〜7日で分断されるユーザー計測を180日つなぎ、顧客データを自社から一歩も出さずに使う 一部技術は特許出願中〜
一般社団法人ウェブ解析士協会(WACA)は2026年7月24日、Googleアナリティクス4(GA4)のBigQueryエクスポートデータを分析可能な形へ自動変換するオープンソースソフトウェア「WACA core」および「WACA path」を無償公開しました。
処理はすべて利用者自身のBigQuery環境内で完結し、WACAはデータを一切保持しません。企業が自社の顧客データを外部の事業者に預けることなく活用する「コンポーザブルCDP」の基盤として提供します。
■概要
| ソフト名 |
WACA core / WACA path |
| 内容 |
GA4のBigQueryエクスポートを分析可能なテーブルへ自動変換し、その出力からユーザー一人一人の行動を可視化するオープンソース |
| 公開 |
2026年7月24日(金) |
| ライセンス |
Apache License 2.0(無償・商用利用可・改変可) |
| 公開場所 |
GitHub
WACA core: https://github.com/wacasg/waca-core
WACA path: https://github.com/wacasg/waca-path
いずれもApache License 2.0で公開しています。導入手順は各リポジトリの INSTALL.md に記載しています。ご意見・不具合のご報告はGitHubのIssues/Pull Requestで歓迎します。 |
| 対象 |
自社の顧客データを自ら管理しながらGA4データを活用したい企業、ウェブ解析士、マーケティングテクノロジスト |
■背景
- GA4の標準画面では、必要な分析結果が得られない
GA4は標準のレポート画面でも分析を行えます。しかし、データ構造上の制約や、プライバシーに配慮したしきい値(データが一定数に満たない場合に結果を表示しない仕組み)により、意図した粒度のアウトプットが得られないことが少なくありませんでした。
2. BigQueryにエクスポートしても、扱いが難しい
GA4はBigQueryへ生データをエクスポートする機能を備えており、詳細な分析が可能です。しかし実務では、次の2点が障壁となっていました。
- データ構造と定義が複雑 イベントデータがネストされた構造で格納されているため、分析にはUNNEST(入れ子構造の展開)処理が不可欠で手間がかかる
- カラムの定義が変化する カラムの構成や定義が柔軟に変わるため、一度作った処理をそのまま使い続けられない
3. AI活用と、個人情報保護の板挟み
集計前の数値を顧客情報と連携させた解像度の高いデータを用いる方が、AIにより詳細に分析できます。
一方で、ITP(ブラウザのトラッキング防止機能)や個人情報保護の要請により、顧客情報の収集は年々難しくなっています。加えて、外部のSaaSに自社の顧客データを保持させることへの問題意識も高まっています。
■WACA core ─ GA4のデータを、分析できる形に
- イベント/イベントパラメータごとに分解されたテーブルを生成し、イベント単位の詳細な分析を可能にします
- ITPにより7日で分断される計測を、180日つなぎます
- user_idと紐づけることで、CRMデータとの連携や、EC系・CDP系マーケティングソリューションへのGA4データ活用が容易になります
- カラムごとの変化やデータ定義の変更に柔軟に対応する技術について、日本で特許を出願中です
- 処理はすべて利用者自身のGoogle Cloud内で行われ、WACAはデータを受け取りません
- 匿名の合成サンプルデータを同梱しており、実データがなくても導入手順を試せます
- 第三者による導入検証で、公開している説明書だけを頼りに動作させられることを確認済みです
■WACA path ─ ユーザー一人一人の行動を可視化
WACA pathはWACA coreをもとに、ユニバーサルアナリティクスのユーザーエクスプローラーのような顧客ごとの経路分析を可能にします
- ユーザー単位(pseudonymous_user_id)での行動一覧を顧客ID(user_id)とひもづけて一覧化
- ユーザーごとの180日遡った訪問や閲覧ページなどの回遊行動(閲覧ページ)とユーザー属性を一覧化
- Clarityと同期して行動ごとのユーザーのマウスの軌跡に録画と連携
- ユーザー行動履歴からペルソナとカスタマージャーニーマップを生成
- ペインポイント・ゲインポイントからそのユーザーのエンゲージメントを高める施策を提案
- データーはWACA core のデータを読み込むことで実現
コンポーザブルCDPの普及と、人材の育成へ
WACAは、企業が自社の顧客データを外部へ流出させることなく自ら管理できる仕組みの普及と、それを支援できる人材の育成を進めます。両ソフトウェアはオープンソースとして誰でも無償で利用できます。あわせてWACAは、CRM系ソリューションとの連携を含むサービス開発を進めるとともに、技術を活用できる人材を育成する「マーケティングテクノロジスト認定講座」を展開します。
マーケティングテクノロジスト認定講座
https://membership.waca.or.jp/course/martech/
■今後の展開
オープンソースとして広くご利用いただき、利用者の声を反映しながらサービスの改善を進めます。現在開発中のEC向けサービスについては、要望の高まりに応じてWooCommerce版およびShopify版の追加を予定しています。
知的財産データ定義の変更に追従する技術について日本で特許を出願中です。また「WACA core」は日本国内で商標出願中です。
■積高之・WACA代表理事よりコメント
顧客データは、本来その企業のものです。しかしAIの活用が進むほど、集計前の細かいデータと顧客情報が必要になり、データを外部の事業者に預けざるを得ない矛盾に多くの企業が直面しています。
WACA coreとWACA pathは、データを自社のクラウドから一歩も出さずに、AI時代の分析に必要な解像度を確保するために設計しました。そして、それを誰でも使えるオープンソースとして公開することにしました。
私たちは資格認定を行う団体です。だからこそ、道具を出すだけでは足りないと考えています。企業が自社の顧客データを自ら管理する「コンポーザブルCDP」の普及と、それを支えられる人材の育成を、あわせて進めてまいります。
一般社団法人ウェブ解析士協会(WACA)
ウェブマーケティングの知識・スキル習得の基盤となるウェブ解析。体系的に学べる環境、スキルの評価基準を設け、ウェブ解析に必要な知識や技術を身に付けられる資格が「ウェブ解析士」です。ウェブ解析やSNS、ウェブ広告などのデジタルマーケティングを学ぶ機会の創出、研究開発、関心を持つ人たちの交流促進、就業及びビジネスマッチング機会の創造、情報流通促進により、産業振興や社会教育を推進します。