生活習慣と健康・慢性疾患をつなぐ腸内細菌の「対照的な2つの媒介軸」を発見― 日本人約6,800人の大規模解析から「腸活」のエビデンスを提示 ―

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東京医科大学(学長:宮澤啓介/東京都新宿区)健診予防医学センター・永田尚義・准教授、魏冉・助手、金子元・客員研究員、鈴木亮・教授、国立健康危機管理研究機構(理事長:國土典宏)国立国際医療研究所・細菌感染研究室・濱端崇・室長、感染病態研究部・杉山真也・テニュアトラック部長、国立国際医療センター・消化器内科・小島康志・医長、国立国府台医療センター・上村直実・名誉院長、東京大学(総長:藤井輝夫)大学院新領域創成科学研究科の西嶋傑・特任准教授、理化学研究所(理事長:五神真)生命医科学研究センター粘膜システム研究チーム・中西 裕美子・研究員(研究当時)、伊藤鮎美・テクニカルスタッフⅡ、淺海祥平・基礎科学特別研究員、大野博司・チームディレクターらは、日本人の大規模腸内細菌コホート『Japanese 4Dコホート』を構築し、6,803人のデータから、生活習慣と健康・15の慢性疾患をつなぐ腸内マイクロバイオームの媒介経路と、その対照的な生物学的特徴を明らかにしました。本研究成果は、Nature Medicine(impact factor:52.5)のオンライン版に掲載されます(日本時間2026年11月5日19:00公開)。 東京医科大学(学長:宮澤啓介/東京都新宿区)健診予防医学センター・永田尚義・准教授、魏冉・助手、金子元・客員研究員、鈴木亮・教授、国立健康危機管理研究機構(理事長:國土典宏)国立国際医療研究所・細菌感染研究室・濱端崇・室長、感染病態研究部・杉山真也・テニュアトラック部長、国立国際医療センター・消化器内科・小島康志・医長、国立国府台医療センター・上村直実・名誉院長、東京大学(総長:藤井輝夫)大学院新領域創成科学研究科の西嶋傑・特任准教授、理化学研究所(理事長:五神真)生命医科学研究センター粘膜システム研究チーム・中西 裕美子・研究員(研究当時)、伊藤鮎美・テクニカルスタッフⅡ、淺海祥平・基礎科学特別研究員、大野博司・チームディレクターらは、日本人の大規模腸内細菌コホート『Japanese 4Dコホート』を構築し、6,803人のデータから、生活習慣と健康・15の慢性疾患をつなぐ腸内マイクロバイオームの媒介経路と、その対照的な生物学的特徴を明らかにしました。本研究成果は、Nature Medicine(impact factor:52.5)のオンライン版に掲載されます(日本時間2026年11月5日19:00公開)。 【本研究のポイント】
  • 従来の「腸内細菌と疾患との関連」から一歩進め、生活習慣 → 腸内マイクロバイオーム → 健康・慢性疾患という一連の関係を、日本人6,803人の大規模コホートを用いて、世界で初めて統合的に明らかにしました。
  • 食事・飲酒・喫煙・身体活動などの変容可能な生活習慣と、健康・15の慢性疾患を同一の枠組みで解析し、生活習慣と健康・疾患との関連を媒介する腸内マイクロバイオームに、「健康方向」と「疾患方向」という対照的な2つの軸が存在することを示しました。
  • 腸内細菌種や微生物機能に加え、糞便中の短鎖脂肪酸、血漿サイトカイン、縦断データ、13の海外コホートを統合し、生活習慣と健康・疾患との関連、その生物学的特徴、個人レベルでの健康・疾患の識別までを一つの研究フレームワークとして提示しました。
  • 健康方向の媒介菌は酪酸などの短鎖脂肪酸の増加や低炎症状態と関連する一方、疾患方向の媒介菌には口腔由来菌や病原性関連菌が多く、炎症性サイトカインの増加と関連するという、対照的な生物学的特徴を明らかにしました。
  • 食物繊維、乳糖、精製炭水化物、大豆由来成分などの食事成分について、腸内細菌の代謝機能が健康・慢性疾患との関連を媒介することを示しました。
  • 発酵食品に含まれる発酵菌そのものには健康との有意な媒介効果は認められず、酪酸産生菌などの腸内常在菌が、発酵食品と健康との関連を媒介することを明らかにしました。
  • 腸内細菌に基づいて健康状態と15の慢性疾患を識別するモデル「MADEスコア」を開発し、海外13の独立コホート(計3,095人)で検証しました。
