木造耐火構造の「上智大学15号館」着工 ~住友林業の最新技術で脱炭素社会に寄与~

住友林業株式会社

 学校法人上智学院(東京都千代田区、理事長:佐久間 勤)と住友林業株式会社(本社:東京都千代田区、社長:光吉 敏郎)は26日、「上智大学15号館」の起工式を行いました。当施設は国産材を使用した木造3階建ての耐火構造で、原材料の調達、その輸送、材料の加工など、建築等の過程で出るCO2(エンボディード・カーボン)の排出を削減します。住友林業が設計・施工し、2022年4月の竣工、同年6月の供用開始を目指します。
 当施設はポストテンション耐震技術※1、耐火木質部材「木ぐるみFR」※2など住友林業が持つ最新技術を結集しています。当施設の構造躯体のエンボディード・カーボンは概算で217トンであり、試算では一般的な鉄筋コンクリート造や鉄骨造で建築された同様の施設と比較し削減できます※3。構造躯体に使用する木材は111.85m3で、炭素固定量は約88トン(CO2ベース)に上り、40年生のスギ約300本※4の炭素固定量に相当します。当施設の建設は「街を森にかえる」ことにつながり、SDGsの達成、脱炭素社会の実現にも貢献します。

 ※1 ポストテンション耐震技術・・・・耐力部材に通した高強度の鋼棒やワイヤーロープに引張力を与えることで部材間の固定度を高める技術
 ※2 木ぐるみFR・・・・木ぐるみFR®は、1時間耐火の大臣認定を取得した純木質耐火集成材で、木をあらわしにすることができる構造材
 ※3 平成27年度木材利用推進・省エネ省CO2実証業務報告書(林野庁木材利用課) 掲載のオフィスモデル試算に基づく数量・面積換算等による推定
 ※4 林野庁 民間企業活動による二酸化炭素吸収・固定量の「見える化」実証事業 ガイドライン
林野庁HP https://www.rinya.maff.go.jp/j/sin_riyou/ondanka/20141113_topics2_2.html を参照に1haあたり1,000本で算出


<建物の特徴>
・外観は異なる太さの木材を交差させた格子で覆うデザインで、上智大学の建学の理念に連なる「多様性」「他者との交流」「真理」「伝統」を表現しています
・外部の格子には多摩産材のスギを使用します。
・住友林業オリジナル塗料のS-100(シリコン系超撥水形塗料)を塗布。S-100は木目を活かす半透明の塗料で、高い撥水性と潤滑性による防汚性を持ち、太陽光・風雨・温度変化などに対しても変質や劣化が起きにくく、木の外観の美しさを長く保ちます。
・自然由来の素材や自然の要素を取り込んだバイオフィリックデザインを採用。壁面・屋上緑化や内装にも木材を積極的に使用し、外部格子の隙間から室内にやわらかな自然光が差し込みます。施設利用者の快適性と生産性の向上につながり、幸福度を高めます。

<施設の特徴>
・1階には一般の方も利用できるカフェを開設し、2階と3階には約60人収容の教室を1つずつ設置します。地域貢献活動の一環として、1階には近隣町会が利用可能な防災倉庫を設ける予定です。
・15号館は麹町大通りに面したアクセスの良さと、キャンパスから独立した立地を活かし、夜間・休日を含め、さまざまな運用が可能です。
・各種イベントや公開講座の他、社会人向け講座「プロフェッショナル・スタディーズ」の会場としての活用を計画しています。同講座群には住友林業もアドバイザリーパートナー企業として参画しています。

 上智学院はこれまでも、再生可能エネルギー100%の電力導入、高効率空調機器への更新やLED蛍光灯の採用などの省エネルギー活動、国連責任投資原則(PRI)に基づくESG投資の実施など、国連の定める持続可能な開発目標(SDGs)実現のための活動に取り組んでいます。上智学院は、今回建設する15号館を、地域のサステナブルなランドマークとして、また、社会人教育や地域交流の拠点として活用することで、活気ある街づくりに貢献していきます。

 住友林業は国内外で森林経営から木材の調達、加工、流通、建築、そして林地未利用木材や建築廃材などを燃料とするバイオマス発電事業まで展開しているため、バリューチェーンの至る所で炭素固定やCO2排出量の削減に貢献することができます。事業活動で生み出す「経済的価値」に加えて、温室効果ガス排出の抑制、生物多様性保全、労働安全や雇用確保など「環境的価値」と「社会的価値」からなる「公益的価値」を高める経営に取り組み、SDGs達成、脱炭素社会への実現に貢献していきます。

■物件概要
名   称: 上智大学 四谷キャンパス 15号館 新築計画
計 画 地: 東京都千代田区麹町六丁目16番、17番、18番の各一部
用   途: 学校、飲食店舗
構 造 規 模: 木造 耐火構造 地上3階建て  *ポストテンション技術、木ぐるみFR、S-100を採用
木材使用量: 構造・羽柄材 111.85 m3   外装材 11.82 m3  
炭素固定量(CO2ベース): 約88トン(構造・羽柄材)、約7トン(外装材)
建 築 面 積: 163.05 m2 ( 49.32坪)
延 床 面 積: 478.35 m2 (144.69坪)
       1階:154.43 m2 (46.71坪) カフェ
       2階:163.05 m2 (49.32坪) 教室
       3階:160.87 m2 (48.66坪) 教室
スケジュール: 2021年5月着工 2022年4月竣工
 

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