ボッシュ、2021年売上高は前年比9.5%増

ボッシュ株式会社

2022年 ボッシュ・グループ年次記者会見

  • 日本国内における第三者連結売上高は2,950億円(約22.7億ユーロ)
  • 日本市場への更なるコミットメントを示す新たな開発、製造プロジェクトが複数始動
  • サステナビリティ:日本の各拠点においてさらなるエネルギー効率の向上とCO2排出量削減にむけた取り組みを推進
  • 「Smart Work」のコンセプトのもと、ニューノーマルにおける多様で柔軟な勤務環境を形成



東京 — グローバル規模で革新のテクノロジーとサービスを提供するリーディングカンパニーであるボッシュの2021年度の日本国内における第三者連結売上高は、2,950億円(約22.7億ユーロ)でした。コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)やサプライチェーンの混乱、長引く半導体供給不足、材料費や輸送コストの上昇などの様々な課題に直面しながらも、前年度比9.5%増となりました。日本におけるボッシュ・グループの従業員数は、2021年12月31日現在、6,350名となっています。

2022年第1四半期の売上高は前年度を上回り、好調なスタートを切っています。2022年の業績見通しについては、事業環境における課題が引き続き残るとしながらも、売上高は2021年度を上回ると予測しています。

ボッシュ株式会社代表取締役社長のクラウス・メーダーは年次記者会見において、「日本においては明るい未来、そして日本市場へのコミットメントを示す新たな複数の開発、製造プロジェクトが既に動き始めています」と述べました。メーダーはまた、「日本国内の開発力および製造力の強化は、日本の自動車メーカーに対する当社の献身的な姿勢の表れです。わたしたちは、世界の自動車生産の30%を担う日本の自動車メーカーをローカルでサポートするという責務を、引き続き果たして参ります」と、語りました。

日本における開発力および製造力の向上
ボッシュは、2024年9月の竣工を目指して横浜市都筑区に新たな研究開発施設および都筑区民文化センター(仮称)を建設することを、2022年2月に発表しています。1911年に日本に進出して以来、最大の設備投資額となる390億円を投じる大規模プロジェクトです。新社屋には、モビリティ ソリューションズ事業セクターに属する大部分の事業部とグループ企業を集約します。また、産業機器、消費財、エネルギー・ビルディングテクノロジー事業セクター傘下の事業部とグループ企業、ならびに現在渋谷に置く本社機能も移転します。新社屋からわずか2キロメートルに位置する既存の研究開発施設は、引き続きパワートレイン関連の研究開発と、二輪車およびパワースポーツ事業のグローバル本部としての機能を継続します。新社屋に2,000名、既存の研究開発施設に700人と、横浜市都筑区の2拠点にボッシュ・グループ全体の4割超の従業員を集約し、事業部間の協業・連携を推進して国内の開発体制のさらなる強化を図ります。また、本プロジェクトはグローバルでもボッシュ・グループ初となる公民連携プロジェクトで、敷地内には横浜市の要求水準等に基づいた区民文化センターも建設し、地域活性化を実現する取り組みも進めます。

埼玉県のむさし工場では、中型車をターゲットとした電動パワーステアリングの新世代品の最終組み立てを2022年内に開始する予定で、組み立てラインの新規設営を進めています。従来、電動パワーステアリングは国外工場にて最終組み立てまでを行っていますが、今回初めて日本において製品の設計から最終品の完成までを担います。ボッシュの電動パワーステアリングは、冗長性により電気系統に故障が発生しても電動アシストを突然喪失することなく継続させることができ、自動運転のSAEレベル2などに対応することが可能です。ボッシュの電動パワーステアリングは、既に全世界で5,000万台以上の乗用車に搭載されており、今後自動化が進むにつれて、フェールオペレーション対応の電動パワーステアリングへの需要がさらに高まると見ています。なお、ボッシュでは昨年、SAEレベル3の自動運転向けに対応した電動パワーステアリングの量産も、国外工場にて既に開始しています。

栃木工場では、2022年後半の電動ブレーキブースター「iBooster」および日系自動車メーカーの小型車への要望に対応した派生製品「iBooster Compact」の量産開始に向けて、準備を進めています。

