アストラゼネカ糖尿病治療薬SGLT2阻害剤の大規模リアルワールドエビデンス試験「CVD-REAL試験」の結果を発表

SGLT2阻害剤での治療は他の糖尿病治療薬と比較し心不全による入院率および死亡率を有意に減少

30万例超の2型糖尿病患者さんを対象とした国際試験でSGLT2阻害剤での治療は総死亡を51%、入院のリスクを39%減少することを示す

アストラゼネカ(本社:英国ロンドン、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot]、以下、アストラゼネカ)は、糖尿病治療薬SGLT2阻害剤 の治療を受けた2型糖尿病患者さんの、心不全による入院ならびに総死亡のリスクを評価した、最初の大規模リアルワールドエビデンス(RWE)試験「CVD-REAL試験」の結果を、2017年3月19日、第66回米国心臓病学会年次学術集会で発表しました。1

CVD-REAL試験は、世界6カ国30万例超の2型糖尿病患者さんを対象としており、うち87%の患者さんは心血管系疾患の既往歴がありませんでした。同試験では、広範な2型糖尿病患者集団全体において、SGLT-2阻害剤 であるフォシーガ(一般名:ダパグリフロジン、米国での製品名:Farxiga)、カナグリフロジン、エンパグリフロジンによる治療は、他の糖尿病治療薬による治療と比較して、心不全による入院率を39%(p<0.001)、総死亡率を51%(p<0.001)減少したことが示されました。また、心不全による入院と総死亡の複合評価項目の減少率は46%(p<0.001)でした。1

糖尿病に罹患している成人患者さんは、世界中で4億1,500万人にのぼり、2040年までには6億4,200万人(成人の10人に1人)2 に増加すると推定されています。2型糖尿病患者さんの心不全のリスクは通常の人より2~3倍高く、また、心臓発作および脳卒中の高いリスクに晒されています。2型糖尿病患者さんの死因の約50%が心血管疾患です。3,4,5

アストラゼネカのバイスプレジデント兼グローバルメディカルアフェアーズ本部長であるBruce Cooper医学博士は、「糖尿病患者さんが世界的に増えていますが、糖尿病は、高い入院費用を負担するリスクや死亡の危険性を伴う合併症を起こします。6,7 今回この試験によって得られたリアルワールドデータが、比較的新しいSGLT2阻害剤クラスの薬による治療で、心不全による入院率や死亡率を約半分に減少するという、興味深いエビデンスを示しました。CVD-REALは、これまで臨床試験で対象とした2型糖尿病の患者さん群よりも、より広範でリスクが低い患者さん群における、SGLT2阻害剤治療の影響を評価した、最初の試験です」と述べました。

心不全による入院率の解析は、デンマーク、ドイツ、ノルウェー、スウェーデン、英国および米国の患者さんの匿名データを用いたもので、使用されたデータの内訳は、フォシーガ(ダパグリフロジン)投与が全患者さんのうちの41.8%、カナグリフロジン投与は52.7%、エンパグリフロジン投与は5.5%でした。一方、総死亡率の解析は、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、英国および米国の患者さんの匿名データを用い、使用されたデータの内訳は、フォシーガ(ダパグリフロジン)投与が全患者さんのうち51.0%、カナグリフロジン投与が42.3%、エンパグリフロジン投与が6.7%でした。

今回の解析結果は、CVD-REAL試験の最初の比較解析結果です。RWEデータの収集は継続しており、今後今回と同じ対象国の解析データセットを採用するだけでなく、他の国々のデータを加えるなどして、複数の解析が実施される予定です。本試験に用いられる解析データは、診療記録、苦情データベースおよび国内登録など、実臨床の情報源から入手された非特定化データです。本解析は、St. Luke’s Mid America Heart Institute(米国、カンザスシティ)の独立研究機関の統計グループにより検証されました。
以上
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References
1. The CVD-REAL Study: Lower Rates of Hospitalization for Heart Failure in New Users of SGLT-2 Inhibitors Versus Other Glucose Lowering Drugs — Real-World Data From Four Countries and More Than 360,000 Patients; presented 19 March at ACC 2017
2. International Diabetes Federation. Facts and Figures. Accessed 15 March 2017 http://www.idf.org/WDD15-guide/facts-and-figures.html
3. Nwaneri C, Cooper H, Bowen-Jones D. Mortality in type 2 diabetes mellitus: magnitude of the evidence from a systematic review and meta-analysis. The British Journal of Diabetes & Vascular Disease. 2013;13(4):192-207
4. Morrish NJ, et al. Mortality and causes of death in the WHO Multinational Study of Vascular Disease in Diabetes. Diabetologia. 2001;44 Suppl 2:S14-21.
5. World Heart Federation. Diabetes as a risk factor for cardiovascular disease. Available from: http://www.world-heart-federation.org/cardiovascular-health/cardiovascular-disease-risk-factors/diabetes/
6. World Health Organization. Media Centre: Diabetes Fact Sheet. Reviewed November 2016. Accessed 9 March 2017. http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs312/en/
7. American Diabetes Association. The Cost of Diabetes. Accessed 9 March 2017 http://www.diabetes.org/advocacy/news-events/cost-of-diabetes.html?referrer=https://www.google.com/


