一般社団法人デジタル・クライシス総合研究所による最新の炎上事案分析
シエンプレ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:佐々木 寿郎)は、一般社団法人 デジタル・クライシス総合研究所(住所:東京都港区、所長:佐々木 寿郎)と共同で、調査対象期間に発生したネット炎上についての件数と、その内訳、分析結果を公開しました。
○資料ダウンロードページ
https://www.siemple.co.jp/document/enjou_report_202604/
■調査背景
2026年1月30日、デジタル・クライシス総合研究所はソーシャルメディアを中心とした各種媒体とデジタル上のクライシスの特性、傾向と論調を把握するために「デジタル・クライシス白書2026」(調査対象期間:2025年1月1日~2025年12月31日)を公開しました。
継続調査の結果報告として、今回は2026年4月1日〜2026年4月30日の調査対象期間に発生した炎上事案について、新たに分析しました。
○「デジタル・クライシス白書2026」
https://www.siemple.co.jp/document/hakusyo2026/
■調査の概要
■調査結果
1. 炎上主体別 発生件数
1-1. 炎上主体別 発生件数と割合(前月比)
4月の炎上事案は300件でした。前月に比べ、19件減少しています。
炎上主体別の内訳では、「著名人」117件(39%)、「一般人」58件(19.3%)、「メディア以外の法人」106件(35.3%)、「メディア」19件(6.3%)という結果でした。
割合については下図のとおり、前月と比較し、「著名人」が5.2ポイントの減少、「一般人」が3.6ポイントの減少、「メディア以外の法人」が9.6ポイントの増加、「メディア」が0.9ポイントの減少という結果でした。
1-2. 炎上主体別 発生件数と割合(前年平均比)
前年平均比では、炎上事案は170件増加しています。
炎上主体別の内訳では、「著名人」が55件の増加、「一般人」が28件の増加、「メディア以外の法人」が77件の増加、「メディア」が10件の増加という結果でした。
割合については下図のとおり、前年平均と比較すると、「著名人」が8.7ポイントの減少、「一般人」が3.7ポイントの減少、「メディア以外の法人」が13ポイントの増加、「メディア」が0.6ポイントの減少という結果でした。
1-3. 炎上主体別 発生件数と割合(前年同月比)
前年同月比では、炎上事案は249件増加しています。
炎上主体別の内訳は、「著名人」が99件の増加、「一般人」が46件の増加、「メディア以外の法人」が90件の増加、「メディア」が14件の増加という結果でした。
割合については下図のとおり、前年同月と比較し、「著名人」が3.7ポイントの増加、「一般人」が4.2ポイントの減少、「メディア以外の法人」が4ポイントの増加、「メディア」が3.5ポイントの減少という結果でした。
2. 炎上の内容別 発生件数
2-1. 炎上の内容別 発生件数と割合(前月比)
炎上内容別の内訳では、「情報漏洩」が8件(2.7%)、「規範に反した行為」が66件(22%)、「サービス・商品不備」が33件(11%)、「特定の層を不快にさせる行為(※)」が193件(64.3%)という結果でした。
前月と比較すると、「情報漏洩」は1件の増加、「規範に反した行為」は9件の減少、「サービス・商品不備」は12件の増加、「特定の層を不快にさせる行為」は23件の減少という結果でした。
※特定の層を不快にさせる行為:法令や社会規範に反する行為ではないものの、他者を不快にさせる行為(問題行動、問題発言、差別、偏見、SNS運用関連など)
割合については下図のとおり、「情報漏洩」が0.5ポイントの増加、「規範に反した行為」が1.5ポイントの減少、「サービス・商品不備」が4.4ポイントの増加、「特定の層を不快にさせる行為」が3.4ポイントの減少という結果でした。
2-2. 炎上の内容別 発生件数と割合(前年平均比)
前年の平均発生件数と比較すると、「情報漏洩」が7件増加、 「規範に反した行為」が46件増加、「サービス・商品不備」が19件増加、「特定の層を不快にさせる行為」が99件増加しました。
前年平均の割合と比較すると、「情報漏洩」が1.9ポイントの増加、「規範に反した行為」が6.5ポイントの増加、「サービス・商品不備」 が0.1ポイントの増加、「特定の層を不快にさせる行為」が8.6ポイント減少しました。
2-3. 炎上の内容別 発生件数と割合(前年同月比)
前年同月の件数と比較すると、「情報漏洩」が8件増加、「規範に反した行為」が58件増加、「サービス・商品不備」が30件増加、「特定の層を不快にさせる行為」が153件増加しました。
前年同月の割合と比較すると、「情報漏洩」が2.7ポイント増加、「規範に反した行為」が6.3ポイントの増加 、「サービス・商品不備」が5.1ポイントの増加、「特定の層を不快にさせる行為」が14.1ポイント減少しました。
3. 炎上内容の詳細区分別 発生件数
炎上内容の詳細を分析したところ、「不謹慎狩り」に関する炎上事案が86件と最も多く、次いで「非常識な行動(モラルのなさ)」に関する炎上事案が59件でした。
