世界初、10階建木造ビルの振動台実験 2022年の米国「NHERI TallWood Project」に参画

住友林業株式会社

 住友林業株式会社(社長:光吉 敏郎、本社:東京都千代田区)は2022年6月に米国カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)で実施する10階建木造ビルの振動台実験「NHERI TallWood Project」に参画します。木造10階建ての実大試験体を使った振動台実験は世界で初めてとなります。
 「NHERI TallWood Project」はコロラド鉱山大学が中心に計画し、米国科学財団(NSF)※1が助成します。試験体の建物にはポストテンション耐震技術※2を用い、中高層木造の耐震性能と建築技術を検証します。
※1 NSF
アメリカ合衆国の科学・技術を振興する目的で1950年に設立された連邦機関で160個以上のノーベル賞を輩出するなど、多くの革新的な研究成果が生み出されている。
※2 ポストテンション耐震技術
耐力部材に通した高強度の鋼棒やワイヤーロープに引張力を与えることで部材間の固定度を高める技術。


 
米国では各州の建築基準の規範となるIBC(国際建築基準)が昨年改正され、木造は18階建まで建設可能となりました。この改正に伴い実験を実施するもので、UCSD屋外振動台を使い、1994年カリフォルニアで発生したノースリッジ地震※3で観測された地震波で木造10階建ての試験体を実際に揺らして耐震性能を検証します。
 当社は実験費用の一部を負担し、得られる情報、知見を日本での耐震設計の参考にします。
※3 ノースリッジ地震
別名ロサンゼルス地震。マグニチュードは6.7、死者57名、負傷者約5,400人、入院1,467名。高速道路が崩壊などの被害を受け、米国史上最も経済的損害の大きい地震。


 当社は中大規模木造建築物の実現のため、ポストテンション耐震技術を2014年から研究しています。2015年の筑波研究所の耐火検証棟に初めて本技術を採用し、2019年に竣工した筑波研究所新研究棟でも採用しています。この実験は脱炭素社会に貢献する非住宅木造建築の推進に向けての第一歩となります。
 脱炭素社会実現に向け木造建築が注目を集める中、当社は木造超高層建築物を象徴とし、街を森にかえる「環境木化都市」の実現を目指す研究技術開発構想「W350計画」を推進しています。今後も木の価値を高める研究開発を加速していきます。

■実験概要
 試験体概要
  (構造形式)    ポストテンション耐震技術を用いた木造軸組工法
  (階数)     10階建
  (平面)    9.7m×10m
  (高さ)    34.14m
  (階高)    [1F] 3.96m、[その他] 3.35m
  (使用材料)    [柱梁] LVL※4、[耐力壁] CLT※5、MPP※6
スケジュール
 2021年12月 試験体着工、2022年6月 実験実施予定


NHERI TallWood Project : http://nheriTallWood.mines.edu/
UCSD振動台: http://nheri.ucsd.edu/
※4 LVL(Laminated Veneer Lumber)
丸太を桂剥きにした単板を、繊維方向を平行にして積層・接着した木質材料
※5 CLT(Cross Laminated Timber)
ひき板(ラミナ)を並べた後、繊維方向が直交するように積層接着した木質材料
※6 MPP(Mass Plywood Panel)
合板を二次接着により積層した大断面木質材料。米国で開発された木質材料で日本にはまだ規格がない材料

その他のリリース

話題のリリース

機能と特徴

お知らせ