京都大学と住友林業 世界初の木材の宇宙曝露実験 2023年木造人工衛星(LignoSat)の打上げを目指して
京都大学と住友林業は2020年4月「宇宙における樹木育成・木材利用に関する基礎的研究」に共同であたる研究契約を締結し「宇宙木材プロジェクト(LignoStella Project※1)」をスタートしました。2023年に木造人工衛星 (LignoSat※2)を打ち上げる計画です。電磁波・磁気波は木材を透過するのでアンテナや姿勢制御装置を衛星内部に設置でき、構造を簡素化できます。また、運用終了後、大気圏突入時に完全に燃え尽きるので微小物質(アルミナ粒子)が発生せず、よりクリーンで環境に優しい人工衛星の開発につながります。
今回の実験は「宇宙木材プロジェクト(LignoStella Project)」の一環で、宇宙空間で木材がどのように劣化するのか、宇宙曝露前後の木材の微細構造の変化等を定量的に分析し、劣化メカニズムを解析します。本実験を通じて高機能な木材の開発に繋げ、地球での利用拡大に応用します。
※1 LignoStella(リグノステラ)は、Ligno(木)と Stella(星)からなる造語で本プロジェクトにて命名。
※2 LignoSat(リグノサット)は、Ligno(木)と 人工衛星(Satellite)からなる造語で本プロジェクトにて命名。
1.背景
「宇宙木材プロジェクト(LignoStella Project)」は2023年に木造人工衛星(LignoSat)の打ち上げを目指して開発を進めています。木造人工衛星(LignoSat)を投入するのは高度400km前後の地球低軌道(LEO: Low Earth Orbitで、高真空(10-11気圧)なだけではなく様々な材料が劣化する極限環境です。人工衛星を木造にするためには宇宙環境で木材がどのように劣化していくのか確認する必要があります。
2.実験内容
3.期待される結果
4.今後のスケジュール
2021年9月 宇宙航空研究開発機構(JAXA)へ木材試験体の引き渡し
2021年12月 国際宇宙ステーションの補給船に搭載し輸送
船外実験プラットフォームにて約6か月の間、宇宙空間に曝露
2022年6月頃 対象品をISS船内に回収し、補給船で地球に再輸送
5.共同研究体制
(3) 京都大学×住友林業
木の価値を高める研究技術開発を通じて、宇宙での木材利用の道を拓き、人類の持続的な発展に寄与するというビジョンが一致。両者のリソースを集結し宇宙木材プロジェクトを推進しています。