(治験薬コード:PT010、一般名:ブデソニド/グリコピロニウム臭化物/ホルモテロールフマル酸塩水和物、以下「ビレーズトリエアロスフィア」)の製造販売承認を、世界各国に先駆け本邦で取得しましたことをお知らせいたします。同製品の効果・効能は「慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、肺気腫)の諸症状の緩解(吸入ステロイド剤、長時間作用性吸入抗コリン剤および長時間作用性吸入β2刺激剤の併用が必要な場合)」です。
ビレーズトリエアロスフィアは、抗炎症作用をもつ吸入ステロイド薬(ICS)のブデソニド、気管支拡張作用をもつ長時間作用性ムスカリン受容体拮抗薬(LAMA)のグリコピロニウム臭化物、同じく気管支拡張作用をもつ長時間作用性β2刺激薬(LABA)のホルモテロールフマル酸塩水和物の3成分を、1つの吸入デバイスに定量配合した吸入剤です。一定量の薬液が噴霧される吸入エアゾール剤で、1回2吸入を1日2回吸入投与します。
吸入デバイスには、エアロスフィア・デリバリー・テクノロジーという次世代の薬剤送達技術を搭載した加圧噴霧式定量吸入器(pMDI)を採用し、吸気力が低下しているために十分な吸気流量が得られにくい患者さんでも少ない負荷で吸入でき、薬剤が速やかに、かつ常に一定に肺に行き届くのが特徴です。
今回の承認は、中等症から最重症のCOPD患者さんを対象に、ビレーズトリエアロスフィアの有効性および安全性を検討した第III相国際共同臨床試験(KRONOS試験)の試験結果に基づくものです。KRONOS試験においてビレーズトリエアロスフィアは、ビベスピエアロスフィア(グリコピロニウム/ホルモテロールフマル酸塩)およびPT009(ブデソニド/ホルモテロールフマル酸塩)2剤と比較して、日本の主要評価項目であるトラフFEV1(努力呼気1秒量)の統計学的に有意な改善を示しました。KRONOS試験の結果は、The Lancet Respiratory Medicineに掲載されています1。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、肺の気流閉塞により息切れが起き、体力が消耗する進行性の疾患です2。日本において継続的に治療を受けている患者さんは約26万人ですが、総患者数は約530万人とも推定されています3,4。呼吸機能の改善や増悪の減少、また、息切れなどの日常的な症状を管理することがCOPD治療において重要です2。
ビレーズトリエアロスフィアは世界に先駆けて日本で承認されました。ビレーズトリエアロスフィアは、中国では国家薬品監督管理局の優先審査を受け、現在当局の審査中で、結果は本年後半に発表される見込みです。米国、EUにおいても当局審査中で、結果発表は2020年の見込みです。
なお、本日、グリコピロニウム臭化物・ホルモテロールフマル酸塩の2成分を定量配合した吸入剤である「ビベスピ®エアロスフィア®」(治験薬コード:PT003)もCOPD治療薬として国内製造販売承認を取得しました。本邦において同社が同じ疾患に対する治療薬を2製品同時に承認取得したのは初めてです。
ビレーズトリTMエアロスフィア®56吸入
、120吸入
の製品概要
製品名:ビレーズトリTMエアロスフィア®56吸入、ビレーズトリTMエアロスフィア®120吸入
一般名:ブデソニド/グリコピロニウム臭化物/ホルモテロールフマル酸塩水和物
剤形・性状:用時作動により一定量の薬液が噴霧される吸入エアゾール剤
効能・効果:慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、肺気腫)の諸症状の緩解(吸入ステロイド剤、長時間作用性吸入抗コリン剤及び長時間作用性吸入β2刺激剤の併用が必要な場合)
用法・用量:通常、成人には、1回2吸入(ブデソニドとして320μg、グリコピロニウムとして14.4μg、ホルモテロールフマル酸塩として9.6μg)を1日2回吸入投与する
製造販売承認日:2019年6月18日
製造販売元:アストラゼネカ株式会社
以上
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ビレーズトリTMエアロスフィア®56吸入、120吸入(治験薬コード:PT010、一般名:ブデソニド/グリコピロニウム臭化物/ホルモテロールフマル酸塩水和物)について
ビレーズトリエアロスフィアは、吸入ステロイド薬(ICS)のブデソニド、長時間作用性ムスカリン受容体拮抗薬(LAMA)のグリコピロニウムと、長時間作用性β2刺激薬(LABA)のホルモテロールフマル酸塩の3成分を加圧噴霧式定量吸入器(pMDI)に定量配合した吸入剤です。
KRONOS試験およびATHENA臨床試験プログラムについて
KRONOS試験は、ビレーズトリエアロスフィアの安全性および有効性を評価する、多施設無作為化二重盲検並行群間比較24週持続投与試験です。本試験では、ビレーズトリエアロスフィアをビベスピエアロスフィア(pMDIによるグリコピロニウムとホルモテロールフマル酸塩の配合剤)、シムビコートタービュヘイラー(ブデソニドとホルモテロールフマル酸塩の配合剤)、PT009(エアロスフィア・デリバリー・テクノロジーを搭載したpMDIを用いたブデソニドとホルモテロールフマル酸塩の配合剤)と比較しました。患者さんはビレーズトリエアロスフィア、ビベスピエアロスフィア、シムビコートタービュヘイラー、PT009のいずれかの1回2吸入を1日2回吸入しました。KRONOS試験は、約1,900例の中等症から最重症のCOPD患者さんを対象に実施しました。
KRONOS試験において、ビレーズトリエアロスフィアは、呼吸機能の主要評価項目7項目のうち6項目を達成したのに対して、2つの対照薬とPT009は呼吸機能の非劣性評価項目2項目を達成し、PT009の実対照薬としての適切性が裏付けられました。The Lancet Respiratory Medicineには、ビレーズトリエアロスフィアが、ビベスピエアロスフィアとの比較で、割付前12か月間で増悪経験がなかった患者群を対象として、中等症または重症のCOPD増悪の発生率というその他の評価項目において、52%の減少を示した結果が掲載されました。ビレーズトリエアロスフィアはまた、PT009とシムビコートと比較して、中等症または重症のCOPD増悪の発生率において、統計学的に有意ではないものの数字上の減少を示しました(それぞれ18%、17%)。肺炎と判定された症例数は、各患者群において同様でした1。KRONOS試験の主要および副次的評価項目、ならびに治療薬間の比較は、各国または地域の規制要件により異なります1。
第III相ATHENA臨床試験プログラムは、アストラゼネカが実施するビレーズトリエアロスフィアの第III相臨床試験プログラムで、全世界11試験で1万5,500例を超える患者さんを対象に行われています1,5,6,7。 ETHOS、KRONOS、TELOSおよびSOPHOSがATHENAの主要4試験です1,5,6,7。増悪を検証する第III相ETHOS試験は、2019年後半に結果が発表される予定です。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)について
