新日鉄住金 第61回大河内賞「大河内記念生産賞」を受賞
- 新日鐵住金株式会社
- 2015年02月12日
- 16:57
~「多機能統合型転炉法による製鋼プロセスの開発」にて~
新日鐵住金株式会社(代表取締役社長:進藤 孝生 以下、「当社」)は、第61回(平成26年度)大河内賞において、「多機能統合型転炉法による製鋼プロセスの開発」にて「大河内記念生産賞」を受賞しました。
大河内賞は、故大河内正敏博士の功績を記念して、大河内記念会が我が国の生産工学・高度生産方式の実施等に関する顕著な業績を表彰する伝統と権威のある賞です。
受賞した技術の概要は以下のとおりです。
近年、日本の鉄鋼業は、環境保全ニーズが高まる中で、鋼材の高品質化による製品の低燐化、鉄鉱石等原料の劣質化による溶銑中の燐濃度の上昇、新興国との国際的コスト競争の激化という厳しい環境下にあります。このため製鋼工程における脱燐処理の高効率化や低コスト化、高生産対応としてスクラップの多量溶解を可能とする等の課題を解決する新たな製鋼プロセスの開発が求められました。
これまで、容量が小さく反応効率の低い溶銑搬送容器(トピードカー)や溶銑鍋を用いた溶銑の予備脱燐処理を行ってきましたが、同方式では、効率性やスクラップの多量使用の点で課題がありました。当社では、大きな容量を持つ転炉を2基(脱燐炉および脱炭炉)用いる分割炉方式の予備脱燐処理法を開発しましたが、更なるコスト低減に向けて、1基の転炉で溶銑の予備脱燐処理と脱炭処理を実施できる画期的な技術開発を行ったものです。
1基の転炉で脱燐、排滓、脱炭を連続して実施するため、脱燐反応効率の向上、スラグフォーミングを用いた転炉傾動排滓、脱炭スラグの次チャージでの再利用、高速脱炭・高速排滓等の処理時間短縮など、製鋼プロセスを抜本的に改良した諸技術を開発しました。本プロセスを世界に先駆けて開発・実機化したことで、溶銑予備脱燐処理による低燐鋼の安定製造と汎用鋼のコスト低減を可能といたしました。
本プロセスにより鋼材の高生産対応力を確保しつつ、省エネルギー、低コスト化が図られ、また、低燐鋼種の大量製造が実現したため、高品質な自動車用鋼板や鋼管、厚板などの鋼材の安定提供が可能となりました。これらの鋼材は、省エネルギーに大きく寄与するエコプロダクツ(R)製品となっており、省炭酸ガス等、環境負荷低減の効果を得ております。
当社における本プロセスによる処理率は全生産量の5割に達し、また、転炉を2基(脱燐炉および脱炭炉)用いる従来型の分割炉方式溶銑予備処理を合わせると、溶銑脱燐処理率はほぼ9割に到達しており、鋼材の高品質化に大きく貢献しています。
※「エコプロダクツ」は、当社の登録商標です。
(お問い合わせ先)総務部広報センター TEL:03-6867-2146
以 上