ボッシュではまた、2025年にはいずれの製品にも、AIが備わるか、または開発や製造の過程でAIを活用することを目指しており、日本の製造現場においてもAIへの取り組みを進めています。埼玉県の寄居工場では2021年末、コモンレール製品の外観検査工程にAIを活用した画像検査システムを導入しました。従来目視で行っていた外観検査をAIによって行うことで、検査員による判定結果のばらつきを防ぎ、品質の向上を図っています。また外観検査にAIを活用することで、オペレーターの工数をより付加価値の高い業務に充てることも可能となります。2022年中に、外観検査工程にAIによる画像検査を取り入れる製品および工場を拡大することを目指しています。

ボッシュは、世界の自動車市場をリードする日系自動車メーカーの本拠地に新たな研究開発施設を構え、生産設備の拡張や、製造現場へのAIの導入を進めることで、日本における開発力と製造力を向上します。これにより、日系自動車メーカーからの要望に即したソリューションの提案や製品の適合強化、開発リードタイムの短縮に寄与します。

日本の各拠点におけるエネルギー効率の向上とCO2排出量削減に向けた取り組み
ボッシュは気候変動対策において先駆的な役割を担っています。2020年春には、日本を含め全世界400超の拠点でカーボンニュートラルを達成しています(スコープ1および2)。日本の各拠点でも、さらなるエネルギー効率の向上にむけた取り組みを進めており、2022年からは栃木、むさし、土浦工場にて、各工場での必要電力の一部を、水力発電によるグリーン電力にて賄っています。また年内に、栃木工場では産業用ヒートポンプの導入、東松山工場(埼玉県)では太陽光発電パネルの設置も予定しています。

ボッシュはまた、スコープ1および2における各拠点でのエネルギー効率の向上に加えて、現在、サプライチェーン全体で製品のライフサイクルを通じて発生するCO2排出量を、2030年までに2018年基準で15%削減するという目標に取り組んでいます(スコープ3)。モビリティ領域においては世界中でカーボンニュートラルへの取り組みによって電動化と水素戦略が推進されており、ボッシュでもeモビリティおよびモビリティ用途の水素アプリケーション製品ポートフォリオを拡充するとともに、これら領域に多額の先行投資を行っています。また、モビリティ用途に加え、固体酸化物形燃料電池(SOFC)技術を用いた定置用燃料電池の開発も進めています。2024年に完成予定の横浜市の新社屋にも、都市ガスで稼働するSOFCシステムを、アジア太平洋地域で初めて導入する予定です。2024年時点では実証実験向けに導入し、2026年には、最大数百 kWの発電まで拡大することも視野に入れています。

ソフトウェア重視の開発がもたらすさらなる安全性の向上
近年、車両システムにおける高度な電気・電子化やソフトウェアの重要性は急激に増しており、車載ソフトウェア市場は2030年には2020年の3倍にあたる、2,000億ユーロをはるかに超える市場規模になると予測されています。ボッシュでもこの市場における開発に注力しており、2030年まで年間2桁の成長を見込んでいます。

ソフトウェア開発の一例として、ボッシュは現在、次世代の横滑り防止装置(ESC)およびインテグレーテッドパワーブレーキに機能するソフトウェア、「ビークルダイナミクスコントロール2.0」の開発を進めています。1995 年に世界で初めてESCの量産を開始して以来、大幅な改良を重ね、ビークルダイナミクスコントロール2.0の開発に至りました。ビークルダイナミクスコントロール2.0は、ビークルダイナミクスセンサーの情報をもとに車両の横滑りの危険性を予測すると、先回りして車両に介入します。その結果、ドライバーは車両を制御しながら、よりスムーズな運転が可能となり、車両の安全性や快適性、俊敏性の向上に寄与します。ブレーキ、シャシー、ステアリング、パワートレインシステムなど、車両制御のための様々なアクチュエーターを統合でき、将来的にはバイワイヤシステムを最大限に活用することができます。例えばステアリングとブレーキを協調制御することで、滑らかなコーナリングや滑りやすい路面での制動距離の短縮が可能となります。また、各自動車メーカーの求める走行フィーリングにあわせて、車両制御をカスタマイズすることも可能です。ビークルダイナミクスコントロール2.0は、コンパクトカーからプレミアムカー、小型商用車まで、そしてマニュアル運転から自動運転モードまで、あらゆる車両タイプに対応します。なお、次世代のESCの量産開始は2023年の予定で、日本の栃木工場でも量産が進められる予定です。