4. 法人等の業界別発生件数
4-1. 法人等の業界別発生件数と割合(炎上の内容別)
炎上主体のうち、「法人等」に該当する炎上125件について、業界ごとに分類しました。炎上事案が最も多かった業界は「小売・卸」業界で、21件(16.8%)という結果でした。
業界別の炎上種別を割合で見た場合、結果は下図のとおりです。
5. 企業規模別の炎上発生件数と割合
炎上の標的が「法人等」の場合に、上場企業か否かや、それぞれの従業員数について調査しました。
なお「法人等」に該当する炎上事案は、日本国内に所在する企業のみを対象としています。
また、公共団体や政党のほか、企業概要や従業員数等の情報が公開されていない団体は本項目の調査対象から除外しています。そのため、本項目における調査対象の総数は68件です。
5-1. 炎上主体における上場企業・非上場企業の件数と割合(前月比)
上場区分に関して「上場企業」が主体となった事例が12件(17.6%)、「非上場企業」が主体となった事例が56件(82.4%)という結果でした。
前月と比較すると、「上場企業」の件数は6件増加、「非上場企業」の件数は13件増加しました。
割合を比較すると、「上場企業」の割合は5.4ポイント増加しました。
5-2. 炎上主体における上場企業・非上場企業の件数と割合(前年平均比)
前年平均と比較すると、「上場企業」の件数は8件増加、「非上場企業」の件数は38件増加しました。
割合を比較すると「上場企業」の割合は0.6ポイント減少しました。
5-3. 炎上主体における上場企業・非上場企業の件数と割合(前年同月比)
前年同月と比較すると、「上場企業」の件数は6件増加、「非上場企業」の件数は46件増加しました。
割合を比較すると、炎上した企業のうち、「上場企業」の割合は19.9ポイント減少しました。
5-4. 炎上の対象となった従業員数と売上高の散布図
従業員数500人未満、売上高は500億円未満の企業で炎上事案が多く発生しました。
なお、グラフの集計範囲外ですが、従業員数約9千人、売上高約3兆8,000億円といった大企業の炎上事案も確認されました。
■分析コメント
ブロガー 徳力基彦 氏
2026年5月の炎上件数は300件と、若干減少はしたものの引き続き非常に高い件数になったようです。
あきらかにSNSのアルゴリズムの変化や、社会の空気感の影響もあり、炎上が非常におきやすいネット環境になっていることは明白です。
今後SNSのアルゴリズムの変更や、炎上系インフルエンサーに対する大きな訴訟などが起きない限り残念ながらこの炎上件数の高止まりは続くと考えた方が良いでしょう。
特に5月は「BeReal」経由の情報漏えいが非常に大きなニュースとして取り上げられました。
「BeReal」を使っていないと、なぜ若い世代が通知の後に必死で投稿をしようとするのか理解しにくいと思いますが、若い世代にとっては「BeReal」を投稿しつづけることが一種のステータスや友人とのつながりの確認行為になっている点を理解することが重要です。
特に最近の騒動は本人ではなく、知人がクローズドの投稿をわざわざオープンなXにさらすケースも増えています。社員に「BeReal」のようなクローズドな場所への投稿もリスクであることをしっかり教育することが必須と言えます。
■(参考)分類基準
1.分類基準(炎上の主体)
抽出したデータは以下の表1に基づき分類しました。
(表1)分類基準(炎上の主体)
参考:山口真一(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター 准教授):
『ネット炎上の研究「炎上の分類・事例と炎上参加者属性」』、 出版記念公開コロキウム用資料、2016
公に情報を発信する機会の多いメディア関連の法人については、炎上に至る経緯に違いがあるため、他業種の法人と分けて集計しています。
2.分類基準(炎上の内容)
抽出したデータは以下の表2に基づき分類しました。
(表2)分類基準(炎上の内容)
参考:山口真一(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター 准教授):
『ネット炎上の研究「炎上の分類・事例と炎上参加者属性」』、 出版記念公開コロキウム用資料、2016
3.分類基準(業界)
また、炎上の主体が「法人等」の場合、20の業界に分類しました。
なお、該当しない業界に関しては「その他」としてデータを処理しました。
参考:業界動向サーチ「ジャンル別業界一覧」
https://gyokai-search.com/2nd-genre.htm
■一般社団法人デジタル・クライシス総合研究所 概要
研究所名 :一般社団法人デジタル・クライシス総合研究所
設立 :2023年1月20日
代表理事 :佐々木 寿郎
アドバイザー:山口 真一(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター准教授)
沼田 知之(西村あさひ法律事務所所属弁護士)
設立日 :2023年1月20日
公式HP :
https://dcri-digitalcrisis.com/
関連会社 :シエンプレ株式会社