【研究の背景と目的】 腸内細菌叢は食事、飲酒、運動などの生活習慣によって変化し、さまざまな慢性疾患とも関連することが知られています。しかし、これまでの研究は「生活習慣と腸内細菌叢」あるいは「腸内細菌叢と疾患」といった個別の関連を調べるものが中心であり、生活習慣と健康・慢性疾患の関係を、どの腸内細菌や微生物代謝機能がつないでいるのかは十分に明らかになっていませんでした。 そこで本研究では、日本人6,803人からなる大規模な「Japanese 4Dコホート」を用い、糞便ショットガンメタゲノム解析、糞便代謝物解析、血漿サイトカイン・ケモカイン解析を統合することで(図1a)、生活習慣と健康・15の慢性疾患をつなぐ腸内マイクロバイオームの媒介経路を明らかにすることを目的としました(図1b)。 【本研究で得られた結果・知見】 1.6,803人の解析から生活習慣と健康・慢性疾患をつなぐ腸内細菌の媒介経路を発見
食事、飲酒、喫煙、身体活動などの生活習慣と健康・慢性疾患との関係について、腸内細菌がどの程度関与しているかを調べるため、統計学的な媒介分析を行いました(図1b)。その結果、生活習慣の種類によって、健康・疾患との関連を媒介する腸内細菌の数や、その関連の方向が大きく異なることが明らかになりました(図1c)。 野菜、果物、キノコ、納豆などの植物性食品や発酵食品、コーヒー、身体活動では、健康状態との正の媒介効果を示す腸内細菌が多く認められました(図1c)。一方、米・パン・麺類などの精製炭水化物や清涼飲料水、喫煙では、健康状態との負の媒介効果や、慢性疾患との正の媒介効果を示す腸内細菌が多く認められました。特に、植物性食品や発酵食品では健康方向の媒介パターンが優勢である一方、精製炭水化物では疾患方向の媒介パターンが優勢という、対照的な特徴が示されました。また、飲酒では健康方向と疾患方向の両方の媒介経路が認められ、生活習慣による腸内細菌の働きは一様ではなく、健康状態や疾患の種類によって異なることも分かりました。 2.生活習慣と健康・慢性疾患をつなぐ「健康方向」と「疾患方向」の2つの腸内細菌の媒介軸を発見(図2)
次に、生活習慣と健康・疾患の関係を媒介する腸内細菌を詳しく解析した結果、健康方向と疾患方向という、対照的な2つの腸内細菌の媒介軸が明らかになりました(図2a,b)。 健康方向の媒介菌には、Faecalibacterium prausnitzii や Anaerostipes hadrus などの酪酸産生菌が多く含まれ(図2a)、野菜・果物などの植物性食品、発酵食品、コーヒー、身体活動などと関連していました。一方、疾患方向の媒介菌には、Streptococcus 属やBifidobacterium dentiumなどの口腔由来菌が含まれ(図2b)、精製炭水化物、飲酒、喫煙などの生活習慣との関連が認められました。 さらに、これら2つの媒介菌群がどのような生物学的特徴を持つのかを明らかにするため、約1,700人の糞便中の短鎖脂肪酸と血漿中のサイトカインを解析しました。その結果、健康方向の媒介菌は、酪酸をはじめとする短鎖脂肪酸との相関係数が疾患方向の媒介菌より有意に高く(図2a,c)、一方で、疾患方向の媒介菌は、TNF-α、IL-8、IFN-γなどの炎症性サイトカインとの相関係数が有意に高いことが分かりました(図2b,d)。 また、疾患方向の媒介菌では、健康方向の媒介菌と比較して、口腔由来菌が26.3%対0%、Lactobacillus属を主とする乳酸菌が6.9%対0%、病原性関連菌が14.3%対0%と、これらの菌群が有意に多く含まれていました(図2e)。 これらの結果から、健康方向の媒介菌は「酪酸などの短鎖脂肪酸と関連する低炎症型」、疾患方向の媒介菌は「口腔由来菌・病原性関連菌が多い炎症関連型」という、対照的な生物学的特徴を持つことが示されました。 3.食事・飲料の成分を代謝する腸内細菌の働きが、健康・慢性疾患との関連を媒介