ボッシュでは、ソフトウェア開発能力のさらなる強化に向け、ここ数年グローバルでソフトウェアエンジニアを年率10%増員しています。日本では、ソフトウェアとエレクトロニクスを集約したクロスドメイン コンピューティング ソリューション事業部だけで、今後2年以内に自動車業界内外から250人以上のソフトウェアエンジニアを採用予定です。

従業員の目指すキャリアプランや柔軟な働き方を支援
近年、自動車産業全体が大きな構造転換期を迎えています。この変化の激しい環境に対応するためには従業員が新たなノウハウや知識を身に着け、企業の競争力を確保する必要があります。ボッシュでは、従業員のトレーニングやリスキリングプログラムに継続的に投資しており、グローバルでは過去5年間に10億ユーロを投じています。日本においても、人事部ならびに人事部傘下のボッシュ・トレーニングセンター、そして各事業部が連携し、従業員が目指すキャリアを実現するためのリスキリングプログラムの提供に注力しています。特に、クロスドメイン コンピューティング ソリューション事業部では、この分野に新しく挑戦する従業員向けのトレーニングプログラムをボッシュ・トレーニングセンターと連携して考案し、現在、そして近い将来にソフトウェア開発において必要となる知識を身に着けられる機会を提供しています。

ボッシュではまた、従業員の多様で柔軟な働き方を促進する環境整備を進めています。ニューノーマルにおいては、「Smart Work」のコンセプトのもと、柔軟な勤務形態を提供し、オフィスにいることよりもパフォーマンスを重視するハイブリッド型ワーキングモデルを推進しています。ボッシュは、従業員と経営層との信頼関係を基盤に、一人ひとりの能力を最大限に引き出し、会社を強化することを目指しています。

2022年4月には、育児や介護、病気やけがなどによりフルタイム勤務が困難な従業員や、就学など自己啓発のために短時間勤務を希望する従業員向けに、「ショートワーク正社員制度」を導入しています。週の所定労働時間を20時間以上かつ週3日以上とし、例えば週3日勤務(1日8時間)、週4日勤務(1日6時間)、週5日勤務(1日4時間)などの複数の勤務パターンから、従業員が希望する勤務形態を選択することが可能です。

世界のボッシュ・グループ:2022年の展望と長期的な戦略の方向性
ボッシュ・グループは2021年度、厳しい市場環境にもかかわらず売上高と利益を大きく伸ばしました。2022年の第1四半期の売上高は、前年同期比で5.2%増となりました。2022年は、特にエネルギー、原材料、物流コストの上昇により、大きな負担を強いられる可能性があるにも関わらず、売上成長率は6%を上回り、支払金利前税引前利益率は3%から4%の間となると見込んでいます。ロバート・ボッシュGmbH取締役会会長のシュテファン・ハルトゥングは、「2021年を成功裏に収めたことが、今年の厳しい環境も乗り越えられるという自信に繋がっています」と述べています。ウクライナにおける戦争は著しく大きな不確実性のひとつであり、あらゆる面に影響が及んでいます。 現在の状況は、政策立案者や社会が化石燃料への依存度を下げ、新エネルギー源の開発を強力に推進しなければならないという圧力を浮き彫りにしていると、ハルトゥングは考えています。加えて、ボッシュ・グループは電動化や水素といったクライメートニュートラルな技術に3年間で約30億ユーロを投資することを明らかにしました。

ハルトゥングは、グリーン電力の利用を前提条件に、電動化はクライメートニュートラルへの最短ルートであると考えています。そのためにボッシュはサステイナブルなモビリティを推進しており、2021年にボッシュのeモビリティ関連の受注額は初めて100億ユーロを突破しています。一方で、ハルトゥングは水素の必要性も強調し、「産業政策の役割は、すべての経済セクターで水素を利用できるようにすることです」と主張しています。ボッシュは効果的な気候変動対策を実現するために、水電解装置のコンポーネント事業に参入します。ボッシュは2030年までに、この新事業分野に約5億ユーロを投資する計画で、その半分は2025年に予定されている市場導入までに投じる計画です。 ハルトゥングは同時に、今後3年間でさらに100億ユーロを投じてビジネスのデジタライゼーションを推進することを発表し、「デジタライゼーションはサステナビリティの実現において特別な役割を担っており、当社のソリューションはこれを前提としています」と述べています。ボッシュは今年だけで、全世界で1万人のソフトウェアエンジニアを新たに採用する意向です。
 

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