COPDは、肺の気流閉塞により息切れが起き、体力が消耗する進行性の疾患です2。COPDは世界中で推定3億8,400 万人に影響を与え、2020年までに死因の第3位になると予測されています2,8。COPD治療においては呼吸機能の改善や増悪の減少、また、息切れなどの日常的な症状を管理することは、COPDの重要な治療目標です2。
アストラゼネカの呼吸器疾患領域について
呼吸器疾患はアストラゼネカが注力する3つの疾患領域のひとつで、2018年には世界中の1,800万人以上の患者さんに維持療法として当社製品をお届けしました。アストラゼネカは、吸入配合剤を中心に、特定の疾患治療のアンメットニーズに応える生物学的製剤や、疾患原因を解明する革新的なサイエンスを通じて、喘息およびCOPD治療を向上させることを目指しています。
アストラゼネカは、呼吸器領域における40年の歴史をさらに発展させており、当社の吸入器技術はドライパウダー吸入器(DPI)、加圧噴霧式定量吸入器(pMDI)、ならびにエアロスフィア・デリバリー・テクノロジーなどに及びます。また、当社の生物学的製剤には、現在重症喘息治療薬として承認され、重症鼻ポリープ症等の治療薬として開発中のファセンラ(抗好酸球、抗IL-5受容体ɑ抗体)、および重症喘息の第III相試験を実施中で、米国食品医薬品局から画期的治療薬指定(Breakthrough Therapy designation)を受けている tezepelumab(抗TSLP抗体)が含まれます。アストラゼネカは、肺上皮組織、肺免疫、肺再生および神経機能に焦点を当てた、基礎疾患のドライバーを解明する研究に注力しています。
References
1. Ferguson GT, Rabe KF, Martinez FJ, et al. Triple combination of budesonide/glycopyrrolate /formoterol fumarate using co-suspension delivery technology versus dual therapies in chronic obstructive pulmonary disease (KRONOS): a double-blind, parallel-group, randomised controlled trial. Lancet Respir Med 2018; 6(10):747-758.
2.GOLD. Global Strategy for the Diagnosis, Management and Prevention of COPD, Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease (GOLD) 2018. [Online]. Available at:
http://goldcopd.org. Last accessed: May 2019.
3. 厚生労働省 患者調査の概況(2017)
4. Fukuchi Y, Nishimura M, Ichinose M, et al (2004). COPD in Japan: the Nippon COPD Epidemiology study. Respirology. 9 (4): 458-65.
5. Clinicaltrials.gov. Study to Assess the Efficacy and Safety of PT010 Relative to PT003 and PT009 in Subjects With Moderate to Very Severe COPD (ETHOS). [Online]. Available at:
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02465567Last accessed: April 2019.
6.Clinicaltrials.gov. Study to Assess Efficacy and Safety of PT009 Compared to PT005, PT008, and Symbicort® Turbuhaler® on Lung Function Over 24-Weeks in Subjects With Moderate to Very Severe COPD (TELOS). [Online]. Available at:
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02766608. Last accessed: May 2019.
7. Clinicaltrials.gov. A Study to Assess the Efficacy and Safety of PT009 Compared to PT005 on COPD Exacerbations Over a 52-Week Period in Subjects With Moderate to Very Severe COPD (SOPHOS). [Online]. Available at:
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02727660. Last accessed: May 2019.
8. Adeloye D, Chua S, Lee C, et al. Global Health Epidemiology Reference Group (GHERG). Global and regional estimates of COPD prevalence: Systematic review and meta-analysis. J Glob Health. 2015; 5 (2): 020415.
アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝疾患、および呼吸器の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。また、炎症、感染症および ニューロサイエンスの領域においても、他社との提携を通じて積極的に活動しています。当社は、100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttp://www.astrazeneca.com または、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。
日本においては、主にオンコロジー、循環器・代謝/消化器、呼吸器を重点領域として患者さんの健康と医療の発展への更なる貢献を果たすべく活動しています。当社についてはhttps://www.astrazeneca.co.jp/ をご覧ください。
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アストラゼネカ株式会社
東京都千代田区丸の内1-8-3 丸の内トラストタワー本館
コーポレートアフェアーズ統括部 池井
JPN.Ex.Comm@astrazeneca.com
Tel: 03-6268-2800 / 070-1369-2228