~教育現場における「子どもの糖尿病」に関する調査で疾患啓発のニーズが明らかに~
- 糖尿病患児に対して、「適切な対応が出来る」と回答した教職員は約7人に1人(15.3%)
- 過去に「子どもの糖尿病」について学ぶ機会があったのは約5人に1人(21.3%)
公益社団法人 日本糖尿病協会(所在地:東京都千代田区、以下「日本糖尿病協会」)とサノフィ株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:ジャック・ナトン、以下「サノフィ」)は、糖尿病患児のよりよい学校環境作りの支援を目的とした、教職員向け訪問プログラム「KiDS Project」を本格始動することをお知らせします。
昨年、日本糖尿病協会およびサノフィが都内の中学校を対象に実施したパイロットケースでは、「子どもの糖尿病」について専門医や患者さんから学ぶ機会が教職員より高く評価されました。糖尿病患児数が近年増加傾向にあることを受け
[1]、この度、小・中学校における「子どもの糖尿病」の実態の理解を深めることを目的として、現役の小・中学校教職員400名を対象に「糖尿病患児の就学環境に関する実態調査」を実施しました。
調査の結果、どの学校現場でも「子どもの糖尿病」に直面する可能性がある一方で、現状では、受け入れ経験の有無によって「子どもの糖尿病」に関する認知や理解度に大きな差があることが明らかになりました。 また、教職員は「子どもの糖尿病」について学ぶ意欲を持っているものの、これまでに知識を得る場が少なかった現状も浮き彫りになっています。
[1] 糖尿病診療ガイドライン2016 http://www.jds.or.jp/modules/publication/index.php?content_id=4
主な調査結果は以下の通りです。
1.教職員の4人に1人が糖尿病患児の受け入れ経験あり -「子どもの糖尿病」は珍しくない時代に-
- 小・中学校教職員の25.3%が糖尿病患児を受け入れた経験があると回答。4人に1人が患児の受け入れを経験しており、今やどの学校現場においても「子どもの糖尿病」に 直面する可能性があることが判明した。
2.糖尿病患児に対して、適切な対応が出来ると回答したのは15.3%。
-「子どもの糖尿病」の認知・理解度は、患児受け入れ経験の有無によって大きな開きが発生-
- 「1型糖尿病」と「2型糖尿病」の違いを十分に理解しているのは全体の24.8%。糖尿病患児の受け入れ経験のない教職員では、違いを十分に理解しているのは17.7%。
- 糖尿病患児に対して「適切な対応が出来る」と回答したのは全体の15.3%。受け入れ経験がない教職員においてはわずか8%に留まった。
- 「糖尿病について困らない程度の知識を持っている」と回答したのは、患児の受け入れ経験がある 教職員のうち58.4%、受け入れ経験のない教職員では21.1%。
- 糖尿病患児の受け入れ経験のある教職員の81.2%が「子どもの糖尿病」に関する知識を身に付ける必要性を感じているのに対し、受け入れ経験のない教職員では42.8%と大きな差が生じている。
3.糖尿病患児の受け入れ経験者の中には、周囲の理解不足などで悩むケースも
- 糖尿病患児を受け入れた経験のある教職員のうち、「悩んだ経験がある」と回答したのは21.8%。具体的な事例としては、「周りの教職員・同僚が糖尿病に関する正確な知識や、患児への対応方法を知らなかったこと」がトップ。
4.過去に「子どもの糖尿病」について学ぶ機会があったのは全体の21.3%に留まるものの、
79.5%がセミナー参加に対して前向きな意向
- 糖尿病患児の受け入れ経験のある教職員の51.5%が過去に学ぶ機会があったと回答したのに対し、受け入れ経験のない教職員においては11%に留まった。
- 実際に「子どもの糖尿病」に関するセミナーが開催された場合、過去に患児を受け入れた経験のある教職員の94.1%、受け入れ経験のない教職員においても74.6%が「参加したい」と回答しており、ニーズが確かに存在することが伺える。
今回の調査結果を受け、公益社団法人日本糖尿病協会の理事長 清野裕(せいの・ゆたか/関西電力病院 総長)は次のように述べています。
「学校における糖尿病患児への適切なサポートがあれば、彼らは健常児と同じように学校生活を送ることができます。糖尿病の児童・生徒のすこやかな毎日のためには、学校そして教職員の皆さんが重要な役割を果たします。日本糖尿病協会では、先生方が糖尿病患児を受け持つ際に不安を持たれることのないよう、正しい情報の提供などを通じてお手伝いしたいと考えます」