① 植物性食品:食物繊維の分解と酪酸形成が健康との関連を媒介(図3a) 野菜・果物・キノコなどの植物性食品では、ペクチン、ヘミセルロース、セルロースなどの食物繊維分解や酪酸形成に関わる微生物代謝機能が、健康との関連を媒介していました。これらの結果は、植物性食品に含まれる食物繊維を腸内細菌が利用し、酪酸形成につながる代謝機能が健康との関連に関与する可能性を示しています。 ② 飲酒:ムチン利用菌が健康方向と疾患方向の両方に関与(図3b) 飲酒では、腸の粘液成分であるムチンなどを利用する腸内細菌や代謝関連遺伝子が特徴的でした。具体的には、Bacteroides uniformis などのムチンを含む糖鎖の利用に関わる菌種は健康方向の媒介菌として、Ruminococcus gnavus などのムチン分解菌は疾患方向の媒介菌として同定されました。 ③ 精製炭水化物:糖代謝と病原性関連菌が慢性疾患との関連を媒介(図3c) 米・パン・麺類・清涼飲料水などでは、糖の取り込み、乳酸産生、バイオフィルム形成などに関わる微生物代謝機能や、口腔由来菌・病原性関連菌(Escherichia coli、Klebsiella pneumoniae など)が慢性疾患との関連を媒介していました。特に清涼飲料水では、細菌が集団を形成するバイオフィルム形成や、細菌の細胞表層成分であるリポ多糖(LPS)の生合成などに関わる遺伝子が疾患方向の媒介因子として同定されました。これらの結果は、精製炭水化物の摂取と慢性疾患との関連に、糖を利用する腸内細菌の代謝機能や病原性関連菌が関与する可能性を示しています。 ④ 発酵食品:発酵菌そのものではなく、酪酸産生菌などが健康との関連を媒介(図3d) 納豆・漬物・キムチ・ヨーグルトなどの発酵食品では、食品の発酵に使われる納豆菌や乳酸菌などが、摂取に伴って腸内から検出されました。しかし、これらの食品由来の発酵菌そのものには、健康との有意な媒介効果は認められませんでした。一方、健康との関連を媒介していたのは、Faecalibacterium prausnitzii などの酪酸産生菌や、納豆・味噌などの発酵大豆食品と関連する Adlercreutzia 属などのエクオール産生関連菌でした。この結果は、「発酵食品に含まれる菌」と「発酵食品と健康をつなぐ菌」は必ずしも同じではないという重要な発見です。 以上より、食事・飲料と健康・慢性疾患との関連には、腸内細菌の種類だけでなく、食物繊維、糖、ムチン、大豆由来成分などを利用する微生物の代謝機能が重要な役割を果たす可能性が示されました。 4.腸内細菌から健康・15の慢性疾患を見分ける「MADEスコア」を開発し、海外でも検証
今回発見した腸内細菌の特徴を個人の健康・疾患状態の評価に応用するため、腸内細菌の菌種情報から健康状態と15の慢性疾患を識別するモデル「MADEスコア」を開発しました。 日本人6,803人のデータを用いた検証では、健康状態や炎症性腸疾患、2型糖尿病などの疾患を一定の精度で識別できることが示されました(図4a)。特に、炎症性腸疾患ではAUC 0.87と高い識別性能を示しました。 さらに、米国、中国、スウェーデン、ロシア、オーストラリアの5カ国、計13の独立コホート(計3,095人)で検証した結果、11コホートで健康・疾患の識別パターンが再現されました(図4b)。これは、日本人の腸内細菌データから開発したモデルが、異なる国や集団でも活用できる可能性を示しています。 また、MADEスコアと生活習慣との関連を調べたところ、野菜・果物・納豆などの摂取は健康MADEスコアと正の相関を示し、清涼飲料水の摂取、喫煙、長時間の座位などは疾患MADEスコアと正の相関を示しました(図4c)。 これらの結果は、MADEスコアが単に健康・疾患を識別するだけでなく、生活習慣と結びついた腸内細菌の特徴を数値化できる可能性を示しており、将来的な個別化された生活習慣改善や疾病予防への応用が期待されます。 【今後の研究展開および波及効果】 本研究は、生活習慣と健康・慢性疾患との関連を媒介する腸内細菌種や代謝機能遺伝子を大規模かつ網羅的に明らかにしたものであり、日本人の「腸活」に科学的根拠(エビデンス)を与える重要な研究成果です。 また、今回開発した「MADEスコア」は、腸内細菌から個人の健康・疾患状態を評価できる可能性を示しました。今後は、生活習慣改善による腸内環境の変化をMADEスコアで評価し、一人ひとりに適した「科学的根拠に基づく腸活」の実現を目指します。これにより、個別化予防・ヘルスケアの発展と国民の健康増進への貢献が期待されます。 【掲載誌名・DOI】 掲載誌名:Nature Medicine DOI:10.1038/s41591-026-04744-5