ダパグリフロジン(フォシーガ)臨床試験プログラムについて
ダパグリフロジン(米国での製品名:Farxiga、日本を含む米国以外での製品名:フォシーガ(R))は、ナトリウム・グルコース共輸送体2阻害剤(sodium-glucose cotransporter 2 inhibitor: SGLT-2i)と称される医薬品クラスに属する医薬品で、グルコースを腎臓経由で排出する2型糖尿病治療薬です。
フォシーガは、食事・運動療法では血糖値が改善しない、成人2型糖尿病患者さんの血糖コントロールの改善を適応としています。心血管イベントや死のリスク、あるいは心不全による入院のリスクの減少としての適応は取得していません。
現在ダパグリフロジンに関する3本のアウトカム試験が進行中です。DECLARE試験は、世界中で1万7,000例超の患者さんを登録した、堅固な無作為化、二重盲検、多施設間、プラセボ対照の心血管アウトカム試験です。心血管疾患のリスク(確立された心血管疾患もしくは複数の心血管リスク要因)が高い成人2型糖尿病患者さんの標準治療に、ダパグリフロジンを追加した治療の心血管アウトカムを、プラセボを追加した治療との比較で評価しています。DECLARE試験は2019年までには完了し結果が出る予定です。
DECLARE試験のほか、DAPA-HF試験およびDAPA-CKD試験という2つのアウトカム試験を実施しています。これらの試験では、患者さんの2型糖尿病合併の有無に関わらず、それぞれ対象の疾患(DAPA-HF試験では慢性心不全、DAPA-CKD試験では慢性腎臓病)の管理におけるダパグリフロジンの効果を明らかにすることを目的としています。なお、ダパグリフロジンは、心血管イベント、死亡、心不全あるいは慢性腎臓病進行のリスクの減少の適応は取得していません。

糖尿病領域におけるアストラゼネカ
アストラゼネカは、世界中の糖尿病患者さんの負担と合併症を減少させることを目指し、患者さんの人生を変えうる医薬品を創製するため、サイエンスの限界に挑戦しています。糖尿病領域を当社の重点治療領域の一つとし、循環器疾患、肥満、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、慢性肝疾患などの重大な合併症を有する多様な母集団や患者さんに重点を置いた研究開発に勤しんでいます。
糖尿病に対する当社のコミットメントは、当社のグローバル臨床研究プログラムの深さと広さに象徴されています。また、当社の糖尿病治療薬の治療効果をより広範な患者さんを対象に理解を深めていくとともに、併用治療アプローチをさらに探求し、より多くの患者さんが治療の奏効を病勢進行のより早期で達成できるよう努めています。当社の目標は、長期間にわたる糖尿病の負担を軽減することです。

アストラゼネカの循環器・代謝疾患領域について
アストラゼネカは、サイエンスのリーダーシップを果たし、成長へ回帰するための戦略の一環として、循環器、腎および代謝疾患(CVMD)を重点領域としています。CVMD領域の様々な疾患治療から培った知識や経験を集結し、革新的な治療薬を通じた罹患率、死亡率および臓器損傷の減少を目指して、CVMDリスクを高める基礎病態の解明に取り組んでいます。アンメットニーズはますます高まり、相互に関連する疾患とともに生活を送ることを余儀なくされている世界中の多くの患者さんは困難に直面しています。より多くの患者さんの生命を救うため、関連疾患がお互いにどのように作用し影響しあうのか、またどのように同時治療すべきかを解明することを目指しています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・代謝疾患、および呼吸器の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。また、炎症、感染症およびニューロサイエンスの領域においても、他社との提携を通じて積極的に活動しています。当社は、100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttp://www.astrazeneca.com または、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。


お問い合わせ先
アストラゼネカ株式会社
東京都千代田区丸の内1-8-3 丸の内トラストタワー本館
コーポレートアフェアーズ統括部 池井
JPN.Ex.Comm@astrazeneca.com
Tel: 070-1369-2228 / 03-6268-2800

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組織名
アストラゼネカ株式会社
ホームページ
https://www.astrazeneca.co.jp/
代表者
ステファン・ ヴォックスストラム
上場
海外市場
所在地
〒530-0011 大阪府大阪市北区大深町3番1号グランフロント大阪タワーB

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