同協会とサノフィは、糖尿病をもつ子どものよりよい学校環境作りのサポート、青年期における2型糖尿病の予防への貢献、の2つを目的として、小・中学校教職員向け訪問プログラム「KiDS Project」を本格稼働し、開催校を募集します。糖尿病の正しい知識や、糖尿病患児が学校で直面している現状を教職員の皆様に分かりやすくお伝えすることで、糖尿病の正しい理解が促進され、糖尿病をもつ子どもの自信につながる環境の醸成をめざします。
以上
<糖尿病患児の就学環境に関する実態調査の概要、調査結果>
リリースPDFの別紙(1)にて、ご覧いただけます。
<小・中学校教職員向け訪問プログラム「KiDS Project」の概要>
糖尿病の子どもをサポートし、学校に通う子どもたちに健康的なライフスタイルを啓発するため、国際糖尿病連合(IDF)と国際小児思春期糖尿病学会(ISPAD)、サノフィ・グループが2013年9月に「KiDS Project」を立ち上げました。
日本では、日本糖尿病協会とサノフィが協同し、訪問プログラムと充実した情報資材を通して、糖尿病をもつ子どものよりよい学校環境をサポートすること、青年期における2型糖尿病の予防に貢献することを目的に活動しています。訪問プログラムでは、専門医とインスリンメンター(*)が全国の学校に伺い、糖尿病の正しい知識や、糖尿病の患者さんが学校で直面している現状を教職員の皆様にお話しします。
<KiDS Projectの特徴>
▼講師は糖尿病の専門医
・糖尿病に精通した専門医が、糖尿病に関する正しい知識をお伝えします。
▼インスリンメンター(*)による体験談
・糖尿病患者の方が実際に直面した現状の問題など、体験談を紹介します。
▼充実した内容の情報ツール
・「教職員」「子ども」「一般の保護者」「糖尿病の子を持つ保護者」それぞれの視点から糖尿病について学ぶことができるKiDS Projectオリジナルの「学校用糖尿病情報パック」をはじめ、さまざまな情報ツールを使用します。
・1型、2型それぞれの糖尿病の基礎知識はもちろんのこと、教職員として知っておいていただきたいことや、糖尿病を持つ子どもの学校での管理に関するガイドラインをわかりやすく説明しています。
▼日本全国の学校へ訪問します。
*日本糖尿病協会は、2015年より患者が患者を支援するピアサポートの取り組みとして、インスリンメンター制度を展開しています。
インスリンメンターは、自らの経験をもとに、後輩患児のサポートや社会への糖尿病啓発を行います。
<「KiDS Project」訪問プログラム 募集要綱>
■時期 : 2018年3月~12月頃まで ※日程はご相談ください。応募者多数の場合は抽選となります。
■場所 : 全国の小・中学校 ※講師が学校に伺い、訪問プログラムを実施します。
■時間 : 約70分 ※開催時間及び所要時間はご都合に応じて調整いたします。
■定員 : なし ※教職員の皆様にご参加いただけます。
■料金 : 無料
■URL: https://www.nittokyo.or.jp/modules/about/index.php?content_id=40
日本糖尿病協会について
日本糖尿病協会は、糖尿病に関する正しい知識の普及啓発、患者及びその家族への療養支援、国民の糖尿病予防、健康増進への調査研究を行うことを目的に、1961 年(昭和 36 年)に設立されました。現在の会員数は約 110,000 人。糖尿病患者とその家族、医師、看護師、栄養士などの医療スタッフ、および糖尿病に関心のある市民で組織されています。「糖尿病連携手帳」など療養に役立つ資材の制作や、糖尿病療養指導者のスキルアップ支援に注力するほか、糖尿病47 都道府県の糖尿病協会と密接な連携のもと、地域社会への糖尿病啓発活動を通じて、日本の糖尿病の抑制を目指しています。
( URL:
http://www.nittokyo.or.jp / facebook:
http://www.facebook.com/nittokyo )
サノフィについて
サノフィは、健康上の課題に立ち向かう人々を支えます。私たちは、人々の健康にフォーカスしたグローバルなバイオ医薬品企業として、ワクチンで人々を守り、革新的な医薬品で痛みや苦しみを和らげます。希少疾患をもつ少数の人々から、慢性疾患をもつ何百万もの人々まで、寄り添い支え続けます。
サノフィでは、100カ国において10万人以上の社員が、革新的な医科学研究に基づいたヘルスケア・ソリューションの創出に、世界中で取り組んでいます。
サノフィは、「Empowering Life」のスローガンの下、ヘルスジャーニー・パートナーとして人々を支えます。
日本法人であるサノフィ株式会社の詳細は、
http://www.sanofi.co.jp をご参照ください。