東京薬科大学薬学部免疫学教室の山中大輔講師、安達禎之教授と東栄新薬株式会社との共同研究から生まれた、β-1,6-分岐β-1,3-グルカンまたはβ-1,3-グルカンを検出・定量する技術について、日本および米国に続き、中国でも特許が登録されました。β-グルカン結合タンパク質と分割型レポータータンパク質を利用した技術であり、糖鎖構造に着目した測定や食品原料等の品質評価、真菌に関する基礎研究への展開が期待されます。
■ ポイント
- 【共同研究の成果】β-グルカンを検出・定量する技術が日本・米国・中国で権利化。米国特許は2026年9月15日、中国特許は同年10月9日に公示された。
- 【研究の背景】β-グルカンは結合様式や分岐構造、溶解性などが多様で、複雑な検体中の構造的特徴を効率よく評価できる分析技術が求められている。
- 分岐構造に着目したβ-グルカンの研究や食品・原料の品質評価等への応用が期待される。
■ 概要
β-グルカンは、真菌や植物などに存在するグルコース多糖の総称です。真菌由来β-グルカンには、β-1,3結合を主体とし、β-1,6結合による分岐を有するものがあり、その構造は物理化学的性質や生物学的活性に関係します。従来の構造解析には精製や複数の分析工程を要する場合があり、測定対象が可溶性か不溶性かによっても操作上の制約が生じます。
今回の特許技術では、独自に開発した2種のタンパク質(β-1,3-グルカン結合タンパク質およびβ-1,6-グルカン結合タンパク質)に、それぞれ分割したレポータータンパク質を結合させた融合タンパク質を使用します。標的β-グルカンへの結合によって分割されたレポーターが近接し、活性を再構成する仕組みを利用して、目的とする構造を検出・定量します(図1)。米国特許明細書では発光レポーターを用いた実施例が示されており、洗浄工程を要しない測定、可溶性・不溶性試料への適用可能性などが記載されています。
■ 今後の展望
構造の異なるβ-グルカンの分析、真菌細胞壁成分の研究、食品・素材中のβ-グルカン含有量や構造的特徴を評価する方法への展開が見込まれます。今後、対象試料ごとの測定性能や再現性を検証し、具体的な研究・産業用途への適用可能性を検討します。真菌症の臨床診断への応用については、臨床検体での妥当性検証等が必要です。
■ 特許の概要
▲図1 特許技術の測定原理(概念図:公開特許明細書に基づき作成)
本技術は東栄新薬株式会社と東京薬科大学薬学部免疫学教室の共同研究を基礎とする成果であり、特許権者は東栄新薬株式会社、発明者は山中大輔講師および安達禎之教授です。なお、特許取得は診断キットや食品の有効性を保証するものではありません。
【関連リンク】東栄新薬株式会社ウェブサイト:
https://toeishinyaku.com/
■ 特許情報
| 国 | 特許番号 | 登録・公告日 |
|---|
| 日本 | 特許第7632898号 | 2025年2月10日登録 |
| 米国 | US 12,736,534 B2 | 2026年9月15日発行 |
| 中国 | ZL 202180032661.0(公告番号 CN 115516112 B) | 2026年10月9日授権公告 |
- 発明名称:β-1,6-分岐β-1,3-グルカンまたはβ-1,3-グルカンの検出・定量方法および検出・定量キット
- 米国特許原題:Method for Detecting and Quantifying Beta-1,6-Branched Beta-1,3-Glucan or Beta-1,3-Glucan, and Kit for Detecting and Quantifying the Same
■ 研究に関するお問い合わせ
東京薬科大学 薬学部 免疫学教室 教授 安達禎之(アダチ ヨシユキ)
電話:042-676-5561
E-mail:adachiyo[at]toyaku.ac.jp ※[at]を@に置換してください
▼本件に関するお問い合わせ先
入試・広報センター
住所:東京都八王子市堀之内1432-1
TEL:042-676-4921
FAX:042-676-8961
メール:kouhouka@toyaku.ac.jp
【リリース発信元】 大学プレスセンター
https://www.u-presscenter.jp/