https://www.nature.com/articles/s41591-026-04744-5
【論文タイトル】

Opposing microbiome-mediated axes link modifiable lifestyles to health and chronic diseases

【著者】 Naoyoshi Nagata*, Ran Wei, Gen Kaneko, Suguru Nishijima, Ryo Aoki, Yasushi Kojima, Yoshiaki Tamura, Masaya Sugiyama, Takashi Hamabata, Toru Nakagawa, Kohjiro Ueki, Mitsuru Ohsugi, Yumiko Nakanishi, Ayumi Ito, Shohei Asami, Ryo Suzuki, Michael Kuhn, Peer Bork, Masahira Hattori, Hiroshi Ohno, and Naomi Uemura. *Corresponding authorship(責任著者) 【主な競争的研究資金】 本研究は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)のエイズ対策実用化研究事業(JP22fk0410051代表:永田尚義)、新興・再興感染症研究基盤創生事業(JP22fk0108538代表:永田尚義)、革新的がん医療実用化研究事業(JP25ck0106061代表:永田尚義)、江崎グリコ株式会社研究助成、国立国際医療研究センター国際医療研究開発費(28-2401、19A1011、24A1010代表:上村直実、永田尚義、小島康志)、日本学術振興会科学研究費助成事業 基盤研究(C)(JP17K09365代表:永田尚義)、喫煙科学研究財団研究助成(代表:永田尚義)、ダノン研究助成(代表:永田尚義)、日本酪農乳業協会(Jミルク)研究助成(代表:永田尚義)、武田科学振興財団研究助成(代表:永田尚義)、COCKPIT研究資金(代表:永田尚義)の支援を受けて実施しました。なお、これらの研究資金提供機関・団体は、本研究の計画、データ収集・解析、論文発表の意思決定および論文執筆には関与していません。 【補足資料:図解・表等 添付】 〇本研究に関する問い合わせ先 東京医科大学 健診予防医学センター 准教授 永田 尚義 TEL:03-3342-6111(病院代表) E-mail:n-nagata@tokyo-med.ac.jp 〇プレスリリースに関するお問い合わせ 学校法人東京医科大学 企画部 広報・社会連携推進室 TEL:03-3351-6141(大学代表)  E-mail:d-koho@tokyo-med.ac.jp   国立健康危機管理研究機構 危機管理・運営局 広報管理部 TEL:03-3202-7181(代表) E-mail:press@jihs.go.jp 東京大学大学院新領域創成科学研究科 広報室 TEL:04-7136-5450 E-mail:press@k.u-tokyo.ac.jp 理化学研究所 広報部 報道担当 TEL:050-3495-0247 E-mail:ex-press@ml.riken.jp ▼本件に関するお問い合わせ先 企画部 広報・社会連携推進室 住所:〒160-8402 東京都新宿区新宿6-1-1 TEL:03-3351-6141(代) メール:d-koho@tokyo-med.ac.jp 【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/

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組織名
東京医科大学
ホームページ
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代表者
宮澤 啓介
資本金
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非上場
所在地
〒160-8402 東京都新宿区新宿6丁目1-1
連絡先
03-3351-6141

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